息を引き取る時である雪の世界
掲載日:2026/08/01
あれは仄かな雪が舞い落ちる季節であった。
薄っすらとした手袋では寒気という痛さを防ぐ事が出来ずに
何処かもがいていたのが昨日のように鮮明に思い出せる。
世界はあまりに美しく長い道のりと思っていた人生の道筋というものは
実はあまりに短く儚く
そして切なさの刹那と切り離せないものであったのが分かる。
私の脳裏には自然の景色が克明に彩られており
死の果ての世界にも記録として
いや
私自身の思い出というフィルターから観た景色として
世界の片隅にインプットされているのだろう。
冷たい……
降り積もる雪は微かな美しさと悲しさの同居
白の色合いが深い灰色になった時
私は息を引き取ったと記憶している……




