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第9話 孤高のイケメンと半同居生活

ひょんなことから、半同居生活を始めることになった2人。


益々深まる2人の仲、その行く末はいかに...



(予約配信の日時を1週間間違えてて、木曜投稿できなかった...)

映画館を後にし、お腹を空かせた上月こうつきさわと佐藤 陽光ひかるはサイセリアの前に立っていた。


「サイセ来たの初めてです

僕には何だかは入りづらい店で...」


陽光くんがそう話しかけてくる。


「そーなんやー」




「でも、上月さんとなら安心して入れます」


陽光くんのこういうことをサラッと言ってくる部分が、好きだし嫌いだ。

胸をドキドキさせてくる。





「まあ、入ろうや」





2人がけの向かい合って座るタイプのテーブルに案内されたさわと陽光。


店内のお客さんの多くは学生だった。

流石、安さが売りのサイセである。




と、さわはここである事に気づく。





『同じ学校の人おらんよな...

もし、佐藤くんと一緒にサイセ行ったことがバレたら良からぬ噂が立たへんか...』


陽光くんは忘れていたが学校一の顔面偏差値を誇り、女子生徒の人気はダントツ。

人間関係や恋愛関係には、誰もが目を光らせている。


そんな陽光くんと2人きりで、遊んでることがおおやけになれば、「あの2人付き合ってる?」など間違った噂が流れ、陽光くんに迷惑がかかってしまう。

そう、間違った噂が...



周りを見渡すと、一部のテーブルから視線を感じる。

指を指し、「あの人かっこよくない...」と噂話をしているテーブルもあるようだ。


「佐藤くん 奥の方の席座ってや」


慌ててさわは、なるべく陽光くんが目立たないように、奥の席に誘導しようとする。



「え.. なんでですか...


ドリンクバー取りに行きづらくなるんで嫌です」


さわの不安を全く知らない陽光は、どうでもいい理由で断ろうとする。


「いいから いいから」


さわは、陽光の背中を両手で軽く押し、強引に奥の席に座らせようとする。

自然と陽光の身体に触れてしまっている。


そのことを2人は全く気にしない。

この事実が、2人の関係性の深まりを示しているようだった。


「しょーがないですね

そんなにドリンクバーが好きなんですね」


「あーそうや そうや これだけは譲れん」


何か壮大な勘違いをされてそうだが、ここはその流れに乗っておこう。











「ご注文の品はお揃いでしょうか」


「はい」


「では、ごゆっくりお過ごしください」



注文していた料理が届いた。


私の目の前には、スパゲッティ。陽光くんの前には、ハンバーグセット。

「いただきます」と手を合わせて食べ始める。


うん 美味しい。

いつも食べているはずなのに、いつもより格段に美味しい。


目の前では、陽光くんがとても美味しそうで幸せな表情をしながら、ハンバーグとご飯を頬張っている。

やはり、誰かと...友達と食べるご飯は最高だ。


それに今日はまだ半日も経ってないが色々なことがあった。

その疲労がスパイスとなり、さらに美味しく感じているのだろう。






「佐藤くん

私に何かして欲しい事ない?」


食べている最中、さわは急に突拍子のないことを聞き始めた。





「ほら ご飯とか作ってくれる事になったけど、一方的に佐藤くんだけに何かやって貰うの申し訳ないなって思って...」


「一緒に居てくれるだけで嬉しいです」


陽光くんは自信満々の表情をしながら、そう答える。


「いや そう言う事じゃなくて」


自信満々の答えは即刻両断された。



少し考えている様子の陽光。




「それなら 前から上月さんにして欲しいことがあって...」




「なになにー?」







「勉強教えてください

確か上月さんって成績めっちゃ良かったですよね」


確かに、さわはテストで常に学年10位以内に入るほど勉強ができる。



「なんだ そんなことで良いんか?」


「はい

僕 本当に勉強が得意じゃなくて...


勉強時間は沢山取ってるんですけど、テストの点数は中々上がんなくて...」


実際、陽光は切実な表情をしていて本当に勉強を教えて欲しい。 そんな顔をしていた。




「でも、うちの学校 偏差値めっちゃ高いし

この前の勝負した小テストも確か96点でめっちゃ高得点やったやん」


「あれはどうしても上月さんに勝ちたかったから、2徹して勉強しました

いつもは学年で真ん中より下あたりの成績です」


『2徹! 気合い入れすぎやろ 大体2徹して満点取れなかったんか...』

さわは一瞬そんな失礼な一言を思いついたが、デリカシーが押さえつける。


「上手な勉強の仕方とかがわからなくて....

