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10/12

第10話 孤高のイケメンと嵐の予感?

始まった同棲生活


2人の関係性はどのような方向に進むのか...

時刻は、午後8時

半同棲生活が始まり、10日間が経った頃


私はバイトが終わり、急いで帰ってきた。

自分の家のドアを開く。


「ただいまー」


そう言って部屋に入る。



「おかえりなさい

今日もお疲れ様です」



そう言って学校一のイケメン 佐藤 陽光ひかるくんが玄関まで迎えにきてくれる。




陽光くんには合鍵を渡しているため、自由に入りご飯を作っている。


「いやーお腹すいたぁ

ひかる 今日のご飯何作ってくれたん?」


「今日はですね   カレーです」


「おっ いいねぇ」



上月こうつきさわは、持っていた荷物をリビングの適当な場所に置きキッチンへ向かう。


「どれとれ」


鍋の蓋を開け中で煮込まれているカレーの様子を見てみる。


「えっ、めっちゃ美味しそうじゃん!」


美味しそうな夜ご飯にわかりやすくテンションが上がるさわ。

その隣にはいつの間にか陽光が立っていた。



「でしょ もうすぐできます

味見してみます...?」


陽光はそう言って、スプーンを渡そうとする。


「うゎー 私まだ 手を洗ってないわぁ

うぅ でも味見したい...」



味見したくても出来ない状況に、歯痒さを見せるさわ。


どうしよう...と迷っていると...





「僕が口まで、運びましょうか?」





急に気恥ずかしい提案をしてくる陽光。

しかし、その表情は真剣だ...


キッチンの前で横並びに立っている2人




「じゃあ お願いします..」




さわは、少し恥ずかしそうにしながら頼む。



スプーンでカレーを掬う陽光。


「はい 口開けてください」


そう言われて、これでもかと大きく口を開けるさわ。



すると、クスクスと笑いだす陽光。





「わに?(なに?)」


さわは、急に笑い出した理由がわからず尋ねる。


口は大きく開けたままなので、上手く話せない。




「上月さん.. 口開けすぎですって笑」


陽光は笑いながら、そう言う。




その指摘に、恥ずかしくなり口を閉じるさわ。


「ひかるが、開けてって言ったんやろ!」



「言いましたけど...まさかそんなに大きく開けるとわ笑」


からかってくる陽光に対し、さわは『おい!』と言わんばかりに陽光の肩を叩く。



そうして笑い合う2人



2人だけの世界で、幸せな時間を過ごしているようだ。






「上月さん カレー冷めちゃうんで、丁度いい感じに口開けてください」




「こ...こんくらい?」


今度は、控えめに口を開くさわ。


「お いい感じです」


温かな温度を持ったスプーンがさわの舌に触れる。

口を閉じると、陽光くんがスプーンを引いてくれる。


なんとも贅沢な気持ち。

そして、心がホカホカする。


「うん おいしい」


さわは、控えめな口調で柔らかく微笑みながら隣の陽光に語りかける。


「良かったです」


陽光もそう言って微笑み返す。

その表情は、見とれてしまう程美しかったし、心がホットする感覚になった。




カレーは当然美味しかった。


とてもスパイシーなんだが、どこか甘味を感じる。

そんな味だった。








始まってから、10日経った半同棲生活。




振り返ると色々なことがあったが、その中で陽光くんについて色々なことがわかってきた。




陽光くんは、本当にマメな性格だ。

料理では寸分違わぬ計量により最高に美味しいご飯を作り、掃除では1つの埃も逃さぬよう隅々まで綺麗にしてくれる。




性格で言うと、意外にもいい意味でノリが良くすぐ調子に乗る。

さっきの味見がいい例だ。



距離感バグは相変わらずで、むしろ強化されている気さえする..


この前なんて、

「ひかるー ベットまで運んでー」

と冗談で言ったら、そのままお姫様抱っこされて運ばれた。

そんなこんなで、毎回ドキドキさせられていて、ほんと心臓がもたない...



あと、陽光くんは凄く寂しがり屋だ。

大体、寝る時間の直前まで帰らない。

スマホ触ったり、テレビ見たりと自分の部屋でもできることを私の部屋でし続けている。

そんな所がかわいい。




ただ、少し距離を感じる部分もある。

いっつも敬語で話すし、呼び方は上月さんのままだ。

そんな所が少し寂しかったりもする。


とっ こんな事を考えている内にカレーが出来上がった。




パチ!



「いただきます」




2人はテーブルにつき、一緒に手を合わせてから食べ始める。




「うん、めっちゃ美味しい」


さわは、目の前にいる作ってくれた人に感想を伝える。

その人は褒められて少し嬉しそうだ。


会話を挟みつつモグモグと食べる2人。




カレーはドンドン無くなっていき、お皿に残っている量もあと少しとなったところで...




ピーンポーン!



突然、インターホンが鳴った。




「なんやろ こんな時間に」


少し不安な気持ちになりながらも、当然家主の私が、対応するためモニターを見に行く。





「やっほーー  さわちゃん居るー?

