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第7話 孤高のイケメンと映画デート(?)

2人だけで、映画を見にいくことになったさわと陽光


学校一のイケメンとの楽しくて濃密な1日が始まる。


今日は日曜日。

唯一バイトが休みの日だ。

時刻は午前9時50分。

私 上月こうつきさわは映画館に向かっている。

映画館なんていつぶりだろうか?


今日の待ち合わせ相手 佐藤 陽光ひかるくんも久しぶりの映画らしい。


1人で映画に行くことができず、一緒に映画に行ける友達もいない。

そんな理由だそうだ。


あれから、私たちはチャットアプリでよく話すようになった。


中々学校では、所属しているグループが違うため、話す機会がないのだが、便利な時代になったものだ。


チャットアプリでは私がメッセージを送ると、10秒ほどで既読がつき、それから2〜3分後に返信が届く。

全く毎回不思議だなと思っている。




今日の映画については、陽光くんの方から誘いをもらった。


初めは、映画はお互いよく観るのかという話題になった。

私が最近は観たいけど全然観れていないんだよねと返した。


そのメッセージにはすぐ既読がついた。

ただ、一向に返信がこない。


1日たって妙だなと思っていた時、ちょうど陽光くんの返信が届いた。


「よかったら、今度この映画一緒に観に行ってもらえませんか?

どうしても観たい映画で...」


陽光くんから、映画の誘いが来た。

別に断る理由はない。


「うん! 全然いいよ いつにする?」


というような感じで、2人で映画を観ることにした。



その後話は膨らみ、なんと映画の後も一緒にご飯食べて勉強することになった。


今日の予定としては、映画を観て、ランチを食べ、一緒に勉強して帰るというものだ。

なんというか、成り行きでこのようなスケジュールとなってしまった。









これじゃまるでデートではないか!






世間一般では、男女がこのように一日中遊ぶことをデートと呼ぶ。



陽光くんの方は何も思わなかったのだろうか...




もしかして、意識しているのは私だけなのか?




まあ、そんなことをグダグダ考えていても仕方がない。


とりあえず今日は楽しもう!




さわが、頭の中でそう考えている内に目的地である映画館についた。


入り口の隣

ひときわ特別なオーラを放つ男の子がいる。

さわはもうそのオーラを見慣れているため、それが陽光であることが一瞬で分かった。


「よ!

ごめんお待たせー 待った?」


待ち合わせの時間は10時であり、今は9時55分だ。

さわは、決して遅れたわけではない。


「あ... おはようございます

すみません... 早く着きすぎてしまって

30分待ってました...」


「えっまじ ごめーん私ももう少し早く行けば良かった..」


「いえいえ 

僕が勝手に早くついただけなので、

こちらこそ気を遣わせたみたいですみません..」


さわは、

『そう思うなら嘘でも今着きましたって言えばいいのに!』

と一瞬思ったが、陽光くんの小さなことでも嘘がつけない性格を素敵だとも思った。




「ほな 早速入ろっか!」


「そうですね」


そう言って2人は、映画館に入る。

映画館といえば、やはりポップコーンであろう。

2人はフード売り場の前で、横並びで看板のメニューを眺めていた。


「佐藤くんは、ポップコーン 好きな味 ある?」


さわが隣にいる陽光の方を見つめて話しかける。


「そーですね.. 僕は塩ですかね..」


陽光は、看板を見続けながらそう返す。


「へー... そうなんやー

私はキャラメル味かなー

ってか ポップコーン高!

700円って嘘やろ...」


「僕が出しますよ

僕が来て欲しいって言ったので」


陽光がそう呟く




「それはあかん

私は佐藤くんに言われて来たんじゃなくて、私がそうしたいから来たんやし」


さわはそう真っ直ぐな瞳とハッキリとした表情で言い切った。


陽光は、そんな予想外の返しに少し動揺しながらも、スマートフォンのクーポン画面を指差しながら、こう言った。


「わかりました。

ただ、割引クーポンがあるんで、さわさんの分も一緒に注文して来ますね!」



「オッケー 頼むわー」


陽光は若干のドヤ顔を保ったまま、注文に向かう。



さわは、陽光がレジまで歩く後ろ姿を見守るが、あることに気づく。


『佐藤くん コミュ症なのに注文できるんかな?』


案の定、陽光くんはレジに近づいては離れて近づいては離れてを繰り返していた。


注文しようと覚悟を決めるも、直前でやっぱりできない。自分から話しかけることに大きなハードルがあるのだろう。

そのような様子だ。


めちゃくちゃなイケメンがレジの前をウロウロしている。

そんな珍光景に、店員さんも戸惑い始めていた。



そんな様子を見かねたさわはそっと、陽光の後ろに近づき、


「ほい いくで!」


と言って、陽光の背中を押しレジまで向かう。





「キャラメル味のポップコーンとコーラで!

