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第63話 大きな災い

 アルコバレーノは四天王最強のダークナイトを倒し、レインボーランドの平和を取り戻す。


 移動のために汽車に乗ると、戦いの疲れによって王国に着くまで眠りにつく。


 王国に着くとさくらたちは汽笛で目が覚め、ビアンコ王のところへ向かう。


 王室へ着いてビアンコ王に早速報告する。


「おお、よくぞ戻った。その顔はもしや……?」


「はい! ダークナイトを倒しました!」


「あの四天王を全員倒すなんて……君たちは本当に救世主だ! 黒田くんもこの子たちが誇らしいであろう!」


「はい! この子たちの活躍に私も頑張らないとって思いました!」


「社長も体を張って戦ったじゃないですか! 社長がいたからアタシたちは勝てたんですよ!」


「そうですよ! 私たちの勝利は社長の勝利でもありますよ!」


「これでようやくモノクローヌの結界も解けると思います」


「ええ。後は結界が解かれるまでゆっくり休みなさい」


 ビアンコ王は涙ぐみながら喜び、純子はアルコバレーノの成長ぶりに感動する。


 みんなで喜びを分かち合っていると、さくらはふと気になったことを漏らす。


「あのっ! 私、すごく気になる事があるんですけど……」


「何かあるのかい?」


夜月(やつき)さんと水野さんが付き合ってて、社長や灰崎(はいざき)記者とは高校の先輩後輩なのはわかってますが、社長と水野さんって、ものすごく信頼し合ってて、昔からのお知り合いだったんですか?」


 さくらが社長に質問し、ビアンコ王も気になるのかジッと見つめる。


 視線は純子の方へ向かい、純子は誇らしそうに笑顔で澄香の事を話す。


「そうね。もう水野さんの事を話す時ね。最初に会ったのは4年前ね。あの時はまだ水野さんはネットアイドル『すーみん』として活動していて、エガオプロダクションに所属していたわ。その時のプロデューサー兼マネージャーが夜月くんだったの。それから水野さんはすぐにアイドルとして成長し、たった1年で紅白歌合戦に出場が決まり、世界ツアーも夢じゃないって思われてたわ。ところが高飛車財閥(たかびしゃざいばつ)が芸能界にまで手を出し始め、エガオプロダクションが高飛車財閥に買収されたの。そこで高飛車会長は『我が社風に逆らうやつは排除せよ!』と言い出し、社風に反対していた水野さんにストーカーを送り込み、夜月くんと一緒に嘘のスキャンダルでねつ造し、引退に追い込んだの」


「そんな……! 酷い……!」


「高飛車財閥はそんな事をするんですか……?」


「そして二人はその責任を押し付けられて事務所をクビにされ、私自身も高飛車財閥から圧力がかけられたわ。同時に父が病死し、私は高飛車財閥によって芸能界に居場所がなくなった。だから決心したわ。エガオプロダクションの理念である世の中を笑顔にする、そんな芸能事務所を立ち上げて世界中に幸せを届けてみせるって。大学で学んだ経営のノウハウ、後に夫となる実業家との出会いとサポート、マスコミや芸能界からの協力、父の多大な遺産で事務所を立ち上げたわ。そんな時に夜月くんを通じて初めて会ったのに水野さんは私を慕ってくれて『社員でよければ協力させてください』って言ったわ」


「水野さんって強いんですね……」


「その後すぐに、さまざまな事務所から風間祐介さん、通天閣の二人、天才アイドルと言われた茶山(さやま)くるみさん、双子歌手の栗山真希さんと沙希さん、そしてロックバンドのPhantom(ファントム)が、他の事務所からも大勢の方が移籍したわ。全ての経験を活かしてたった1年で事務所を大きくしたの。夜月くんも設立当初の社員の一人で、持ち前の人の潜在能力を活かす力で協力してもらったの。そしてそんな彼があなたたちのカラオケを聴かせ、私はスカウトしたいって思ったわ」


「ボクたちのカラオケって、そんなに有名だったんだ……!」


「それに水野さんにも高い魔力を感じて、魔法少女の逸材でもあったわ。モノクロ団の封印がいつ解かれるかわからなかったからね。でもダメだった。それからシロンにも出会い、理由は違うけれど私と同じあなたたちを必要としていた。そこから運命が大きく変わったわ。本当に私を歩ける身体に戻してくれてありがとう」


 純子と澄香は晃一郎を通じて出会い、高飛車財閥の策にやられてもみんなで協力し合い、何度も苦境に立たされながらも不屈の精神で立ち上がってきたことにさくらたちは純子が誇らしいと思った。


