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第13話 孤高のイケメンと危ないテスト

数ヶ月ぶりにアルバイトがない土日だ。



この2日間 寝る時以外の時間は、陽光ひかるくんと一緒にいた。

そう言っても過言ではないだろう。





私たちは、月曜日に控えたテストに向けてずっとずっと勉強をしていた。




陽光くんには、自分の部屋で勉強する選択肢もあったと思う。

しかし、2日間朝から晩まで私の部屋にいてくれた。



目の前に同じくらい一生懸命 勉強してくれる人がいる。



一緒に目標に向かって走ってくれる。




そんな人が隣に居てくれることで、すごく心強いしいい意味で負けられない!という気持ちになる。




勉強の合間には自分で言うのも変な感じだが時々甘い時間もあった。



何時間も続けて机に向かった後は頭も身体もクタクタになってしまう。



そんな時 陽光くんの顔を見て、陽光くんの声を聞いて、少し馬鹿な話をするだけで なぜか疲れ切ったはずの身体に不思議と活力が湧いてくる。


ずっと勉強は1人での戦いだと思っていた。

でも、誰かと支え合いながら頑張ると言うのもわりかし良いものなのかもしれない。







月曜日の朝


私は玄関のドアをガチャっと開ける。


美しすぎる美貌を放つ高校生がそこには立っていた。




目の前にいる陽光くん ゆっくりと口を開く。






「お...おは.....よう....ご...ざい...ます」




陽光は震えた声で朝の挨拶をし始めた。


その姿は陰のオーラを存分に放ってきて、顔は少し俯き気味だ。


表情はとても青ざめている。

絶望感をひしひしと感じさせてくる。





「ど、どうしたん

宇宙人みたいな喋り方して」



「そ....そんなの.....してません」


陽光は力無さげに答える。




「えっほんとに大丈夫?」


陽光のあまりの元気の無さにさわは心配になってきた。




「どっか痛いん?」





「い...いえ」


「体調悪い...?」





「い...いえ」


「疲れ溜まってるとか...?」






「い...いえ」







「じゃーなんなん!」


さわは痺れを切らし、原因を直接聞いた。








「き....緊張でふ....震えが止まらなくて...


昨日の夜までは大丈夫だったんですけど...

朝起きたら、もうダメで...」


さわは忘れていた。




彼は根っからネガティブでメンタルが弱々シナシナなことを。

陽光は怯えた小動物のようにさわに助けを求める。



「さわさん...どうしよう...」






バシッ!


さわは陽光の背中を平手で叩いた。




「そんなこと考えるのはやめよ


どうしようなんて考えても、どうにもならん」




さわは真剣な表情でハッキリとそう言い放った。

それから続けて、




「ねぇ 思い出してよ


昨日おととい 私たちめっちゃ勉強したやん


あれだけ頑張ったんだから、絶対大丈夫よ!な!」


さわは陽光に笑顔を振りまきながら、そう語りかける。





陽光の表情は若干明るさを取り戻しつつあるが、依然として暗いままだ。





「ねぇー元気出しなやー」



さわはそう言って陽光の両肩を手で掴み、揺らす。


「絶対大丈夫だから、一緒頑張ったやん」


そう言ってさわに励ますさわ。

ただ、陽光の表情はあまり明るくならない。





「ねぇーんな 落ち込まないでやー


いつも一緒に居る時のちょっと明るいひかるが私は大好きなのに...」




その言葉に陽光は明らかに反応をしめした。


「も...もう一度言ってください...」


「え...」


「そ...その ひかる...大好きってやつ..」




「あえ...」


さわは気づいた。

なんだかんだ言って好きと言う言葉が一番陽光を励ませると。



さわは、少しためらいの気持ちがあったが、陽光を励ますために覚悟を決める。





「いつものかっこいいひかるを見せてよ

あのひかるが私は大好き」




さわは視線を泳がせながらも、逃げずにそういった。






「あ...ありがとうございます



元気が出てきました

さわさんの好きで」


そう言う陽光。



頬を赤らめながらも明らかに表情に光が戻ってきた。

段々目に光が段々と戻ってくる。


「ひかる テストいけそ?」






「行けそうです!

なって言ったってさわさんの大好きな佐藤陽光なんだから」



陽光はいつもの元気を取り戻した。




「良かった!」


さわは少し安心する。


「はい!

この調子なら全科目100点行けそうです」



調子に乗る陽光。

さわは少しあきれた様な表情をする。




「ほんと 単純なんだから」


さわはボソッと呟く。



「さわさん何か言いました?」


陽光にはどうやら聞こえてなかったようで聞き返してくる。


「なんでもない!


ほな実力を証明するために学校行こ!」


「そーですね!


