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人魚の伝説がある川にて

作者: しょーかk

どこかの世界、ナーロッパぽい場所を舞台にしたハイファンタジー。

そして壮大な物語が今…始まりそうなのを序盤で味わってくれたらいいな、と。


まあそういう感じで、いきます。

あと、本編には直接は関係ない(間接的には関係あるけど)あとがきが、なぜか長くなりました。

そこは、少なくとも日本ではない。

どこか遠いところだろうか。

時は今よりはいくらか昔だろうか。それともパラレルワールドか、まったくの異世界か。

平野や森が広がるその広い地域には、大きな川が流れていた。

中流や下流になると、何本も枝分かれし、そして流れていく。


水豊かなところに、人の営みあり。

その流れに沿って、いくつもの集落や村、さらには町。そういったものが点在していた。

それも多くの。その集落たちは、農業や商業を営み、そして互いに物品や人が多く行き来していた。

さらに川で魚の漁も行われることも多い。


すさまじく栄える、というところまではいかないものの、それなりに日々暮らせるだけの糧を得て、物々交換などの貿易もしながら、それぞれの集落は、貧困にあえぐというところまではいかずに、生活を営んでいた。


それぞれの行き来は、徒歩や、あるいは馬車等も使われるが、他に多く使われたのが川を使っての行き来。

大きな船や、大きくはない舟。

そういったもので人や物品の行き来がなされていた。

場所によっては、徒歩や馬車では遠くとも、川から行けば流れにも乗って、かなり速くに行き来しあえる場所も多かった。


その川は、人々に恵身も与えるが、それだけではすまないところもある。

流れがかなり急なところも多いし、難所も多い。

そういったところで、舟の難破や座礁もあった。

頻繁に、というほどではないが、まれにしか起こらない、というほど少ないというわけでもない。

そして、溺れ命を落とすこともある。

それゆえ、川は信仰の対象でもあると同時に、おそれを感じる対象でもあったのだ。


そして、難所のいくつかには、人魚の言い伝えもあった。

難所にある岩の上に、人魚の美女が座っている。

人魚は美しい歌声で歌を歌う。

舟をこいでる舵取りは、その人魚の声と姿の美しさに心を奪われてしまい、操舵を誤り、そして舟は座礁したり転覆したりするのだという。

信じる者もいれば、信じないものもいる。

ただ、そういった人魚の言い伝えは、その地方には広く伝わっているのだ。


日も暮れてしまい、夜にさしかかったところ、そのかじ取りは舟を一人でこいでいた。

浅黒く日焼けした、やや筋肉質の、それなりに若い男。

船頭としての経験は、とても浅いとまではいえないが、最近はようやく一人で舟を任せられる域に達したというところか。

いくらか、やや多めの荷物を舟に載せ、運搬の仕事として舟をこいでいた。

「すっかり遅くなっちまった」

予定より遅くなってしまったらしく、少し急いで目的地に向かっているようだ。


その舟がとある難所にさしかかる。

そこで何隻もの舟が事故にあったことがあるという、いわくつきの場所。

そして舟を事故においやる人魚のいる場所の一つとしても、よく語られている場所だ。

(そういや、ここには川の中ほどに飛び出てる岩があって、そこに人魚が座って、歌を歌ってる、て聞いたことがあるな)

と男はふと思い出したところ、その岩らしきものが目に入った。


そこに女が座っている。若い女だ。

しかも美しい。さらに裸だ。

「え?」

縮れた髪は背中にもかかるほど長い。上半身は裸だが、乳首はその長い髪の毛におおわれて見えない。

そして下半身は・・・最初は何か履いているのかと思ったが、違う。

あれは尾びれじゃないか・・・。完全に大きな魚の下半分だ。

それを履いているかとはじめは思ったが、違う。完全に一体化している。

まぎれもなく人魚だ・・・!


月明りに照らされ、さらに美しくみえる人魚は、何やら歌も歌っている。

美しい声だ。

(だめだ、歌を聞いてしまうと・・・心を奪われ、操舵をあやまり、座礁したり転覆したりしてしまう・・・・!)

抵抗しなければ、と思った男だったが、その美しい歌声は、男の耳にしかりと入っていく。


歌を歌う人魚。美しい声でこんな歌を歌っていた。

「硫酸どろどろなんでも溶かーす りゅうさんドロドロなんでもとかーす

硫酸ドロドロなんでもとかーすよー

あなたもとけーる わたしもとけーる

なんでもとかーすよー

肉もとけーる 骨もとけーる アルミもとけーる 亜鉛もとけーる

鋼鉄だって とけちゃうぞー

硫酸どろどろなんでも溶かーす りゅうさんドロドロなんでもとかーす

硫酸ドロドロなんでもとかーすよー」

・・・・・その歌を聞いて男は思った。

「・・・カーカス?・・・・・いや歌の感じ聞くと、異世界おじoんで氷剣使いが、おじさんに頼まれて歌った、UFOキャッチャーの曲っぽい感じがするような気もする・・・・」

なお、男は座礁することも転覆することもなく、無事に目的地に着いたそうな


すまぬ、こういうオチだ。

異世界おじさんは伏せ字にしておいた。


カーカスの説明→

初期はグロいジャケット、グロい曲グロい曲名グロい歌詞て悪名轟かせたデスメタルバンド。

なのでネット検索する際には要注意。

90年代、デスメタル黎明期に現れたイギリスのデスメタルバンドで、90年代前半はメタル好きにすらイロモノ扱いされてたデスメタルの中でも、特にそのグロい方向性ゆえに、特にエグくてひどい特上のゲテモノ扱いされてたバンド。

原題というか邦題でも、腐った内臓だの硫酸どろどろなんでも溶かす、だの死体に花をさかせましょう、だのひどすぎる曲名で、一部のマニアをのぞけば、メタル好きからも完全にネタ扱いされてたバンドだったが。


90年代中期から後期、ハートワークで大きく方向性を転換。

当時デスメタルにはメロディというものが完全に皆無の、ひたすら混沌としたサウンド(あと、低予算で作られたものが多く、録音状態の悪い、すごくこもった音源の作品も多かった)だったのだが、カーカスのハートワークではデスメタルにメロディを大胆に導入。

一気に評価が高まり、あのゲテモノだったカーカスが、あんなにメロディアスなクオリティ高いものを作るとは、とメタル界に衝撃が走り、メタラーたちは度肝を抜かれたのである。


さらにスウェーデンからはインフレイムス、ダークトランキュリティ、アットザゲイツ、フィンランドからはアモルフィス、センテンスト、

等々大胆にメロディを導入したバンドが次々登場し、メロディックデスメタルというジャンルが誕生し、大きな勢力になる。

初めはメタラーの大半からもゲテモノ扱いされてたカーカスが、まさかアンダーグラウンドで大きなジャンルとなっていく、メロディックデスメタルの始祖的な存在になるとは、と当時のメタラーたちも驚いたものである。


とりあえずカーカスと硫酸どろどろなんでも溶かすの説明をあとがきでしておきたかったのでしたが、予想外に長文になってびっくりです。

ちなみに、硫酸どろどろなんでも溶かす、は人魚が歌ってたような歌や歌詞ではありません。


あと、鬼滅の刃が流行ったころにカーカスのミニアルバムが出ました。

邦題は鬼メスの刃でした。

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