色々教えて欲しいです」


「全然ええでー

かかってこいやー」


「やった

上月さんと一緒に勉強したらすごい捗る気がします」


きっと陽光くんはずっと前からさわに勉強を教えて欲しかったのだろう。

見るからにウキウキしているのが表情から伝わってくる。


さわはあることを思い始める。


『ひょっとして... 佐藤くんって感情がすぐ表に出る人なんじゃ...

いや..絶対そうじゃん!』


また、陽光くんのことについて一段と詳しくなった。

そんな事実になぜか嬉しい気持ちになる。






「上月さんってなんでそんなに勉強できるんですか?」


テンションが上がりご機嫌な陽光は唐突にさわに聞き始めた。



「そやな めっちゃ勉強してるからかなー 結局」


「上月さんってバイトとか家事とか凄い忙しいですよね

それなのにどうしてそんなめっちゃ勉強できるんですか?」


「気合いやな とにかく勉強せんとと思って」


「なんでそんなに勉強しないとと思えるんですか」


「すごい聞いてくるやん!  インタビューかよ笑」




質問攻めをしてくる陽光に若干戸惑うさわ。






「上月さんのこと、もっと沢山知りたくて」




冗談みたいな陽光くんの言葉だが、表情を見るとそれは全く冗談で無いことが一瞬でわかる。


本当に気になるから、聞いてくれている。私に大きな興味を持ってくれている。

そのことがとても嬉しい。




陽光くんの思いに答えるために、さわ自身も心に秘めていた本心を語り始めた。





「私の家族って1回両親が離婚してるんよ 私が中学1年生の時

離婚する前は、家族めっちゃ仲良くて、一緒に居るだけで毎日幸せやったんよな



その時は、正直めっちゃ貧乏でご飯もろくに食べれてなかったんやけど、家族さえ居れば他は何もいらないみたいな」



自分の身の上話を真剣に話すのは、少し恥ずかしい。





しかし、目の前に居る友達が真剣に聞いてくれている。

だから、話を続けることができる。


「でも、離婚することになっちゃってな.. お金の問題でね



家族が一番大事な物だったから、どうしても守りたかったんやけど..

私にはどうすることも出来んかった



その時思ったんよ



私には力が無いから、大事な家族を守れなかった

力が無いと、いざという時に大事な物とか大事な人を守れないって




もう、大事な人を守れなかった後悔はしたくない



で、学生の内に身につけられる力って、学力...勉強だけやから!


今は、勉強を最優先にしてとにかく勉強しようって考えてるかなー」




全て話しきった。



こんな自分の思いなんて、誰にも..女友達にも話したことはない。

なぜか陽光くんだけには、話してしまった..








