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シモン中央学園の問題児達は斯く語りき  作者: 糸又 字四
「比翼連理を手放す」
5/11

真面目が故の失望

小説家になろうって質問募集とかってできるんですかね、出来たらあとがきとかで返答できたらいいですね。

――――シモン中央学園・特別対応教室/朝――――


カリスタ・アルブレヒトについて話そうと思う。


茶髪の前髪をまっすぐに切りそろえたロングヘアー、そしてシモン中央学園の制服を身に着けた姿の二年生。

僕がこの教室にやってきた時に話しかけてきた、悪く言えば突っかかってきた生徒である。

鋭い目つきから放たれる視線は、僕のような学生時代はサボりがちだった人物には少々堪える物があった。


「さて魔術の共通理念をおさらいしておこう、教科書にも書いてある通り()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。それはどの学派だろうと変わらない」


僕は特別対応教室の生徒たちに、教科書を開いたら真っ先に出るような文言を喋りつつ、黒板に文字を書く。

教室内にチョークが黒板に文字を書く音が響き、それを彼女は、カリスタ・アルブレヒトは、退屈そうな視線で僕の背中を射抜くことだろう。

それもそのはず、彼女はこの特別対応教室に来る前は学年上位どころか学年一位を争う秀才、天才の区分に入れても全く不思議ではない生徒だ。

このような初歩の初歩な授業は退屈だろう。


「そして魔術には必ず発動条件を設ける必要があり、その代表的な例が魔術の名称を口にすることだ。そしてこの発動条件を制限すればするほど魔術の出力は上がる、例を挙げるのならば魔術の内容を説明することや、雨の日は使えないとかの制約を付け加えることだ」


無気力や無関心な生徒が大半なこの教室、ある生徒は鼻提灯を作り、ある生徒は関係のない本を読み漁る。()()()()()()では授業を真面目に受けている生徒は誰一人としていなかった。




ただ一人、退屈そうに僕を見てこんな授業で何が学べるのかという顔をしている生徒、不満げに小さな羽を揺らすカリスタ・アルブレヒトを除いて。


「以上、これにて授業終了。予習復習を忘れないように」


定型文じみた終了の宣言すると、殆どの生徒は待っていましたと言わんばかりに遊び始める。一応、授業中は真面目に受けているフリをするという真面目さはあるらしいが、その偽装はあまりにもお粗末だ。

だがしかし、当然というべきかストイックと形容するべきか、カリスタ・アルブレヒトだけは僕を見ていた。


そのような眼差しからは逃げたく成るのが人間というものだが、それを彼女は許さなかった。


「⋯⋯橘、先生」


これから行う道楽に歓喜する他生徒のような楽しげな表情ではなく、彼女は眉間にシワを寄せながら僕に話しかけた。


「おやどうしたんだいカリスタ・アルブレヒト、さっきの授業でわからないことでもあったのかい?」


「私はあんな基礎中の基礎に躓くほど不真面目じゃないの」


それは結構、噂に違わぬ秀才ぶりで何よりである。


「それじゃあ一体何の理由で先生を呼び止めたのかな?」


「⋯⋯あのような内容で、授業をしたつもりなの?」


その視線と声色は、失望に加えてかすかな疑問に満ちていた。


「アレは子供ですら習っている内容だし基礎中の基礎、本来のこの時期ならばもう少し発展した魔術を教えているはずだけど?」


「如何せん僕の専門分野は魔術基礎論と実戦だからね、まぁ君が個別で教えてほしいって言うならば話は変わるけど」


「あのねぇ、私が言いたいのは、どうして真面目に授業をしないって言ってるの。確かにクラスの落ちこぼれはやる気がないみたいだけど⋯⋯私は本気なの、本気でこのシモン中央学園に学んできているの」


腰辺りから生えた羽翼を揺らしながらカリスタは言う。


「⋯⋯それは殊勝な考えだね、結構結構。だけどね、教える側が本気だとしても相手側もそうでなければ意味がないんだよ。無意味とすら言って良い」


「じゃあ私達に出会って真っ先に殺したのも、本気じゃなかったの?」


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ん、あー、うん」


思わず僕は口籠った。

あの行動はセフィラから「教師としての舐められないような立場を作る」と言われたから、絶対に敵わない上にいざとなったら容赦ない教師、という人物という印象付けをするための行為だ。

それを踏まえて言うのならば、本意からの行動ではない。

よくある仕事としての一環だ。


「教師なんでしょ?教師は教えるのが仕事なんじゃないの?」


「残念ながら、先生が任されたメインの仕事は君らを教え導くことじゃないんだよねぇ、これが」


「⋯⋯期待していた私が馬鹿だったわ」


僕がそう言うと、彼女は大きくため息をついて、自身の羽を小さく畳んだ。

その表情と動作から失望の感情を感じ取れるのは簡単だろう。


「橘先生は実力があるんだから、それ相応の振る舞いや覚悟があると思っていたのに」


「そりゃ買いかぶりだよ、僕は魔術学会の中じゃ凡夫で凡才だ、むしろ落ちこぼれと言っていいだろう」


「もしかして自分のことを謙虚な人間だと思っているの?だとしたらそれはただの卑屈よ、向上心のない人間はただの屑肉なの、少しは期待っていうのをしてみたらどう?」


「期待なんてのは打ち砕かれるものだよ、特に自分に対しての期待なんてね」


僕はそれ以上何も言わずに教室をあとにし、彼女の子供じみたストイックさに少しばかり憧憬を抱いたことを自覚した。

忘れることなんてできやしないほどに脳みそに刻まれた記憶、天才に自身の驕りをへし折られた嫌な記憶だ。まぁセフィラや()()といった天才に挑んだ結果、完膚無きまでに叩きのめされただけなのだけれど。


僕はそこで軽い自己嫌悪に陥ってきたので、意識を切り替えて本来の仕事のことを考えることにした。

『ロマノフ帝国』

北方に位置する国家であり、国土のほぼ全てが寒さに覆われている。

建国されて以来南下をしなかった歴史は無く、アルビオン王国以外にも多数の国と戦争をしている。

北部には少数民族がいるが「北方の魔女」という不可思議な民話がまばらに残っている。


モチーフ元はロシア、皇帝がいるのでロシア帝国寄り。

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