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第41話 ドリームランド・中編

 アストロシューターで海美たちが出会ったのは、同じ事務所でアイドルの先輩の茶山(さやま)くるみだった。


 普段は口数が少なくてポーカーフェイス、でもアイドルとしては『SBY(エスビーワイ)48(フォーティエイト)の歴代エースが集まっても勝てない』という天才と言われている天才アイドルだ。


 そんな茶山がどうしてここにいるのか、気になった海美たちは茶山に質問をする。


「茶山先輩どうしてここに?」


「ここの常連だから……」


「そうなんですか? 普段からドリームランドにいるんですか?」


(コクリ)


「それじゃあ私、先輩とペアなんですね! とても心強いです!」


「よろしく……」


 ということでさくらは茶山とペアを組み、アストロシューターで得点バトルが始まる。


 千秋は慣れた手つきで光線銃(こうせんじゅう)を撃ち、海美は狙いを定めてターゲットのみを撃つ。


 ほむらは普段兄弟たちを連れていて慣れてるのか、みどりに的確なアドバイスしながら光線銃を撃っている。


 ゆかりと橙子はマラソン以来、息がぴったりでお互いの的を把握しながら撃っていた。


 さくらと茶山は急造のはずなのに、貫禄の記録を打ち出した。


「アタシらは40万点だったぜ。みどりも楽しめて安心したぜ」


「とても楽しかったです♪」


「ボクたちは61万点だよ!」


「友情はお互いの心をも読めるのだ」


「私たちは58万点ね。千秋ちゃんに任せてばかりでごめんなさい」


「大丈夫だよ♪ それより――」


「99万点……。今までの最高記録……」


「先輩には敵わないなぁ……!」


「満点じゃねぇか!」


「羨ましいー!」


「さくらさんもお上手でした!」


「茶山先輩がいたから満点取れたよ」


「桃井さんも初めてなのにやり始めた私より上手い……。二人で取った記録、忘れない……」


 さくらと茶山は99万点という満点を出し、スタッフも驚きのあまりに写真を撮っていた。


 お昼の時間になった海美たちは、茶山がおススメするレストランに向かい、それぞれ食べたいメニューをお願いする。


 橙子と千秋はカレーライス、海美とほむらはハンバーグ、ゆかりと茶山はエビピラフ、そしてさくらとみどりはフレンチトーストにする。


 みんなでお昼ごはんを食べた後は茶山がドリームランドのお仕事のため離脱し、今度はみどりの行きたいアトラクションへ向かう。


「そう言えば今日はハロウィンシーズンは終わり、クリスマスシーズンに入りましたね。このゴーストマンションがどんなイベントなのか楽しみです♪」


「三人乗りか、これなら二人が二つで済むな」


「私お化け屋敷苦手……」


「さくらちゃんの意外な一面だね」


「うう……! 笑わないでぇ……」


 みどりたちはゴーストマンションへ入り、いつものゴーストたちがクリスマス仕様に変わり、暗闇の中で楽しそうに踊っていた。


 さくらはほむらの肩にしがみつくように震え、ほむらはさくらの震える様子を見なかったことにしていた


 ゴーストマンションを出ると、さくらは安心したのか溜息をつく。


 それを聞いた橙子と千秋はクスクスと笑い、さくらが恥ずかしそうに言う。


「もう! 笑わないで!」


「あの、ごめんね……w さくらちゃんが可愛くて……」


「これは未来の彼氏さんに抱きついてもいいかもね……w」


「そうね、上条くんとデートでギュッとしてもいいかもしれないわ」


「みんな酷いよぉ!」


「ふむ、さくらの貴重な可愛い姿を撮るか」


「ゆかりちゃん、撮らないでっ!」


「普段いじられているからな、さくらにもお返しだ」


「もうっ!!」


 さくらの恥ずかしくて可愛いところを見てみんなは癒され、次のゆかりの行きたいアトラクションへ向かう。


 カントリーエリアにあるスプラッシュフォールという可愛い動物たちが会話してるところを見たり、イカダ型のコースターで滝を急降下するというアトラクションね。


 ゆかりは動物たちの歌を聴きながら楽しそうに鼻歌を歌い、急降下でみんなで悲鳴を上げる。


「きゃーーーーーーーーーっ!」


「みどり、今回は大丈夫そうだな」


「はい、ジェットコースターにも慣れてきました。それに水しぶきが冷たくて気持ちいいです」


「知ってるか? この一番長い滝を下る途中で写真が撮られるんだぜ。しっかり笑顔を作っておこうぜ」


「うん!」


 ほむらの豆知識で最後の滝で笑顔とピースをし、降りた瞬間に写真を渡される。


 みどりはまだ慣れてないのか下を向いていて、さくらは思いきり目を瞑っていた。