 そんな純子は実は実業家と結婚していて、さくらたちは気になったが今は戦いに集中しないとと切り替えた。


 純子の話を聞き終えると、人間界に残っている澄香たちの声が聞こえる。


「あっ、ようやく通じました! 社長! 皆さん! ご無事でしたか!?」


「水野さん! 私たち、四天王全員に勝ちました!」


「本当かい!? 君たちは本当に僕の想像を超える魔法少女だ! 純子さんの身体はどうなっているのかな?」


「私はこの通り歩ける身体に戻ったわ!」


「社長……! うう……本当によかった……! 本当に……ううっ……!」


「澄香、泣くのはまだ早いぞ! 社長! 今こちらの世界では大変な事が起きているんです! 詳しい事は社長たちが戻ってから説明します!」


「私たちは一般の方の避難をさせ、シロンと私で今モノクローヌの召喚した災いと戦って――きゃぁぁぁぁぁっ!」


 澄香と晃一郎、シロンからテレパシーが送られ、四天王を倒したことを喜んでいた。


 ところが晃一郎が深刻な態度で人間界での状況を話すも、詳しいことを話せる状態ではなかった。


 おそらくモノクローヌの攻撃だろう、澄香たちのテレパシーは途絶え、純子は慌てて澄香に応答を呼び込む。


「水野さんっ! テレパシーが切れたわ……。一体私たちの世界で何が起きたのかしら……!?」


 テレパシーは途絶え、モノクローヌは人間界で何かを仕掛けていることがわかった。


 澄香たちの悲鳴を聞いた純子は心配になり、その様子を見ていたさくらたちは不安になった。


 勇気を出した千秋が純子に何が起こったのか聞いてみる。


「社長……水野さんとシロンは何かあったのですか?」


「ええ……。モノクローヌが私たちの世界に入りこんでから数日間で、何か災いを召喚したって言ってたわ。水野さんたちがその災いに襲われ、テレパシー越しでさえとても強いマイナスエネルギーを感じたわ。そしてその災いに襲われたのか、テレパシーが切れたわ」


「まさか……!? 四天王より強かったりしますか……?」


「恐らく四天王より遥かに強いかもしれないわ。結界が解けるには明日まで待つしかないの。今の私たちは待つしかない。心配する気持ちは私も同じ、だけどやれる事を全部やってから明日には元の世界に戻りましょう」


「「「はい!」」」


 澄香たちの深刻な報告によって、純子はまずは休んで緊急事態に備えるように促す。


 大きな災いは四天王よりも強い見込みで、アルコバレーノは不安になりながらも戦う顔をしていて、純子は心配いらなさそうだと安心した。


 するとビアンコ王はアルコバレーノに気を使いながら声をかける。


「その……話しかけるのも申し訳なかったのだが……。アルコバレーノの諸君は……モノクロ団との戦いに決着がついたらこの国の国民として、もう一度過ごしてくれないか? 私たちのご先祖様が追い出しておいて、今更そんな事言うのは虫がよいのはわかっている。君たちを永遠の英雄として称えたいのだが……どうかね?」


 ビアンコ王は賢者の子孫ということでアルコバレーノにレインボーランドに住んでほしいとお願いをする。


 モノクロ団との戦いが終わったらという条件を出し、アルコバレーノにとっては先祖の故郷なので住むにはいい条件だ。


 しかしさくらたちはすでに人間界に戻る決心をしていて、ビアンコ王に答えを出す。


「ビアンコ王、私たちには守りたい世界があります。私たちが生まれ育ったあの世界を。お父さんやお母さん、友達が多く待っているあの世界を愛しています。だから……レインボーランドの元には行けません。でも……いつかレインボーランドには遊びに来ます。その時は英雄じゃなくて、ゲストとして迎えに来てくれると嬉しいです」


「そうか……わかった。君たちは向こうの世界で生まれ育った、それだけの事だ。私たちのレインボーランドを救ってくれて本当にありがとう。今日は結界が解けるまでゆっくり休んでおいで」


「ありがとうございます」


 アルコバレーノは結界が解けるまで一日を過ごし、そのままゆっくり休んだ。


 大きな災いに不安を引きずりながらも、自分たちを最後まで信じ、モノクローヌの野望を止めることだけを考え、戦いに疲れたのかぐっすり眠りについた。


 朝を迎えると早起きをして出発し、大勢の兵士たちとビアンコ王にお出迎えされて送られ、さくらたちは元の世界に戻った。


 強大なマイナスエネルギーを察知したビアンコ王はその場所まで旅の扉を召喚し出発を見送った


 モノクローヌが呼んだ大きな災いとは――?


 つづく!

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