表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/18

第16話 孤高のイケメンと崩れる秘密

朝 通学路を歩く2人



「学校でも、イチャイチャしたいです!」


私 上月こうつき さわの隣を歩く学校一のイケメン 佐藤 陽光ひかるが急にそんなことを言い始めた。




「いや 学校の外でもイチャイチャないやろ」


そう冷静に返すさわ。






「さわさん 止まって..」





陽光は急にそう言い出した。






「ん なんや?」





さわは言うことを聞き立ち止まる。




すると、陽光はさわの目の前に立つ。

少しだけ腰を曲げて目線が同じになるようにし、手をさわの方に差し伸ばす。


私の方へと伸びてきたその手は、顎の方まで伸びてくる。




『急になんや...こいつ...』




戸惑うさわ。

しかし、そんなことは関係ないと陽光はさわのあごに手を添えて軽く持ち上げる。




芸術品のように美しいその顔面を私の直近まで寄せてくる陽光。

お互いに息遣いが聞こえてしまう... そんな距離感だ。












「これは、イチャイチャじゃないの...?」


陽光はそう呟いた。

至近距離で放たれた陽光くんの甘い息遣いが私の鼻をくすぐる。


最近ようやくテストが終わった。

そのため、テスト勉強の過酷さゆえに抑えられていた陽光の積極性が徐々に取り戻されつつある。



「あ...




あっち









人おるで...」


さわは陽光の背面を指差しながら、そう伝える。





「え!?」






陽光は慌てて振り返り確認しようとする。

恥ずかしかったのか陽光の顔は一気に赤面し始める。







しかし、陽光の後ろ側には誰もないな。


「うっそーー」


さわは、いたずらっ子のような生意気な表情をする。


「もーー

変な冗談やめてくださいよ」




「ごめんごめん笑



でも

通行人に恥ずかしいと思っちゃうなら、学校でのイチャイチャもまだ先の話やなー」


「うぅ....」


さわの言うことに陽光はぐうの音もでない様子だ。

さわは陽光のアタックを上手くいなすことに成功した。








「ずるいです...」


少しの沈黙の後、陽光が口を開いた。


「ん?」


さわはキョトンとした表情をしている。


「僕がこんだけドキドキしながらアタックしてるのに、さわさん全然動じないから...」


陽光はお腹当たりのシャツを握りしめながら語った。

その表情からは、とても恥ずかしそうな気持ちが伝わってくる。







「私を動じさせるなんて百年はやいわ!」


さわは冗談交じりにそう返す。





「で....でも」


さわの言葉に対して陽光は不安そうな表情をしながら何かを話し始めた。









「僕 不安です....












僕の気持ちがさわさんに伝わっているか...


それに心動かなかったら一生付き合えないですし...」



陽光はボソボソとそう話した。


その表情からは自信がみるみる失われ、哀愁のある雰囲気が漂ってきた。

いつものネガティブモードに突入してしまったようだ。







そんな陽光をみたさわは、いきなり陽光の手首を掴む。








「さわ....さん...?」



困惑の表情を見せる陽光。

しかし、さわは行動を止めない。


掴んだ陽光の手の平を自分の方に運んでくる。


行動の意図が読めない陽光は戸惑いながらも、自分の手をさわにもう委ねている。







さわは掴んだ陽光の手の平を自分の胸の中心にあてた。






そうして


「ひかる 伝わってるよ」







さわは、激しく脈打つ鼓動を感じ取ってもらうために陽光の手を自分の胸に押し当てたのだ。


目を閉じたまま、陽光の手の平を自分の胸の真ん中に押し当てるさわ。

陽光の手は一向に全く動かない。








「さ.....さわさん



なにやってるんですか」




目を閉じていたさわに、陽光の声が届いた。

目を開きその声がする方を見つめるさわ。





視線の先には、真っ赤に赤面した陽光がいた。

真っ赤な表情を隠すために、もう片方の手で顔を覆っている。



そのような陽光の表情と仕草、言葉




それにより全てを察したさわ。



慌てて陽光の手を離す。





「ち.....違う

こ....これは...ドキドキしてる胸の音を感じて欲しくて...」



そう必死に弁明するさわ。

段々と顔が赤面し始める。


一方両手が自由となった陽光は急いでその場にしゃがみ込み、顔をうつ伏せる。




赤く赤面し、手を振りながら必死に弁解する女子高生としゃがみ込みうつ伏せる男子高校生の2人組。

そんな異常な光景が、通学路の道で広がっていた。





「さわさん.....鈍感すぎますよ..」





少し落ち着いたのか穏やかな口調で話し始める陽光。





「ごめん...全然気づかんかった...

