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第12話 孤高のイケメンと甘い時間

学校から帰ってきたさわは自分の家の前に立っている。




今日は怒涛の1日だった。




朝から、陽光ひかるくんと仲直りをし、私達は少し複雑な関係となった。


学校一のイケメンに、「恋を自覚させて欲しい」と頼んだ。

我ながら、少し贅沢な頼みだった気もする。




学校では、未だ私たちの関係は公に出来ていない。



もし、私たちの関係が明らかとなれば、良からぬ噂、陽光を好きな大量の女子からのバッシングなど面倒なことが起こるのが目に見えている...


なので、学校に居る間だけは他人同士だ。



今の所人間的に友達的に大好きな陽光と学校で長い間話せないのは寂しい。





ガチャ


さわはドアを開ける


「ただいまー」


「おかえりなさい」


玄関まで迎えに来てくれた陽光くん。

やっと彼と話すことができた。


嬉しい。

目の前の陽光もそう思っててくれたらいいなー






「待ってました」


陽光は落ち着きながらも目を少しキラキラさせそう言ってくれる。


「え、今日はバイト無くてはよー帰ってきたから、そんな待ってないやろ」


さわは玄関で靴を脱ぎながら、そう答える。



今日は金曜日

さわと陽光が通う高校では、来週の月曜日から期末テストが行われる。


さわは、テスト勉強に励む為テストまでの3日間はバイトをお休みしていた。





「だって さわさんに早く会いたかったから...

待ち遠しかったです...」


後ろから、陽光の落ち着いた口調が耳に届く。

だが、なんだか少し違和感を感じる。


いつもより大人びていて色気づいてる気がする。

声が聞こえただけなのに、少しドキッとしてしまった。





「学校でも会ってるやん笑」



そんな胸のドキドキを抑える為、笑いながらそう答えるさわ。


しかし、身体は中々動揺を抑えられず上手く靴紐が解けない。


すると、急に後ろから気配を感じた。





慌てて後ろを振り返る。


真後ろほぼゼロ距離に屈んだ陽光がいた。


さらに段々と近づいてくる。


私は、靴紐に手をかけたままただただ動けないでいる。





陽光は玄関で座っている私の後ろに張り付き、手を前に回してきた。


まるで座っている私に後ろから抱きついているような体勢だ。





その手は靴紐を解く私の手を取り、ゆっくりと少し外に避ける。


つい横目で見ると肩には陽光くんの顎が乗っていた。


相変わらすその横顔は、シュッとしていて美しくかっこいい。

それに加えてさらに妖艶な雰囲気が漂っている。







「学校だったら  こんなこと出来ないよ」



そう言って、陽光は私の靴紐をゆっくり解き始めた。



「私に恋を自覚させてよ」そう頼んだのはいいものの果たして何日耐えられるだろうか....






何とか心臓が飛び出そうな中、陽光に靴を脱がせてもらったさわ。


その後、いつもの机に2人で座っている。

次回のテストのために、勉強に励もうとするがあまり手につかない。


さっきの陽光。

あれは何だったんだろうか、雰囲気がいつも違って普段も充分かっこいいがより一層カッコよく見えた。


そんな陽光は、今何食わぬ顔でテスト勉強している。

不思議だ。


『なんで私だけ...こんなに意識してんねん..』

私だけドキドキしてしまって少し悔しい気分。

そう思い、陽光の方をずっと見つめていると視線に気付いたのか真正面に座る彼も私の方を見つめ、つい目が合った。

陽光が口を開く。


「今日はさわさんといつもより長くいれて嬉しいです」


いつもの穏やかな笑顔でそう話す陽光。



これは、普段通りのかっこよさと可愛さが両立している陽光だ。

それに比べて、さっき靴紐を結んでくれた陽光はかっこよさと大人っぽさが両立していた。




「さっきのひかる何やったん?

急に後ろから、抱きついてきたやつ


なんかいつものひかるじゃ無いような」


なんだか、胸の奥がムズムズするため、直接聞いてみるさわ。



「.....」


陽光は机に向かったまま、答えない。


「なあ 聞いてんなんけど」




「....」


再度聞いても陽光は無反応だ。




「なあーひかるー」



そう言って、下を向いている陽光の顔を覗き見る。






するといつもは真白美白な陽光の頬が真っ赤に染まっていた。





「えっ...頬 あっっか

体調でも悪いん?」


「い..いえ..大丈夫です」


「ならどーしたん?」


「な..なんでも無いです」


さわは再三尋ねるが、陽光は歯切れの悪い答えを繰り返す。





「なんでも無いことはないやろ

大丈夫なん?」



「も..もう! 