であんたは?」


いきなり、陽光を押しながら強引にレジまで向かい注文を始めた。


そして、急に話を振られた陽光は一瞬戸惑いの表情を見せるが、腹を括る。


「ぼ.. 僕は ポップコーンとコーラで..  お願いします」


「ポップコーンのお味はいかがいたしましょう?」


「し、塩で  お願いします」


「はい かしこまりました! 少々お待ちください!」


そう店員さんから元気な案内を受ける。



一つの注文で、大苦労だ。


ちらっと見た陽光の横顔は少し悲しそうな表情をしているように見えた。


「すみません.. ろくに注文も出来なくて

やっぱ.. 僕ってダメですね.. 

僕が話しかけたらどう思うだろうとかめっちゃ考えてしまって


結局 上月さんに頼ってしまって..


弱くて.. 卑怯な人間です..」


そういう陽光の姿は、非常に落ち込んでいる様に写る。




2人の間に気まずい雰囲気が流れる。



さわが口を開く。


「まあまあ..そんなこと言わずにさー

ほら、ポップコーン出来たってよ」


「ありがとうございます..」


「丁度塩とキャラメルの2種類になったなー

反対の味やけど、交互に食べると美味しいらしいで!

食べ比べようや..」


「いいですね..」


相変わらず陽光くんは、落ち込んだ元気のないような様子で、そう語る。





落ち込み続ける陽光。

さわはその目の前に立ち、2種類のポップコーンを見せながら話し始めた。


「ポップコーンってさ 色んな味があるから美味しいし、魅力的やん




私、人も一緒やと思うんよな

皆が同じ考え方、同じ人やったら面白くないやん


私みたいに相手の気持ちを特に考えずに話しかけられる人と佐藤くんみたいに相手のことを沢山考えてくれる人


どっちが良くてどっちが悪いとか無いと思うんよな


塩のしょっぱさとキャラメルの甘さが混じり合って美味しいように、私たちも私の適当さと佐藤くんの優しさが関わり合って楽しくなってるんやない!


やから、別に佐藤くんが話せなかったのも悪いことじゃないよ。そしたら私が話せばいいだけやから、そんな落ち込まんでいいと思うよ


まあ、細かいことは気にせず今日はせっかくやし楽しもうや」


終始、楽しそうにジェスチャーも交えながらそう語ったさわ。

さらに、柔らかな笑顔を陽光に向ける。




陽光は、ゆっくりとさわの言葉を受け止めているようだ。





「さわさんの言う通りですね...

せっかく映画見に来たんだし、落ち込むことないですよね」


「そうそう! そのいき!

映画楽しみやなー」


さわは、今度ははつらつとした笑顔でそう答える。


「上月さんのそういう所



好きです..」










陽光の一言をきっかけに、2人の間に沈黙の時間が流れる。



さわは、陽光のあまりにも不意な言葉に意表をつかれていた。

一瞬、キュンと胸がときめいた顔を見せたが、その後表情は目を細めた呆れ顔に変わった。



「あんた、店員には上手く話しかけられへんのに、そう言うことは簡単に言えるんやな..」


陽光は、得意気な顔をしている。


「わからないけど上月さんになら、何でも言えちゃう気がします」


「何やねんそれ

大体好きってどういう意味や 友達として好きってこと?」


「さあ  何でしょうね」


「おいー教えてや」


「ほらほら 映画始まりますよ 上映5分ですって」


「ほんま こいつ...」


陽光は跳ねるようにして、入口に向かう。

もう、先ほどの落ち込みなどすっかり忘れているようだ。







スクリーン8

ストロベリーナイト


2人が観る映画は恋愛ものらしい。

さわは、隣に座る陽光ポップコーン塩味をひとついただこうとする。

陽光のポップコーンを取るさわの腕と陽光の腕がすれ違い、少しだけ触れる。


足を組もうとすると、横にいる陽光くんの脚に少しだけあたってしまう。 


肘置きを使おうとしたタイミングがかぶり、気づけば陽光くんの腕の上に私の腕がそっと乗っていた。


「あっごめん」


と小さい声で謝る。


何回も身体が不意に触れ合ってしまう。


2人で映画を観るとは、こういうことだ。

だか、不思議と悪い気分ではない。


『ずっとこの時間が続けばいいのに...』

そんな考えが一瞬浮かんだ。

でも、すぐさま頭から消した。


私は、恋愛にうつつを抜かしている場合じゃない。

そもそも興味だってないはずだ。


きっとこれは、上映されているストロベリーナイトのせい。

そういうことにしておこう。

次回

映画終わりにハプニング発生!?


微妙で絶妙な2人の距離は縮まるのか!?!?

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