てか、さっきの背中強く叩きすぎてす..」


「ごめんごめん


あまりにも情けなかったから笑」


「もー そんなこと言わないで



でも、お陰でめっちゃ気合いは入りました」


「なら結果オーライかー」



そう言って2人は通学路を歩き出した。



他愛もない話をしながら、歩いていると段々と学校が近づいてきた。



2人の目の前には、2つにわかれている道がある。


私たちはここで二手に別れる。



なぜなら、私達の関係は学校の人達には秘密だからだ。




「じゃあまた家でな」




さわはそう言って、反対側の道を行く陽光に手を振る。


「はい! 一緒頑張りましょ テスト」


陽光も笑顔でそう返す。


「うん そやな

お互いベスト尽くせるように頑張ろ!」


さわは手をグッドマークの形にしながら、そう答えた。


2人の足取りはハツラツとし自信に溢れている。





教室に入るといつもは賑やかな雰囲気だが、今日だけは静かだった。


皆、直前に迫ったテストの最終確認に勤しんでいる。




私も教科書とノートを開き、ザッと重要な部分を振り返る。




するとあっという間に時間が来た。




いよいよテストが始まる。



クラス全員がしっかりと自分の席に着く。



私は教室の丁度ど真ん中付近の席に座っている。



陽光は一番後ろの窓際の席だ。



私はふと後ろ側の窓の景色を眺めるふりをして、陽光の方を覗き見ようと視線を向けた。



すると、すぐに目が合った。

どうやら、陽光くんはずっと私の方を眺めていたようだ。

陽光くんの口角が少し上がっていてかわいい。



目が合った状態でお互い視線を切らさない2人。

なんだか、アイコンタクトをとっている気分。


自信満々の表情でキラキラとした視線を送る陽光。



彼の思ってること伝えたいことがわかる気がする。




その事実が、私達の距離が縮まったことを示していて少し嬉しい。




「さっ問題配るぞー」


そんな声が前方から聞こえてきた。

1教科目はいきなり数学。


いよいよ私達の運命を決めるテストが始まる。












今日一日のテストが全て終わった。


今日は4科目テストが行われ、明日3科目、明後日4科目と副教科も合わせて目白押しになっている。


「うわー疲れたわ」


さわはそう言って近くの友達に話しかける。


「ほんとだよ〜 ちゃんと点数取れてるから不安...」


「あ〜 達成感えぐ〜〜」


「さわは心配な教科とかないの?」


「心配...?

ないなー 生まれてこのかたしたことない」



「ほんと羨ましい〜その性格」


そんな話をしつつさわは、スマホに電源を入れる。


すると、メッセージが3件届いていた。



よく見ると陽光からのメッセージのようだ。

開いてみる。


さわさん!


やりました!


体育館裏 来てください!




そこには明らかにテンションが高くわかりやすくて可愛い陽光からの文章が送られてきていた。


さわもそのメッセージに嬉しい気分となり、荷物を持って急いで体育館裏に走る。



この学校の体育館裏は校舎からだいぶ離れている。

中々人目につかず、ましてやテスト期間の大事な時期にこんな場所にくる生徒はいない。


なので、私達が会うには絶好のスポットだった。




私が体育館裏につくと陽光くんは既にもう待っていた。


「どーしたん

こんなとこに呼び出して」


そう声をかけると陽光くんは私の方に振り向き、嬉しそうな表情をして寄ってきた。


おそらくテストの点がすごく良かったのだろう。

聞かなくてもわかる程 その晴れやかすぎる表情からわかる。



ただ、一応何があったか聞いてみよう。


「どーしたん ひかる?」


「ねぇねぇ 数学のテストめっちゃできたんです

本当に100点かもしれない」


陽光はとても明るい表情をして笑いながらそう話してきた。


「そーなん! めっちゃナイスやん!」


さわもそう言って喜びを共有する。



「まじこんなにテストの出来がいいの初めてで、感じたことないほどいい気分です!」


「良かったなあ」


「少し前借りしていいですか?」


「え...」


「ご褒美」



陽光はさわの返事を待たずして、抱きつく。


「ひかる...




本当にハグ好きやな...」



「病みつきになっちゃいました





さわさんは嫌いですか?」


「え... まあ...」


なんだか素直に答えるのが照れくさいが、私もこの時間が結構好きだ。



学校では秘密の関係である私達。

家で抱き合うのとは少し違う。


スリルと少しだけの背徳感を感じる。





陽光くんは全く私を離す気配はない。

私ももう少しだけこのままで居よう。



数分が経った。


「てか 明日もテストなんやから さっさと帰るよー」


「えー じゃあ続きはテスト後にお願いします」


もの惜しそうな表情をしている陽光。


「そうやなー

ちゃんと 数学のテスト90点超えてたらな!」


「任せてください」



そう言って2人は2人の家に帰っていった。






3日間のテストが終わり1日経った金曜日。


今日はさわからのご褒美を懸けた数学のテスト 返却日だ。





数学Ⅲ 佐藤陽光  ○○点

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