第一章
「ったく晴れすぎなんだよ・・・」
眩しくて目をつぶりたくなるような太陽の下で愚痴を漏らす。
そんな僕は今、自分の所有している農園にきている。
「俺に愚痴言わないでくださいよ。」
そう返事をしたのは喫茶店の専属パティシエをしている龍海。
僕は所有地を龍海に貸出し、野菜などの農作物を育てさせて発明などに役立てている。
今回も僕の発明にはかかすことのできない野菜の収穫をしている途中だ。
「それにしても、誠也さん。前回はジャガイモの毒の成分と消化、症状についての研究でしたよね。次、どんな研究するんですか?」
「うーん。少し長くなるが・・・」と僕がうなっていると
「ええ、構いませんよ。続けてください。」
といわれ仕方なく僕は コホンッ と咳をして話しを始めた。
「トマト・ジャガイモなどの野菜で分かったことがあるんだ。トマト・ジャガイモなどの一部の野菜は、自分たちがすくすくと育つ為の肥料として、昆虫を捕食し栄養分を吸い取る肉食生物だと分かったんだ。また一部の野菜は、茎の粘液を利用している。茎の部分にある粘液のついた毛で昆虫をひっつけて、じっと昆虫が死ぬのを待つ、そんで死んだ昆虫の栄養分を、根っこを使って、吸い取っている。ま、人口栽培した肉食生物は、栄養分を吸い取る機能までは備わってはいなかったが・・・捕まえて殺すという機能はあった。殺生だとか抜かしている頭の固いジジィも、精進料理だなんだと抜かしている人も、結局は何かの犠牲の上に生かされている。そういう事だ。ま、一部の農家や百姓ものには、常識の範囲らしいが、科学者やなどからすれば恐るべき発見だな。」
うんうん と頷きながら少し微笑んだ。
「そして僕は人口栽培でも栄養分を吸い取ることのできる野菜を作りたいんだ。そうしたら人口栽培で作っても自然と作っても変わらない味の提供ができると思った。それに捕食する量の調査をしてやることで一律で販売できる。これが僕のやりたいことだ。小さなことでも、全国に広まれば大きなことになる。」
僕はここまで言うと再び手を動かした。
「なるほど・・・でも、それって学会に発表しないんですか?肉食生物というだけでも凄いことになりますよ?」
龍海はそう僕に疑問をなげかけてきた。
「僕も実はそうしようと思ったんだが、発表する一カ月前にイギリスの博士に先に学会に持ち込まれたんだ。そのとき僕はレポート製作中であと一歩たりなかった。まあ、負けは負けだ。認めるしかなかったさ。」
「そうですか・・・暇があれば俺が手伝いますよ。」