さっきの光景 靴紐ほどけないかわいいさわさんを思い出しちゃっただけです!

言わせないでください!」




陽光は観念したのか、少し怒り口調で自分の頬が赤くなっている理由を教えてくれた。




あの時、照れて恥ずかしい思いをしていたのは私だけじゃなかったのだ。




「な...なんや そういうことかー」


そう言ってさわは、立って座っている陽光の方に向かう。




そして、撫でようと頭に手のひらを当てた。

すると、陽光の頭はいつもよりとても暑くなっていた。


どうやら相当照れていたらしい。





「あんま無理せんでいいんよ」


さわは、そう言って陽光の頭を撫で始める。




「だって、そうでもしないとさわさん 好きになってくれないじゃないですか」



少し拗ねたような表情で陽光は私の方を見つめてくる。




「私は素のときのひかるが良いと思うから、そんな取り繕わんでもええで」



「はい」


そう言って陽光は後ろを向き、斜め後ろに立っていたさわの腰に優しく抱きついた。





さわは、下で抱きついている陽光の頭を引き続き撫で続ける。




「まあ さっきのひかるもカッコよかったけどな」




さわは、ボソッと呟いた。

陽光の耳には届かないほどの声量で。






ひと段落し集中して勉強に臨む2人。

ただひたすらに教科書参考書問題集と睨めっこし、もう2時間は経っただろうか。



「はあー疲れた...


休憩しよー」




さわはそう言って、背を伸ばした後、台所に向かう。

冷蔵庫から麦茶のピッチャーを取り出して2つのコップに注ぎ入れる。




台所から戻ってくると陽光が机の上に額をつけ俯いていた。




「おっつー」


そう言って、さわが陽光の方にお茶を差し出す。


「ありがとうございます...」


陽光は俯いた状態のまま顔だけ横を向け、ボソボソと呟いた。

わかりやすく落ち込んでいるようだ。


「うぅ...微積が...難しすぎる..」


陽光はそう落ち込んでいる原因を呟いた。





「だ....だれなんだ...こんなもの考えついたやつ 教えようとしたやつ テストに出すと決めたやつ...」


そう早口で捲し立てる陽光。


「そんなこと考えてもしょうがないやん」


つい、ど正論をかますさわ。



「うぅ...だって本当意味わかんないんですもん

終わった 僕の次のテスト終わり...ついでに人生も終わり...」


勉強になかなか苦戦しているせいか、ネガティブモードに入っていく陽光。

潰れそうな弱々しい口調でそう呟き続けている。





「私が一緒にいるのに、人生終わりなの?」


見かねたさわは、そう励ます。

その表情はすこし得意げだ。




「人生 始まりました」


陽光は即座に起き上がり目をキラキラさせる。

すぐに精気を取り戻したようだ。



「じゃあテストもはじめよ!」


「はい!」


陽光は、やる気に満ちた表情をしている。




「なんだかさわさんと居ると何でもポジティブに変換してくれるから毎日楽しいです!









ほんと好きだな...」





「.....で...どこがわからへんの?」



ストレートに気持ちを伝えられたさわは、照れを隠すために話題をそらす。





「えーとですね 


ここが....どういう意味なのか..」


「あね! ここはねー



…ってちょい教えづらいな」


2人は向かい合って座っているため、勉強を教えるにはやりづらい状態になっている。




「僕がそっち行きます」




そういって陽光は、自分の椅子を持ちさわの隣に座る。




元々広めの1人用のテーブルだ。

片方だけに2人座るとギュウギュウ詰めになってしまう。

最早、ただ座っているだけで肩がぶつかる。




ただ、なんだかそのような距離感にも少し慣れてきたのか、以前のようにドキドキはしなくなり、安心感を感じるようになった。



「この公式は、こう理解するとわかりやすいかもな!

だから、例えばこの問題だとこういう風に解けて...」


さわは上手く半身の体勢をとり、教えている。






「なるほど!わかりました


めっちゃわかりやすいです!さわさん」





「い...いやそうでも..」


ストレートに褒められ、はにかむさわ。




「じゃあ、この問題もいけそうやない」




「はい!」




「ほいなら 頑張って!

