でも、この肉は最高に美味しい
グランデは俺を肩に載せたまま進んで行く、俺が入った森からは大分奥深いところに来たらしい。
しばらくすると、森が開き家などの建物が多く見える。大きさは大小様々で木造かほとんどだろうか。
「うおおおおお!!!! 魔族パラダイス!!!!」
「急に大声出すなよ! 耳がおかしくなるだろ。たつきは、魔族好きなのか?」
「あっ! すまない。もちろんだ! 魔族大好き」
道歩く人たち全員が魔族である。オークやダークエルフ、ミノタウロス、メデューサなど様々いる。
普通に生活をしているようで、死の森とは本当に呼称だけで実態はそんなことはなかった。
少し歩いて建物の前にたどり着く、家というにはあまりにも大きすぎる石の玄関が目の前にあった。これがサイクロプス仕様の家なのだ。ジリジリと地面を削るような音を立てながら扉を開ける。大きさを除けば、部屋の中は至って普通である。石のソファーに椅子やキッチンなどがある。
綺麗に整頓されているキッチンの近くには、グランデの巨体には余りにも小さすぎる、継ぎ接ぎだらけのフリル付きエプロンが丁寧に壁に掛かっている。エプロンの正面には魔族らしい紋様があった
「そこらへんに座っててくれ。是非、おもてなしをさせてくれないか? 新入り記念と初めての理解者ができた嬉しい日なんだ」
ニコニコしながら聞いてくる。心底嬉しそうな表情である。
「いいの? あっ! それでいいこと思いついたって……その事だったんだ」
「あの時は勘違いさせて悪かったな、いつもそうなんだよ。この顔つきと巨体であるから仕方ないが」
そう言って、グランデサイズの大きな白いエプロンを身に付け料理をし始める。大きいボウルを用意して、そこに挽肉と塩をいれて手早くこねて刻んだたまねぎや卵、ハーブをいれ混ぜ合わせる。
次は空気を抜くために、キャッチボールをするように叩きつけているのだが、グランデの手のひらが大きいために、普段見るサイズでは全くない事に気づいた。楕円形に成形したあとフライパンに入れ焼き始める。
中火で焼き色を確認しながら裏返しにして蒸し焼きにする。お皿に盛りつけた後、ソースをかけて完成だ。付け合わせに人参や蒸したジャガイモがのっている。
(めっっっっちゃ本格的じゃん!!!? てっきり魔族特有のゲテモノ料理かと思ったら、えらく家庭的な料理だ……。この世界でも同じ料理が食べれるなんて嬉しいな。)
「さぁ!! 食べてくれ! これでも料理には少し自信があるんだ」
目の前に出されたハンバーグは、ピザのLサイズ以上に大きいサイズで厚みもハンバーガー並みだ。
しかし、見た目も匂いもとても食欲がそそられる。これが、この世界で初めて口にする料理なのだ。
「ありがとう! 死の森で初めてあったのが、グランデで良かったよ。最初は、本当に殺されると思ったけど凄くいいやつだよ! 友達って事でいいよな?」
「あぁ! 勿論だ! 俺たちは今日から友達だ! さぁ、食べてくれ。いつも通り作ってしまったから、サイズは大きいが残ったら弁当にしてやるよ」
「そこまで気を遣ってくれるなんて紳士かよ。それじゃ、頂きます!」
ナイフとフォークを使い食べようとする。口に入れる手前、デミグラスソースに似た匂いが鼻腔を刺激し、まだ口に入れてないのに直ぐに分かった。「絶対美味しいやつだ。」口に入れると肉汁が溢れだす。
一口食べてからあまりの美味しさに、食べる手が止まらない。四分の一くらい食べた頃になって、お腹がいっぱいになってしまった。思っていたよりもハンバーグの量が桁違いである。
「もうお腹いっぱいだわ……。凄く美味しかったよグランデ。特にハーブが効いてる気がする。」
お腹いっぱい食べたため、正直まだ動けない。お腹を手でさする。
「ありがとうな! 美味しく食べてくれると俺も嬉しくなる。お前ハーブのよさを分かるなんてさすがだ。他にもこの玉ねぎは、限定された場所でしか取れないものなんだよ! すまない喋り過ぎたな。残ったのは弁当にするか?」
すると突然、目の前に文字が映し出される。
【グランデとの好感度が上昇したので、鑑定スキルのレベルが2に上がりました】
「んっ……?ああ! 気持ちはありがたいがそれ全部詰めると、大きいサイズが必要になるから四等分の一つだけでいいよ。そのほうが持ち運びしやすい」
「わかった。そのサイズで作っておくよ」
キッチンに向かい食器洗いや弁当作りをしている。エルフ女王の居た場所とは大違いだ。ただ、鑑定スキルがあったから気づいたが、これが無ければ殺されると思い逃げるなどして対策をするだろう。
先ほどの鑑定スキルのレベルが上がったらしいので、何が変化したのか見てみることにした。見てみるともう少し詳細に、相手の情報が見れるようになるらしい。
プライバシーの侵害をするのは、正直胸が痛いがこのスキルを使って良い方向に行けばいいと願う。丁度その頃、弁当の準備が出来たようでこっちに来る。
「準備できたぞ。そういえば今日、何か他に用事はあるのか? もしよければ、俺の数少ない友人に会ってくれないか? たつきの事をあいつにも紹介してあげたいんだ」
「グランデの頼みなら仕方ないな!! いいよ。今日はやることは特にないから」」
支度をしたら家を出て、またグランデの肩に乗って移動をする。距離はあまり離れていないらしい。道中、魔族との視線がチクチクするがあまり気にしないようにしよう。少し歩いたら、目的の家に辿り着いた。至って普通のサイズの家である。サイクロプスのような巨人族ではないことは確定した。
ここまで読んで下さりありがとうございます。グランデいいやつでしたね。私にも友達が欲しいです。
次回で、また新しい魔族との出会いがあります。お楽しみに!
サイクロプスの名前の「グランデ」はイタリア語の大きいという単数での意味です。2つだとグランディになります。一つの大きい目だとオッキオ・グランデになります。