メーター回ってるから、居るよねー??」



そこには、若い女性が写っていた。




「お..お姉ちゃん!」



それは、さわのお姉ちゃんだった。




さわには、実は姉がいた。


性格は明らかに母に似ているのだろう。


高校を卒業すると同時に家を出た。

別に仲が悪いから家を出た訳ではなく、旅をしたいという理由で出たと言う。

以来、彼女はアルバイトで資金を貯めては、国内外問わず旅立っている。




さわは、慌てて玄関に行きドアを開けて出迎える。


「おひさーー 元気してたー」


そう言って、出迎えてくれたさわに抱きつくお姉ちゃん。

どうやらさわのお姉ちゃんは、常にハイテンション人間らしい。


「何しにきたん??」



怪訝そうな表情でそう聞くさわ。


「いいでしょ! いつきても!」


そう言ってお姉ちゃんは、ハグに満足したのか一度解き、さわの両肩を掴む。




「いや、そうやけど


ていうか、なんで住所知っとるん?」


「それが、母さんから手紙もらってな

さわちゃん一人暮らししてるって聞いたから、日本寄ったついでに顔見に来た!」


「なんだ、心配して来てくれた訳じゃないんだ」


「えっ、うん  さわちゃん しっかり者だから一人暮らしぐらい平気でしょ」


「まあ、そうやけど」



今度は、靴を脱ぎ入って当然と言わんばかりにさわの部屋に入ってくるお姉ちゃん。


「あっ待って...」


部屋には陽光くんがいる。

そのことを説明し忘れていたため、急いで止めようとするさわだが遅かった。



「お邪魔しまーす

まっずは、ビールをれーぞーこにー」


そう言ってリビングに入って来た。

ふと、リビングに目をやるとお姉ちゃんの目にスーパーイケメン高校生が映った。


予想外の光景に慌てて二度見するお姉ちゃん。


対して、何も知らない陽光は困惑の表情を浮かべ固まっている。





「えっ男...」



とそこへ、お姉ちゃんの靴をなおし終えたさわが慌ててリビングに戻って来た。




「さわちゃん もう彼氏連れ込んでるの?

しかもめっちゃイケメン」


戻って来たばかりのさわにそう話しかけるお姉ちゃん。


「違う違う 学校の友達

毎日ご飯作ってくれてるの」


「えっ..彼氏でもないのにご飯作ってもらっているの!?」


お姉ちゃんは少し驚いた表情をしてそう聞く。


「うん 利害の一致ってやつや」


納得していない表情のお姉ちゃん。





「ふーん まあ いいわ

とりあえずお腹すいたから、このカレーもらっていい?」


「ええけど、食べる場所ないぞ」


さわは冷酷な口調でそう言った。


リビングにある机は、大きめの1人用で頑張っても2人しか使えない。





「じ...じ じゃあ 僕がどっか...行きます」



この状態に陽光くんが口を開いた。


しかし、初対面のハイテンション女性に話しかけるのはハードルが高かったようで、話し方がおかしくなる。

 



「どっかって... どこへ?」


お姉ちゃんは純粋に疑問に思っている表情で、そう聞き返す。




急に質問された陽光は、緊張で肩が上がりこわばった表情をしながら


「ど...どこか...

どこでしょう...」


と答える。



「なんやそれ」


お姉ちゃんは少し笑いながらそう返す。




「まあ私が、ここで食べるわ

わぁうまそ! 君って料理上手なんだね」


「あ....ありがとうございます」


陽光は、凄く小さな声でそう返した。

しかし、お姉ちゃんにはどうやら聞こえてないよう。



お姉ちゃんはキッチンでカレーをガツガツ食べ始めた。




さわは、陽光が座っているテーブルに戻る。


どうやら陽光は異様な存在に緊張で固まっているようだ。




さわは、陽光が座っている椅子の後ろに回る。



「ほんまごめんな ひかる 初対面の人苦手ってわかってたのに..