私はあっち行ってるから」


流石に問題解くときに邪魔になるだろうと考え、向かい側まで移動しようと考えるさわ。






椅子から立ち上がろうとすると、そっと袖口をつかまれた。





「い...行かないでください」




「え...」



「なんだか...さわさんが隣に居た方が捗ります

すごい安心感があるというか..」




「でも 邪魔やない?」




「嫌いな数学に向き合ってるんだから、そんくらいご褒美ないと頑張れないです」



陽光はすこしあざとく上目遣いをしながら、そう訴えかけてくる。






「うん わかったよ」


さわのそんなかわいく頼まれたら、断り切れず2人は隣同士ある種密着しながら勉強に励んだ。


ときより肩や腕がぶつかるし、よこで一生懸命勉強している姿が視界にはいる。

それなのに、いつもよりも集中して勉強することができた。







時刻は19:30



「疲れたーー」




そう言って、3時間弱数学と向き合った陽光は机の上で伸びている。





「おつかれやー」


リビングの地べたに座ってゆっくりしているさわは、陽光にそう言葉をかける。



今日はバイトが休みなため、さわが晩ご飯を作る係になっていた。

ささっと具材をきりシチューの素とともに鍋に投入して、今出来上がりを待っているようだ。





「疲れました」


そう言って勉強が終わるやいなやすぐにさわの隣に移動して座り込む陽光。




「頑張ってるね」



さわは、読んでいた本を閉じ 隣に居る陽光の方を向く。






「はい ご褒美に膝枕してください」






「え...」


急すぎる提案に戸惑うさわ。

思えばいつも陽光は急に甘えてくる。





「ま....いいけど..」





「ありがとうございます

失礼します」


そう言って陽光は、待ってましたと言わんばかりにお姫様座りをしている私の膝に頭を添える。





上手く体勢を整えはじめ、横顔を私の膝につけ私の方を向きながら横になる姿勢をとる。

丁度、私の下腹部くらいに陽光の目鼻口が来ている状態だ。


手はゆったりとり、膝は少し曲げている陽光。

とても気持ち良さそうにしている。

かわいい...





「さわさんとおんなじ大学行きたいな...」


陽光は急にぼそっと言い始めた。




「早すぎるやろ笑

ほぼ2年後やで まだ」



「なんだか考えちゃって


さわさん 凄く成績いいじゃないですか..」


元々、2人が通っている学校は大分進学校だが、その中でもさわは学年上位10位に入るほど勉強ができる。





「だから...頑張らないとなーって」




「頑張るん? 勉強」


そう言って、さわは陽光の髪の毛をなんとなく指でなぞり耳にかける。





「はい..やっぱさわさんの成績に追いついて、同じ所行きたいから」


「だから 気が早いやろ笑」




「こんくらいの時期から頑張らないと厳しいじゃないですか」


「確かに...

でも大変やで 私が言うのもなんやけど


大丈夫なん」


「はい!

それになんだかワクワクしてるんです


初めてちゃんとしたやってみたい目標ができてそれに向けて頑張るのが」


陽光は、私の方を向いたままはっきりとそう話している。



「めっちゃいいじゃん!!


私も色々協力するから、いってな」


そう思ってくれた陽光にさわもなんだか嬉しい気持ちが湧いてきて、明るい口調になる。



「え ありがとうございます!

めっちゃ心強いです!」


「次のテスト

数学目標何点なん??」


「さわさんは何点なんですか?」


「んー私は90点かなーー」


「じゃあ僕も90点を目指します。」


「おーいいね!

がんばろな一緒に!


達成出来たらお祝いやな」


2人だけの特別な空間と時間に話が膨らむ2人。





「え 嬉しい


それなら、もし90点超えたらご褒美くだいさいよ」




「うん ええで

何が欲しいの??」





「何でもいいんですか?」


「ま...まあ基本はな」







「じ...じゃあ  き....キス...」


陽光は恥ずかしそうに、そう話す。


「おい


それはダメやわ」


さわは真剣な表情をしながら冷徹に断る。

真下に佇んでいる陽光の肩を「おい」と手で少し押す。




「ごめんなさい

調子乗りました」


陽光は若干ションぼりする。



「まあ いいけど」


「え..キスがいいってことですか?」


陽光は再びテンションがあがり、さわの顔を真下から目を輝かせ見つめてくる。






「ちゃうわ!

キスしたいみたいなの言うのは許すって話」




「あっ そういうことですね」


陽光の目は輝きを失い、またションボリし始めた。



その後、ご褒美について考慮し始め数十秒経った後口を開いた。








「じゃあ 3分間無言ハグ」


陽光は、少し照れくさそうにしながらご褒美の提案をする。




さわは黙ってうなずく。




「あとプラスで1日デート」


もうちょいいけそうな雰囲気を感じとった陽光は、ご褒美を加える。




「贅沢やなーー笑」


さわは、微笑みながらそういう





「90点とれたらな!

ほら、シチューできたから食べるで」




「えーもーちょっとだけ...」


陽光は物惜しげにそういう。


なんだか陽光は少し甘えん坊らしい。





「ん...少しだけな..」




さわも今の状態を少し気に入ってるのか、もう数分だけ2人はこのまま2人だけの時間を味わった。



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