四人の少年少女
とりあえず不定期更新でお送りします。
よろしくお願いします。
「『正義の味方!』…ってなんかダサくない?」
「ありきたりかなー」
「そもそも正義ってなんだよ。悪い奴らからしてみれば、自分たちがしてることが正義なわけなんだから、正義の味方っていうのは変じゃない? どっちの味方だよって話」
「えー。じゃあなんて言えばいいの?」
「んー…」
「なんかない?」
「……悪の敵?」
「びみょー」
「ありきたりとか微妙とか、じゃあ悠真もなんか考えてよー」
「平和を望む良い子の味方、とか?」
「「…こども向け番組?」」
そんなくだらない論争を、リビングにある円卓を囲むように置いた椅子に座って、あーでもないこーでもないと話し合っている四人がいた。
『司会』とまではいかないが、四人の話の輪の中心になっている少女、高峰琴音は、活発そうな印象を受ける十六歳。
そんな琴音の次に発言が多いと見られる少年、翠山奏太は、片側を刈り上げたアシンメトリーな髪型が特徴的な十七歳。
奏太の左隣、琴音の向かいに座って頬杖を付きながら話に参加している少年、倉敷悠真は、常に眠そうな十六歳。
そして奏太の向かいに座っている少女、烏丸雪乃は、姿勢正しく文庫本を開いて読んでいる十七歳。なお話は聞いているだけで参加していない模様。
以上四人。
四人は、この家に住んでいる。正確には四人の他にもう一人、『グランマ』と呼ばれているこの家の管理人との五人で生活をしている。グランマは、恰幅のいい身体を持っており、琴音と雪乃を足して二で割らなかったぐらいの大きさを誇っている。普段は規則にうるさくルールに厳しいが、優しい面も持っており、四人を住まわせるほどの懐の大きさを持っている。
この家はレンガを基調とした二階建ての建物で、一人一部屋を持つことができ、かつまだ部屋が数部屋余っているという、もはや『屋敷』と呼んでもいい程度の大きさだった。周辺は木に囲まれており、この屋敷へと続いている道がなければ、森の中を迷いながらたどり着くことになるであろう位置に存在している。だからといってド田舎なのかと言われればそうではなく、一番近いバス停までは徒歩で十分程だ。町の外れにある大きな森の真ん中に位置している。行こうと思えば誰でも行ける距離だ。
そんな屋敷に住んでいる少年少女は、皆なにかしらの過去を抱えてここに集まった。
グランマに言わせれば、これは必然だと言う。必然であり運命であり宿命である、と。そんな言葉が、少年少女の心に響かないはずはなく、そんな単語が好きな世代である四人は、必然なり運命なり宿命なりの導きによって、この屋敷に住むことになったのである。
家賃はタダ。食事や洗濯、屋敷内外の掃除やらの各自の部屋の掃除以外の全てをグランマがしている。
もちろんそれには理由があるのだが、それは追って説明しようと思う。
簡単に言うと、アルバイトである。とはいえ、『アルバイト』と言えるような生易しいものではないが。
というわけで、日々学校に通いながらグランマからの『アルバイト』、世間一般で言うところの『正義の味方』という活動をしている四人の少年少女のお話である。