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追放RTA

 いつの間にか寝てしまったようで、太陽の光で目が醒める。ここはどこだろうか? 辺りは家などの建物が多く建てられている。馬の歩く音が先ほどよりも固い印象を受ける。地面ではなく塗装されたものである事がわかる。匂いも草木から肉を焼いた匂いが目立つ。女王様が治めている国で違い無いようだ。相変わらず捕縛されているので、自力で起き上がれない。


(どれくらい寝てたのか分からないがあと少しかな?)


「すいません! もう着く?」


「お前が気にする事じゃ無い黙っていろ。」


(相変わらず冷たい対応だな......。こんな卑下な扱いされるなら、人間側ではなく魔族側で間違い無いだろう。勇者といっても人間側であるとは限らないしね。)


 先ほどよりも地面感触が変わり石畳に変わる。城に近いのだろうかと思いながら、仰向けになり空を見上げる。ついさっきまでアニメをのんびり平和に鑑賞していたのに、今となっては捕虜であるのだ。


(悪役令嬢よりも魔王幹部の話のほうが好みだったな。)


 黄昏ていたら馬が歩みを止める。城に着いたのであろうか? そんな事を思っていたら1人の兵士に担がれる。


 目の前には大きなお城が見える。かなり大きな城で見上げようとすると首が痛い。門前の両サイドには強靭そうな兵士が立っている。その兵士も人間であるので女王様が魔族の可能性が段々と下がる。


 門を通り道を真っ直ぐに進む。私の前に兵が2名と左右と背後に、私を囲むように進行している。城の入り口にはエルフが立っていた。益々、魔族側では無いなと落胆した気持ちに浸りながら、玄関を開けるとかなり広い景色が広がっていた。


 壁には先代の肖像画らしい物や美術品が数多く展示されている。天井もかなり高い。城の中にはエルフの兵が20名ほどいるのに、存在が小さく見えてしまうほどだ。

 担がれたまま長い道を歩いた先に大きな豪華な扉がある。




「女王様、勇者を連れてきました。」


 衛兵の1人が声を掛けて扉にノックを3回すると、扉の奥から女性の声が聞こえた。


「よい」


 重厚な扉を開けると部屋の奥に豪華な玉座に女王様が座っていた。玉座の後ろには、ステンドガラスが張られている。そこから光が差し込み玉座の主であるエルフ女王が照らされている。金髪で髪の毛は長く腰ほどある。 

 頭には綺麗な髪飾りをし、端麗な顔立ちに、目つきは非常に厳しい。上品な淡い黄緑のドレスを着ている。胸が大きいのか座ってる姿勢からも膨らみがよく分かる。簡単にいうと絶世の美女である。


(クソ!胸の大きさしかイメージ合ってないじゃん.....。このエルフ女王様1回不機嫌なったら、面倒臭いタイプだな。用心しないと。)


 床に放り出された後、足だけ拘束を解かれそのまま、エルフ女王様の前に連れて行かれる。


「こちらが勇者になります。如何でしょうか。」


「間違い無いですね、ご苦労。下がって良い。」


「ハッ!」


「お前が勇者だな?早速だが、能力かスキルを見せてくれそして私を喜ばせてみせよ。」


 見下した表情でこちらを見つめてくる。


「ん? すいません。能力もスキルも分かりません。どうしたら出来るのですか?」


「馬鹿にしているの? 勇者というのは必ず、1つは専用の能力かスキルがあります。お前にも何か一つあるはずよ。」


 目を瞑り何か出来ないのか思案を繰り返した。目を開け、エルフ女王様をじっと見つめると頭上に【鑑定結果:特になし】 と表示されている。鑑定なら先ず、種族名や名前が出てくる筈だが、プライバシーに配慮されているのかもしれない。


「どうやら鑑定スキルらしいです。」


「鑑定スキルですって? 戦闘向きでは無い上にゴミスキルではありませんか!!はぁ……勇者召喚するのにどれほど苦労したことか......期待ハズレね。でもせめて、私の美しさと高潔さを、そのスキルで余す所なく読み解きなさい?」


「え? 本当に......良いのですか?」


「早くしなさい。私が許可を出しているのよ?」


【鑑定中・・・・】


(あれ?何も出ない。さっきは特に無しと表示されていたのに......壊れてるのか? それともエルフ女王様が凄すぎて読み取れないのか?エルフは見た目では判断出来ないからな、これで1000歳かもしれないし。)


 必死に念じながら、スキルに祈る。


(頼む、何か出てくれ!)


