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空を歩く幽霊  作者: swan
本編
6/14

それは唐突に


 俺は思う。このことは一生忘れる事はないだろう。



 収穫祭があと2日に迫った秋の朝、その知らせは突然訪れた。


 いや、村の大人たちは分かっていたのかもしれない。

 サキヨミの能力者たちも。


 村のある森の入り口から入ってすぐの所に村の守番が居る。

 森の変化や村の外のことを教えてくれる優しい老人。それの仕事は表向きで軍の人員配置、戦争情勢、軍部の動向について村の外にいる者たちからの報告をもたらす人物。


 彼が姿を消した。


 彼の意思とは関係なく。

 すぐにその報告は村へ入り、原因は明らかになる。

 森の中に軍部の教育により忠実に働く“能力者”が入っていると。能力者は、訓練によっては他の能力者に対する耐性を作ることが出来る。

 彼らはそれに特化する集団。


 軍による村の能力者を狩るための作戦、それが実行されている事が朝のうちに村の全員が知る事になった。

 数年に一度、国は軍の能力者強化のためにより血の濃い村の能力者を狩る。それは回を重ねるほどに巧妙になっている。


 村の中心である館に村の大人たちが集まる。

 能力者同士で殺しあうなんて考えたくもないけれど、戦闘に向く能力者が選び出されていく。能力があるものは普段からも戦闘の準備は進められていたのだ。

 相手が特化していくならばこちらも備えなくてはいけない。


 この村の中心である集まる大人たちの中で作戦を細かく練るのは「お館様」である父。父はアマゴイの能力者だったが、この村の統治をすることに大変長けていた。


 父の指示により最初に村を囲む塀を出て行ったのは兄であるルネとその仲間だった。


 情報によれば、20以上を超える能力者と数十人の歩兵、壁をも壊す大砲が森へ持ち込まれていた。

 しかし、森は自然の要塞だ複雑にいりくみ大砲が村に近づく事は難しい状態だった。


 ルネはこの村の要だ。物理的に守るのが村の強固な塀ならば、ルネは視覚的に村を守っていた。普段から徹底的に村への幻惑をかけ続けていた。


 大砲などを持ち込む歩兵への幻覚。

 潜在心理的に彼らの前に村を無くす、目の前にあるモノが隠されていくそれがルネの能力「ゲンワク」だった。

 ただ彼の能力は沢山の相手がいる場合は近くにその対象がいなくてはいけない。今回は村の中からではうまくその力が発揮できない。


 ルネは幻覚を使い徐々に森の外へ彼らを誘導していく事を任されていた。他の仲間が彼ら能力者を捕獲していくだろう。

 それか、もう何も感じる事が出来なくなって森から出られないか。

 沢山の仲間が3人一組となり森の中に散らばっていた。

 ルネが連れて来た中の最も信頼できる二人の仲間は従姉弟であるセーアとフミだった。セーアが遠くの音が聞こえる「コエキキ」、フミは空気中の成分を再構成する事で対象物を発火させる「ホムラ」だった。

 セーアが足音を聞き見つけ出し、ルネがおびき出す能力者へフミが先制の攻撃を行なう。

 普段大人しいフミが今日だけは顔つきが違った。

 普段の鍛錬でも遠慮していたくらいなのに今回は容赦がなかった。フミとセーア、他の仲間達も分かっていた、ルネに負担を掛けてはいけないと。彼は村全体への幻惑をかけながら森へ出てきているのだと。

 早く森から全ての敵を追い出さなくてはいけない。

 しかし、敵は一向に減らない状態だった。予想以上の自分たちを襲う敵の包囲網にルネは危機的状況であることを悟った。


すみませんこの回はシオンがほとんど出てないです。でも必要な内容だったので。

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