ただ、ひかるも全然手退けようとせんかったよな」





「そ....それは....ご褒美と......思った.....から」


小さな声でボソボソと呟く陽光


「え?」


さわは、そんな陽光の声が全然聞こえず聞き返す。


「もうハレンチ ハレンチですさわさん!」





「でも....ハレンチって思う方がハレンチやない....」


冷静に論破される陽光。

また、恥ずかしそうな表情をし始める。







不意にさわは腕時計をみる。




「え やば!遅刻する」




さわは時間を確認し、朝礼まであと少ししか時間がないことに気づく。

思ったより、時間が経っていた。




「ひかる はよいくで 間に合わん!」



「ごめんなさい 今立てないです」


「なんでなん」




「なんでって 男の事情というか....なんでもダメなんです」


そう斜め下を見つめながら返す陽光。


なぜなのか全く分からないさわは、事情がわからず困っているようだ。









「ごめんなさい さわさん


先行っててもらっていいですか?」


「そんな 置いてけへんよ」




「僕のこと待ってたら、絶対に間に合いません



さわさんは内申とか大事だし、僕のせいで遅刻とか絶対だめです」


陽光はかがんだままで、そうはっきりと伝える。






さわは選択を迫られていた。


陽光を置いていき自分だけが遅刻を免れるか

陽光を置いていかず一緒に登校し、遅刻するか








キーーーーン コーーーーーン カーーーーーーーン コーーーーーーーーン




学校中に朝礼の開始を示すチャイムが鳴り響く。







「それじゃあ出欠をとるぞーー」


さわと陽光のクラスである2年1組では、担任の先生が朝の出欠確認を始めようとしていた。


「ってあれ

空いてる席があるな  そこは佐藤の席か」


「佐藤は遅刻?それか欠席かー




って上月もいないじゃないか 珍しいな」


と先生が2人の空席を確認したその瞬間




ガラガラガラ






教室の扉が開く。




「まだ......朝礼終わってない

ハァ.....ハァ,,


遅刻じゃないですよね」


そこに見えたのはさわの姿だった。

相当走ってきたのか、肩で息をしている。






「おお 上月か

ギリギリセーフだな」





「いや待ってください」


さわは息を切らしながらも、何とか声をだした。




その両肩には2つの通学バックが掛かっていた。





「佐藤くんもセーフです」



さわの後ろには、ヘトヘトで今にも倒れ込みそうな陽光の姿があった。

2人は息を整えながら、教室に入った。






そう


遅刻の危機に追い込まれ選択を迫られたさわは、陽光のバックを持ち気合いで走り切るという選択をした。


それにより、陽光を置いていかず遅刻もしない最高の結果を得た。



「今日も遅刻欠席なしと

2人ともギリギリセーフだな


今後からはもっと余裕もってこいよ」


そう担任がヘトヘトの2人に対し話しかける。


「はいこれ ひかるのバック」


「...ありがとうございます...」


2人は小声でやりとりをしバックを受け渡す。


2人ともゾンビのように前屈みになりながら、自分の席に座ろうと移動する。





そんな2人の様子を見て教室はザワザワとしていた。




その理由は、土壇場にギリギリ間に合った2人の登校劇を見たからではない。


学校一のイケメン陽光とさわが2人一緒に登校した挙げ句 さわが陽光のバックを持っており、何やら仲の良さそうな様子を見せたからである。




結局、無事に朝のホームルームが終わり、矢継ぎ早に午前中の授業が始まった。

しかし、私達2人 特に私は好奇の目にさらされている気がする。


授業中も休み時間もなんだかコソコソと噂話をしている気配を感じる。


休み時間に話す友達も少し気まずそうな表情だ。





が、何も音沙汰はなく昼休みとなった。




「ねぇ なんで朝 佐藤くんと一緒に登校してたの??」


昼休みになったとたん、聞かれた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