「話してくれて、ありがとうございます



また上月さんの素敵な一面を知れて...良かったです」




目の前にいる大事な人は微笑みながら、そう答えてくれる。





「僕たち お互いに少しづつ知っていってて 仲良くなるってこういうことなんですね

なんだか、とても胸がホカホカします」





「あんたってバカ正直に自分の気持ち言うよな笑」


さわはニコッと笑いながらそう聞いた。




「はい 上月さんの前なら言いたいこと何でも言える気がして



それが嬉しくて」


「そういうとこ、好きやで 友達としてな」


さわも陽光につられたのか、ストレートに自分の気持ちを伝える。


陽光の表情には、うれしさと照れくささが入り交じっている素敵な顔をしていた。




その後も2人は、映画の感想など色々な話をしながら食事を続けた。










「ごちそうさまでしたー」


食事を終えた二人はサイセリアを後にした。


2人の表情はどちらも満足感で一杯である。

それは、食事が美味しかったのはもちろんだが、2人で色々な話が出来たことに満足しているのだろう。




「この後は、どこかで勉強する予定ですよね

どこにしますか?マッグとかどうですか?」


陽光くんは私の方を見て話しかけてくる。


前までは、視線を下に向けながら話していたが、最近は、私の目を見てくれるようになった。

なんだか、距離が縮まった証拠の様で少し嬉しい。




「どうしようかーー」


さわは、2人でマッグに行く姿を想像する。




すると2つの問題に気付いた。



『マッグといえば、学生天国やん 店内学生ばっかりで同じ学校の人おるかも

それに今日ちょっと散財しすぎて...これ以上お金使うと財布が厳しい...』




これらの問題に対処する解決策は一つしか無い。



そして、その策は100%成功するという確信がさわの中にあった。







「私の家でやらん..?」






一瞬、陽光は時が止まったようにその場に立ち尽くす





「いいですね! そうしましょ」






すぐに陽光の表情は笑顔に変わり、さわの提案を即座に受け入れた。



きっと陽光も本当はさわの家で..二人きりの空間で勉強したかったのかもしれない。





「せっかくなんで、晩ご飯の具材買って帰りませんか」


「いいなー そうしよ」




そうしてさわと陽光は、近くのスーパーに寄り、2人が住むマンションへ帰っていった。






家に着くと、すぐに勉強を始める2人。


進学校の授業についていくためには、当然沢山勉強しなければならない。

午前中遊びまくった分、午後は切り替えて勉強し続けた。


午前中にとても良い時間を過ごせたため、いつもより集中できた気がする。


時より、さわは

「ここの部分はこう覚えた方がいいで」

「この問題は、こう理解すればスムーズに解けるよ」と陽光に的確なアドバイスをした。



”勉強を教える” その約束を忠実に守っているのか。ただただ、面倒見がいいだけかもしれない。



2人しかいないこの空間で、黙々と勉強する2人。



いつもよりもとても充実した時間を過ごせている気がする。






そんな矢先、急にさわと陽光が喧嘩を始めた。







「今日のご飯は私が作るって」


「いや 僕が作ります そういう約束じゃないですか」


「それは平日の話やろ

土日くらい私に作らせてや」


「いいや 僕が作ります」





晩ご飯をどちらが作るか...そのようなことでお互い譲れないと喧嘩をしているようだ。





「らちがあかんやん!」





ここでさわが、音を上げた。


このままじゃ、お互い平行線で絶対にどちらも譲らないだろう。



そう思ったため、さわは発想を変えた。





「そしたら、一緒につくろ」





確かに、一緒に作るのは妥協策として、最善のように思える。



さわの提案を受けて陽光も少し考えているようだ。




「しょ...しょうがないですね」




陽光は、渋々その提案を受け入れる。

こうして、さわと陽光の初めての共同作業が始まった。





2人は、事前にスーパーで買ってきた食材で肉じゃがを作り始めた。


さわと陽光は、まずじゃがいもの皮を剥く。

その後、じゃがいもを適当な大きさに切る。

包丁は一つしか無いため、さわがじゃがいもを切る担当だ。


一つ一つ丁寧に切っている最中、さわは後ろに気配を感じた。




白くて美しく細い陽光の手が、さわの包丁を持つ手に重なってくる。




どうやら、陽光くんがじゃがいもを切るさわの真後ろに立ち、後ろから手を回して、包丁を持つさわの手を取り始めた。



まるで、バックハグしているような体勢だ。




「ジャガイモ切るときは、もっと斜めに包丁入れた方がいいですよ」


私の耳元で陽光くんがそうささやく。




さわは、あることを忘れていた。




『そうだ こいつ 距離感バグり男だった..』




自然とごく当たり前のことのように、私の後ろに立ち私の手に触れてくる。



私の背中には陽光くんの胸の重みを感じる。

陽光くんの爽やかな匂いが鼻腔をくすぐる。

陽光くんの温かな体温を感じることが出来る。


そんな距離感だ。



しかし、なんだか不快ではない。

むしろ、心地のいい感じがする。


胸はドキドキしていて、頬も熱くなってくるのに、ずっと触れていて欲しいと思ってしまう。




前までのさわだったら、「近いわ!」と触れる陽光の手を払っていた気がするが、今日は抵抗せず受け入れる。


なんだか、そっちの方がいいと思ったからだ。




ドキドキしながら、やっとの思いでジャガイモを切る。


「いい感じです

きっと美味しくなりますよ!」



陽光くんは何食わぬ顔でそう答える。



その後も調理を続ける。



所々、陽光くんは距離感バクを発揮し、手や腕や肩に平気で触ってきた。



さわも浮かれていたのか、そんな一つ一つの瞬間に毎回胸を高鳴らせていた。





肉じゃがが完成した。





「いただきます」


2人でリビングのテーブルに着き、食べ始める。

おいしい。


美味しい肉じゃがを食べながら、さわは明日からの日々を想像する。




『これが毎日続くのか…』




そう思った瞬間、

なぜか胸の奥が、きゅっと締めつけられた。




さわの口元には、

気づかないふりをした笑みが浮かんでいた。


常にドキドキさせてくる陽光くん。


そんな学校一のイケメンとの半同居生活にさわは...

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