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第48話 紅白歌合戦・後編

 NHT(日本放送テレビ)ホールでアルコバレーノは、ついに紅白歌合戦の本番の日を迎えた。


 高飛車(たかびしゃ)きららは相変わらず同じ紅組の共演者に対し『足を引っ張るな』と言うが、出演者は全員気にしないようにしている。


 紅白歌合戦という大舞台に立つ以上、自分たちにやれることを精いっぱいやろうとさくらたちは決めたのだから。


 そしてついに紅白歌合戦が始まり、最初のPhantomが準備をする。


「さぁお待たせしました! 第100回紅白歌合戦、今開演です!司会は私、白組の島田慎二(しまだしんじ)と――」


「紅組の本田綾香(ほんだあやか)でお送りいたします! 今年もまたいろんな事がありましたね!」


「ええ、今年は何と言ってもたくさんの芸能人が一気にデビューした年でしたね。そんな中でフレッシュな初出場もいますので乞うご期待ですね」


「私的にはアルコバレーノに期待しています!」


「なるほどー、では参りましょう。白組のトップバッター、Phantom(ファントム)です!」


「よっしゃー! ロックにいくぜー!」


 先頭のPhantomが先頭を仕切り、赤いサイリウムの中でロックに盛り上げる。


 続いて紅組の先頭は生徒会役員で、ガールズバンドらしい可愛らしさと明るさで女の子の心を掴んでいた。


 他にも多数のアーティストたちが歌を歌い、さくらたちはもうすぐ歌うんだと気持ちが高揚していた。


 もうすぐアルコバレーノの出番になり、準備をするとSaturn(サターン)のパフォーマンスに圧倒される。


 Saturnのパフォーマンスを終えると、天ノ川(あまのがわ)が緊張しているさくらたちの肩を叩いて背中を押した。


「ほら、行けよ。ファンのみんなが待ってるぜ」


「子ネコちゃんたちの可愛い笑顔、期待しているね」


「僕にだって出来たんだから自信持っていこう!」


「「はい!」」


 Saturnの励ましに元気をもらったさくらたちは、ステージへ走っていき、ついにアルコバレーノが紅白歌合戦デビューをする。


「さぁお待たせしました! 続いては視聴者が最も期待しているという新生アイドルユニットの出番です!」


「本田さんテンション高いねー。応援サポーターに茶山(さやま)さんがいますが中継呼んでみましょう」


「はい。彼女たちは一人一人は小さいかもしれませんが、心を一つにすれば私よりきらめいている……。アメリカのニューヨークで応援している……。頑張って……」


「茶山さんは現在アメリカでお仕事なんですよね。天才はスケールが違いますね。」


「彼女は確かニューヨークで自分の衣装ブランドを立ち上げていてそこの宣伝のために渡米しているそうですよ。では紅組参りましょう! 希望を導く7つの光! 今こそ輝いてください! アルコバレーノです!」


 アルコバレーノが歌う曲は、最も人気のあるデビュー曲であるメロディーを歌う。


 サイリウムは7色に輝き、エリアごとに色が分かれていた。


 さくらたちは堂々と歌いきり、紅白歌合戦のパフォーマンスを終えた。


 舞台袖に戻ると、『綺麗な虹のサイリウムはテレビ越しに圧倒させた』とスタッフさんから聞かされる。


 他のアーティストたちも『負けないぞ』という顔つきになり、本当に日本国民に認められたんだとさくらたちは実感した。


 出番を終えて楽屋で休んでいると、月光花(げっこうか)が楽屋に入り、はじめて全メンバーを揃えて挨拶に来る。


「さすがしのぶのライバルですね。私も圧倒されました」


「それほどでもない。私たちはまだまだ成長するのだからな」


「アルコバレーノは本当に興味深いな。だが私たちも負けない」


「うん。私たちは日本の伝統文化を受け継いだ京都のアイドルだから。その……月光花をアルコバレーノのライバルとして見てほしいな」


「うん、私たちも負けないよ。はなちゃんたちにも会ってみたかったんだ。これからもよろしくね」


(この魔力……闇の力を感じるが、どこか心が引き締まる感じがする……)


(何だろう……。アルコバレーノの近くに来ると元気になるというか、落ち込んでいられないなって感じがする……)


 さくらは持ち前のフレンドリーさと愛らしさで、すぐにライバルである春日はなと友達になった。


 しかしさくらやはなだけでなく、アルコバレーノと月光花は全員お互いの魔力に何かを感じ取ったようだ。


 アルコバレーノにはプラスエネルギーというネガティブな感情からポジティブな感情へと変える魔力を月光花は感じ、逆に月光花には深く暗い闇の力だが気が引き締まる感じがし、それも欲望をコントロールしなければという心になれるような魔力をアルコバレーノは感じた。


 そんな中で紅白歌合戦もクライマックスになり、白組の最後のパフォーマンスである大和田大五郎(おおわだだいごろう)の演歌で締めくくった。


 赤組の最後のアーティストであるSBY(エスビーワイ)48(フォーティエイト)のパフォーマンスに全員圧倒され、『これが日本一のアイドルユニットのきらめきか』と痛感する。


「これが私たちSBY48です。皆さんとても素敵なパフォーマンスでした。また共演で着たらよろしくお願いします」


「あかりちゃんもよろしくね。アイドルのトップであるあかりちゃんとお友達になれてよかった」


「それにしても、高飛車きららは気になるな。何であんなに他人を見下していやがるんだ?」


「うーん、何か過去にあったのかもしれないね。今後彼女には気を付けてくださいね」


「わかりました」


(アルコバレーノの皆さん、近づくとすごく元気になれるなあ……。まるで太陽のような温かい気持ちになれる……)


(SBY48の中のミューズナイツと呼ばれる9人からかな? 自分はもっとできるって向上心を持てる気がする……。過去の自分には負けないって気持ちになれるような……)


 SBY48のミューズナイツというグループにいる前田あかりは、アルコバレーノと同じ時期にデビューしたアイドルとしては同期である。


 普通新人は下積みがなされるはずだが、ミューズナイツのエースである秋山加奈子を除いては全員新人だけどものすごく売れていることを不思議に思った。


 月光花のメンバーに何かの魔力を感じたように、SBY48内のユニットのミューズナイツの9人に向上心を湧き上がらせられるような魔力を感じた。


 月光花とSBY48のミューズナイツはおそらくその不思議な力でトップアイドルに上りつめたんだろうとさくらたちは考察した。


 全てのアーティストの歌を終え、結果は紅組の勝利となった。


 あれから高飛車きららは『当然だ』という態度で誰にも感謝せず、そのまま立ち去っていった。


 祝賀会が行われるというが、アルコバレーノは未成年なので家に帰らなければならない。


 そこで同じ紅組の歌手である和田タキ子が正月の昼に、未成年アーティストのためにセカンド祝賀会を開くので、そこに参加することになった。


 信念が訪れ、アルコバレーノにとって大きな通過点となり、今後もアイドル生活に励むのだった。


 つづく!

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