【鑑定結果:石ころ】


【魅力:無し】


【詳細:特段無し】


「鑑定結果は......石……ころですね。魅力……無しです。」

 

「……は? 石ころですって? あの庭にある? 聞き間違いかしら? 私の美貌と高貴さを石ころと比較したというの!!!?」


 周囲にいた衛兵達が、一斉に青ざめて顔を伏せ始める。足はガタガタと震え怯えている。


「いや、俺は鑑定結果を言ってるだけで……。何度見ても.....石ころしか出ません。すいません。故障ですかね? でも、今はまだレベルが低いのでレベルアップしたら、詳細に見れるかもしれません!!もう少しお待ち下さい!!」


「魅力が無し......? この私が? この節穴どころか目が付いてるかも怪しい無能者がぁぁぁ!!!!!」


 今にも噴火しそうなほど、顔を真っ赤にして部屋全体に怒号が響いた。先ほどまでの端麗な顔立ちが勿体ないと思ってしまう程、こめかみには青筋が走り、薄い唇は牙を剝く獣のように吊り上がっている。


「はい......。エルフ女王様が石ころです。本当に何度も祈って見たのですが、どれも魅力特に『無し』と......。悲しいですが、鑑定の事実は変わりませんので。ですが、エルフ女王様! 気を落とさないで下さい! 魅力がないのはあなたのせいではなく、スキルの仕様かもしれませんから!」


 (……ごめんなさい。本当にそれしか見えない。俺だってエルフ女王様の事褒めたかったけど、鑑定結果に嘘つきたくないし。代わりにスタイルが良くお胸が大きいですね! とか言えるわけない。でも、石ころってなんだ? エルフ女王があまりにも悪事をやり過ぎてマイナスになっているのかな。)


「お前は不敬罪である! その無能な眼球ごと、魔族が蔓延る『死の森』で朽ち果てるがいいわ!! 衛兵、今すぐにこのクズを捨てて行きなさい!!」

 

「……ハッ!」


 周囲の衛兵達が、皆声を漏らし暗い表情をし始めた。かなり危険な場所であることは間違いない。名前が『死の森』だからその名の通りである。


 俺は、魔族が居たことが確定して笑みを浮かべるが、なんとか平然を装って気持ちを隠す。ここで笑顔を見せたら折角魔族と会えるチャンスを逃してしまうかもしれない。




 またしても、担がれて馬車へ運ばれることになり、兵士達に睨まれながら死の森へ向かう。城からは丸一日以上かかったようである。運ばれるときに目隠しをされてしまった為時間感覚もないのだ。多分、一生戻って来れないように対策をしたのである。死の森に着いたらまたしても荷物のように地面に置かれる。


「もう二度とその面を見せるなよ無能者!」


「こっちこそもう見たくもないわ! さいなら!!!!!」


 かなり離れてから、兵士たちに聞こえないであろう叫び声を上げる。勇者として勝手に召喚した挙句、クズ呼ばわりされて災難だった。


 もうあんな目に遭いたくない。偏見はよくないが、エルフの印象は最悪になった。


「魔族好きな俺にとって、魔族が蔓延る『死の森』へ連れて来たことだけは感謝するよエルフ女王! ついに俺の本当の人生が歩める!!! まぁ、魔族も女王エルフのようなタイプの可能性は捨てきれないが」



 ここまで読んで下さりありがとうございます。種族名を上回る、石ころってどういう意味でしょうね?

次で、初めての魔族との対面です!石ころエルフと同じタイプじゃないことを祈ります!

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