あれ 私の姉の上月さく」




さわは、陽光の力が入り上がった両肩に手を置きながらそう話す。

丁度立っているさわが、座っている陽光を見下ろすような態勢だ。




「すみません 僕こそ上手く話せなくて

なんて言うか愉快な方ですね..」


陽光は、そんなさわを見上げながら話す。


「そお  愉快すぎるよな」




2人は、上下の特殊な体勢で目を見合わせながら笑い合う。






「今日は、僕 邪魔だろうし帰りますね」


食べ終わった陽光は、そそくさと隣にある自分の部屋に帰ろうとする。




「待って!」


そう言って、急にお姉ちゃんが帰ろうとした陽光の服を掴んだ。




「もっと教えてよー あなた達の関係について」


お姉ちゃんはニヤニヤした表情を浮かべている。



「おい 帰りたがってるんだか邪魔するなや」


さわがそう言ってお姉ちゃんを制止しようとする。




「えーでも気になるじゃん 彼氏でもないイケメンくんがなんでさわの部屋にいるのか」


お姉ちゃんは、ビールを片手に持って、2人を交互に見ながら話す。





「それに、姉としてさわちゃんに危害加える男なら止めないとだし」



お姉ちゃんは、若干陽光の方を睨んだような表情をしながら言った。




「ひかるはそんなんじゃない!」




さわは、怒りながら反論した。




「ひかるは、バイトで忙しい私のためにご飯とか善意でいつも作ってくれてるの


そんな優しい人を悪く言わないで」



さわの本気で怒っている顔をみて、お姉ちゃんも少し申し訳なさそうな顔をしている。



「ごめんごめん

そんなつもりじゃなかったの」


そう言って謝るお姉ちゃん。




「でも、あの子絶対さわちゃんに気があるじゃん」





「え.. どういうこと?」




さわは、一瞬お姉ちゃんの言った言葉が理解できず聞き返す。




「ひかるくん... だっけ?

さわと話している時の表情 あれ明らかに恋してるときの表情じゃん


それに、好きでも無い女の子のために毎日ご飯作ったりしないでしょー」





「い...いや そんなこと...」


あまりに不意打ちなお姉ちゃんの発言に、さわも気持ちの整理がつかない。




「ないよな..」


とりあえず直感的に否定したくなったさわは、そう陽光に問いかける。




「.....」



陽光は、何も話さない。

否定しない。肯定もしない。



ただリビングの端に頬を赤らめながら立っていた。




部屋に少しばかり沈黙の時間が流れる。




「それに同棲なんて、付き合った後にするものよー 普通は」


急に、口火を切るお姉ちゃん。



「ど...同棲... ではないやろ」




さわは瞬時にそう否定したが、よくよく考えてみるとどうだろう...?




ご飯が終わった後も一緒に勉強したり、一緒にテレビを見たり、一緒に雑談したりと、寝る前までずっと一緒に居る。



確かにこれは世間一般的には同棲と言うのかも知れない。





「それが、楽しいし幸せなんだからいいじゃん...」




少し間をおいてそう呟くさわ。




「ふーーん」



お姉ちゃんは意味深な笑みを浮かべながら、2人を見つめる。




「まあ、2人のことだし私が口出すことじゃないかー」


やれやれという表情をしながらそう話すお姉ちゃん。


「いや、めっちゃ口出しとるやろ!」


瞬発的にツッコむさわ。


先程の動揺から、少しいつもの調子に戻ったようだ。




「うし!

元気そうなさわちゃんも見れたし、私はこれで帰るねーー

おまたーー」


「え..もう帰るん」


「うん」


そう言って、お姉ちゃんは急いで荷物をまとめ、帰ろうとリビングを後にした。




「玄関まで送ってくる」


陽光をリビングに残し玄関に向かうさわ。







「全く、何しにきたんや」


履きづらそうなブーツを履いているお姉ちゃんにさわが話しかける。


「だから言ったじゃんーー

顔見に来ただけだって


それに若人2人の邪魔かなーと思って」



確かにめっっっちゃ邪魔だった。

お姉ちゃんに客観的に自分を見つめられる能力があって良かった。




「じゃあまたね!

今後来たときは恋人同士の2人に会いに来るわ!」


「だから、そんなんじゃないって」


いたずらな笑みを浮かべて軽やかに去っていくお姉ちゃん。




玄関の扉が閉まる。




まるで嵐が過ぎ去った様に、お姉ちゃんは私達の部屋と関係性をグチャグチャに踏み荒らしながら帰っていった。




リビングに戻るさわ。




すると、陽光くんは地面に体育座りをして待っていた。




その隣に自然と同じ体育座りをするさわ。




「大変やったな」


「そうですね」



横目に陽光くんの表情をみると、なんだか疲れている様子だった。

それでもその横顔はとても絵になるかっこよさと美しさをはらんでいる。



「お疲れか

中々おらんタイプの人種やもんな」


相当なズカズカ系であるお姉ちゃんに人疲れしている陽光を慰めようと、さわは陽光くんの頭を撫で撫でする。


陽光くんは軽く目をつぶり気持ちよさそう、それでいて嬉しそうな表情をしている。




「しかし、確かに私達の関係って少し特殊だよね

付き合ってもないのに一緒に生活してるって」



先程お姉ちゃんに指摘された時は、すぐに否定した。

しかし、よくよく考えてみると自分たちの関係について少し疑問を持ち始めていたさわ。


つい、思っていた言葉が口から漏れてしまった。




2人の間に静かな時間が流れる。





「じゃあ....」




さわの手のひらが頭に乗った状態で、こちらの方に顔を向け私の目を見てくる陽光くん。









「付き合ったらいいんじゃないですか?」





普段通りの表情をしながら、そう語る陽光。





「え....冗談?」



慌てて聞き返すさわ。






「本気です

だって僕、上月さんのこと...もう好きなんで」

陽光くんの告白


さわは、どう答えるのか....

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