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第87話 伝説の力

 絶望の城が崩壊し、アンゴル・モアは最終形態に変身して空高く浮いていく。


 さくらたちはこのままでは勝てないと判断して撤退し、ボロボロになった晃一郎を運んで避難をする。


 羽田空港に戻り、さくらたちの無事を確認したシロンは嬉しそうに駆け寄る。


「皆さんよくご無事で!」


「はい! 少しここを借りてもいいですか?」


「構わないよ。ゆっくり休んでくれ」


「ありがとうございます」


「うう……!」


「晃一郎さん! お目覚めですか!?」


「ああ……。どうやら俺……過去の自分に勝ったんだな……」


「はい! あなたは奴の洗脳に勝ったんです!」


「そうか……。俺……少しはみんなの役に立てたんだな……」


 晃一郎はアンゴル・モアの洗脳に抵抗し、体も心も魔力を使い果たして意識を失いかける。


 力自慢で野球のことで仲がいいほむらは晃一郎を抱きかかえ、安全な場所へと運ぶ。


「大丈夫ですか!?」


「無理は禁物です。休んでてください」


「そうさせてもらうよ……。あのアンゴル・モアが巨大化して、圧倒的なマイナスエネルギーを出してるわけだが、どうやって対抗すべきか……」


「あの……一つだけ心当たりがあります」


「え……?」


 晃一郎は自分が一番つらいはずなのに世界のことを気にかけ、アンゴル・モアを倒すにはどうするかを考える。


 しかし今のさくらたちの魔力では、あのアンゴル・モアに敵うはずがないこともわかっている。


 考え込んでいるとシロンは何かを思い出したかのように提案する。


「シロン、何か知ってるのか?」


「これは僕も本当かはわからないし、ただの言い伝えかもしれない。それでもそれが本当なら、アンゴル・モアに対抗できるかもしれないんだ」


「そうなのか! それってどんな言い伝えなんだ?」


「えっと……去年に7人の賢者は当時の国王に力を奪われ追放されたってのは話したはず。その封印された力はそれぞれの出身地に隠され、いつの間にか風化して王家では誰も知らないままどこかに眠ってるんだ。その封印された力を見つければ、城の地下に封印してある平和の杖に祈りを込めてその賢者の力を覚醒させることが出来るんだ」


「そうなんだ!」


「それとその7人の賢者の力を手にした後にレインボーランドの救世主で守り神のエイレーネさまに認められるために、前の祭壇で神の力である飛翔(ひしょう)の奇跡を得るんだ。賢者のご先祖様はエイレーネが生み出した7人の使徒だから、彼らの力を借りれば空も飛べるし、アンゴル・モアとも対抗できる」


「そうとわかれば早速レインボーランドに行こうではないか!」


「でも晃一郎さんはどうすれば……?」


「俺のことは心配するな。もう君たちに世界の希望を託したんだ。おとなしく休んでピンチの時に駆けつける準備でもしておく。だから行ってこい、7人の賢者の力を得るために」


「水野さん……わかりました! 私たちに任せてください!」


「白銀さんも皆さんと一緒について来てください」


「わかりました。皆さん、またよろしくお願いします」


「「「うん!」」」


 さくらたちはシロンの提案を受け入れ、アンゴル・モアを倒すためにレインボーランドに長旅をする準備をする。


 晃一郎は一度事務所で休み、シロンと共にさくらたちの無事を待つことにした。


 雪子もさくらたちと一緒に行動することが決まり、シロンは雪子に近づいて何かを伝えようとする。


「雪子は神の力を得る儀式には絶対に必要なんだ。君の歌声で聖歌を歌い、彼女たちの支えになってほしい。それじゃあみんな、どうかご無事で」


 シロンはさくらたちの前に尾旅の扉を召喚しレインボーランドに送る。


 晃一郎はシロンの付き添いで一度病院で安静にさせる。


 さくらたちは続々と旅の扉へ入りレインボーランドに向かった。


 王国に戻ると王国の人々はさくらたちに一礼をし英雄のように迎え入れられる。


「すっかりボクたちも英雄になったね」


「そうだな。だがまだ真の世界平和は掴んではいないぞ」


「アンゴル・モアを倒せばレインボーランドにも真の平和が訪れるのでしょうね」


「あ、いたいた! アルコバレーノの皆さん! シロン王子からテレパシーで話は聞きました! そこであなた方にお会いしたい方がいるそうです! 王宮の中庭まで来てください!」


「私たちに?」


「誰なんだろう……?」


「とにかく行ってみましょう」


 レインボーランドに来て早々さくらたちに来客がいると兵士の男性から聞き、王宮の中庭まで向かうことになる。


 それまで馬車で送迎され、さくらたちは先ほどの戦いの疲れを少しだけ癒すことにする。


 中庭に着くと、そこには意外な待ち人がいたのだった。


「久しぶりね、アルコバレーノのみんな」


「モノクローヌ!?」


「どうしてここに!?」


「そういえば改心して闇魔術とその防衛術の研究をしていましたね。お元気でしたか?」


「ええ。おかげでアンゴル・モアが復活し、ついに恐れていたことが本当になったわ。そこで私は神話を研究し、モノクロ族がなぜ彼女の力を手に入れてしまったのかがわかったの」


「やはりアンゴル・モアに騙されたのかしら……?」


「ええ、闇魔術を元々得意としていたから、その闇魔術を悪用させるために洗脳しモノクロ族を操ったの。私の時と同じようにね。だからモノクロ族は洗脳に抵抗しながら民族浄化のために自決し、レインボーランドはモノクロ族の無念を慰めるために闇魔術に対するコントロールと防衛術を研究した。それでも圧倒的な魔力を恐れて賢者たちを追い出したのだけれどね」


「その賢者の力を得るにはどうすればいいんですか?」


「賢者の出身地に封印してあるカラーオーブを見つけて神の祭壇で祈りと儀式を行い、飛翔の奇跡と無限の魔力を借りるのよ。あの時、私に放った究極魔法の進化形も覚えられるわ」


「わかった! ありがとう!」


「それと……ビアンコ王があなたたちの事情をシロンから聞いて『長旅になるだろうから汽車を自由に使いなさい』と言ってたわ。ここから近い場所は…クリムゾーンの町ね」


「クリムゾーンの町は確か火山地帯のある砂漠でかつては人が住む場所ではなかったけど、アハマールの時代に砂漠の中で温泉が見つかって栄えた町だって兵士さんから聞いたことがあるよ」


「アハマールって確か、アタシのご先祖様か!」


「そうとわかればレッツゴーだよ!」


「「「おー!」」」


 千秋の掛け声で長旅の気合を入れ、汽車に乗ってクリムゾーンの町へ向かう。


 クリムゾーンの町はモノクロ団四天王のアクマージとの戦いで一度訪れたが、ゆっくり刊行する暇がなかったのでどんな町だったかは覚えていない。


 ただ砂漠地帯で火山が多くあるという印象は僅かに残っており、念のために水を多めに用意する。


 こうしてさくらたちのレインボーランドでの長い旅が始まったのです。


 つづく!

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