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第3話 結婚指輪

「奈美恵ちゃんとケンカでもしてるの?」


「してないよ。なんで?」


「最近よくうちに来るから…家庭を疎かにしちゃダメよ」


母と兄の会話を聞きながら亜季はにんまり笑う。


‐学校の先生と不倫してるの‐


初めこそあの告白を後悔したものの、あれ以来頻繁に奈津が家に来てくれるようになった。亜季に会いに来てくれるようになった。


「亜季。今度の日曜はお兄ちゃんと遊園地に行こう」


『えー…、日曜は新山先生と約束があるのに』


嘘だ。

本当は約束なんてしてない。


「お前と遊ぶためにわざわざ仕事休みとったんだから!俺を優先してくれなきゃ困る!」


だけど奈津がこんな風に必死で亜季の気を惹こうとするもんだから気分良くてつい無駄な嘘をついてしまう。


『独占欲の強い彼氏…みたいなセリフだね?』


「亜季…、もうその先生とは会うな」


『俺先生が好きなのに』


「その教師はきっと亜季を利用してるだけだよ。既婚のくせに…それも男子生徒に手を出すなんて」


『もう先生とは会わないから。そのかわり奈津くんがいっぱいかまってね』


「もちろん。お前は俺の可愛い弟。淫行教師の餌食になんてさせないからな」


亜季は奈津に強く抱きつく。奈津も抱き返してくれる。


『はなさないでね』


「絶対はなすもんか」


亜季はニヤニヤ笑いを抑えきれない。


奈津が亜季を守ろうとしていることが嬉しくてたまらなかった。


このまま奈津を独占だって出来るんじゃないか?


何年もずっと片思いをしていたあの苦しい日々が嘘みたいに、亜季の心は満たされていた。


ーーー


『ってなわけでさ、奈津くんは今俺を守ろうと必死なわけでさ』


早速ノロケる。


新山のベッドの上で。


「なるほど。あれ?でもその淫行教師とはもう会わないんじゃなかったっけ?」


『まぁまぁ』


会わないわけがない。新山のことも好きなのだから。


「小悪魔化してきたな。純粋な亜季が懐かしいなぁ」


『先生だって俺が好きなんでしょ?』


「何度もそう言ってるだろ」


新山は口角をあげたまま亜季の口にキスをした。


『前はね、その言葉が信じられなかったんだ』


新山には奥さんがいる。だけど亜季のことも好きだと言う。最低な浮気男。


『俺も奈津くんが好きだけど、先生も好きだもん』


似た者同士なら罪悪感なんて抱く必要はない。ここ数日で亜季はそんな風に開き直ってしまった。


『つい最近まで先生は俺の体だけが目当て?とかも思ってたけど…』


新山のケータイのロックナンバーは亜季の誕生日だった。大事なロックナンバーをただのセフレの誕生日に設定する人なんていないだろう。


つまり亜季は愛されてる。新山にとって大切な人なのだ。


と、確信した亜季は制服のネクタイを自分で緩める。


『せんせ…早く脱がせて』


苦痛だったセックスの時間も楽しめるようになった。


「やっぱり制服っていいよな」


新山が亜季のカッターシャツに手をかける。


左手薬指には相変わらずキラキラ目障りな結婚指輪。


『……』


亜季が無言で指輪を引き抜こうとすると、新山は苦笑しながら自ら指輪をはずす。


「気になるの?」


『あー…いや…』


少し考えてから亜季は首を横に振った。


『やっぱりはずさなくていい。指輪つけといて』


「はずすよ」


『つけてて!』


「なんで?」


『いいから…早くキスして』


亜季は甘えるように新山の首に手を伸ばす。


「…亜季は本当に可愛いな」


目尻を下げて笑う新山はとても幸せそう。


『俺って先生の恋人?』


「そうだよ。若くて可愛い俺の恋人」


『ははッ』


意地の悪い笑みを浮かべてしまったと自分でも思うが、亜希は気にせず笑い続けた。


ーー結婚指輪で新山先生と繋がっている奥さん。


今、あなたの旦那はあなたじゃない可愛い恋人を抱いている。


キラキラの結婚指輪なんて何の意味もない。


結婚なんて意味がない。


奈津だって、結婚はしてしまったが奈美恵のものになったわけじゃない。


奪い取ってやる。


奈津も新山も奥さんから奪い取りたい。

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