 千秋はダブルピース、ゆかりは普段見せない険しい顔をして、海美とほむらは両手を上げて悲鳴を上げていた。


 橙子は外で並んで待っている人に手を振るなど、サービス精神であふれていた。


 そして次にほむらの行きたい場所である、トゥーンエリアのミッチーの家に向かう。


 そこは平日なのに人が多く並んでいて、ミッチーの人気さがわかった。


 ほむらたちは順番で中に入ると、白黒時代のミッチーが(かじ)を取ったり、砂漠の中を車で運転したりと戦前からの歴史を感じる映像に魅了された。


「ミッチーはドリームランドシリーズを西暦の終わりごろ、第三次世界大戦前に創り出し、世界の平和と繁栄を願ってアメリカでテーマパークや映画などを中心にした産業なんです。そして日本やフランス、香港などに進出し今や世界的大スターになっていますね」


「みどりちゃんは物知りだね♪」


「この前のテスト勉強はありがとう。みどりちゃんのおかげで点数伸びたよ」


「皆さんの努力の成果ですよ。わたくしはただお手伝いをしただけですから」


「もうすぐミッチーの部屋だ。心の準備はいいか?」


「うん!」


 もうすぐミッチーに会えることが楽しみになったほむらたちは、緊張とワクワクで胸が高鳴っていた。


 ところがほむらたちの後ろで並んでいた小さな男の子が、並ぶことにもう飽きたのか少しぐずりだした。


「ママァ~……疲れたぁ……」


「もうすぐミッチーに会えるから頑張ってね」


 小さな男の子と母親の会話が後ろから聞こえ、それほど長く並んでいたことがほむらたちは感じた。


 いくら中学生といえど、長く並ぶのは疲れるし、会話もそろそろネタが尽きて限界が訪れていたのだ、


 するとさくらは後ろを振り向いた瞬間、驚いた表情で母親を見て言う。


「その声はもしかして……!? 渋谷の母子ですか!?」


「あなたはあの時の……!?」


「知り合い?」


「渋谷でモノクロ団に遭遇した時に迷子になった男の子だよ」


「へぇー、意外と世の中は狭いもんだな」


 渋谷でモノクロ団に襲われた時に助けた母子と再会し、母親は嬉しそうにさくらに握手をする。


 しかしこの出会いが変装の失敗を招くとは、さくらたちは思わなかった。


 男の子が興奮してさくらに抱きつきながら叫ぶ。


「ピンクのお姉ちゃん!」


「久しぶり。でも変装しているから秘密に……」


 うっかり男の子はさくらのピンク髪を言ってしまい、ついに変装の意味がなくなってしまった。


 ピンク髪でツインテールはこの世界でも珍しく、アッサリと噂は流れてアルコバレーノが来ていることがバレてしまった。


「ピンクのお姉ちゃん……? まさか桃井さくらちゃん!?」


「見つかっちゃったね」


「てことはアルコバレーノ!? どうしてここに!?」


「私ファンなんだけど! てか超絶嬉しいんだけど!」


 男の子がさくらの正体を大声で言ってしまい、ついに変装の必要がなくなる。


 髪の色も服装も完璧だったはずだが、声と話し方を覚えていたらしく、すぐにさくらだとわかったようだ。


「あはは……。ミッチーの家なのに気まずいね」


「だがこれはファンサービスの一環だ。せっかくの機会だ、ミッチーと共に交流しようではないか」


「アルコバレーノの皆さんお待たせしました! ミッチーとご対面のお時間です!」


 案内係の人にもアルコバレーノだとバレてしまい、ついにアルコバレーノとグループ名で案内されるようになった。


 見つかってしまった以上は全力で楽しむことに決め、ミッチーに挨拶を交わす。


「ミッチー! 会いたかったよー!」


 ついにミッチーマウスとご対面し、ほむらたちはハグで迎えられる。


 さくらが助けた男の子は真っ先にミッチーに抱きつき、ミッチーも嬉しそうに男の子を抱きしめた。


 ほむらたちは変装をやめて変装衣装を全て外すと、ミッチーが驚いたリアクションで固まる。


「あれ? もしかしてアルコバレーノさん? ミッチーも会いたがってましたよ! その赤い髪は赤城ほむらちゃんですね! 弟さんと妹さんはお元気ですか?」


「はい、ようやく新しい赤ちゃんが生まれてすくすくと育ってます。大きくなったら連れていきますよ」


「楽しみにしてますね! せっかくだしミッチーとみんなで集合写真を撮りましょう! 私が撮影しますからね! 君はミッチーの前で並んでね!」


「はーい!」


 ミッチーと集合写真を撮り、男の子にとっても他のファンのみんなにとっても最高の思い出を作る事が出来た。


 男の子によって変装は失敗したが、一緒に写った他の人も幸せそうにしていた。


 ほむらたちはミッチーと別れ、次のアトラクションの前に夕食を食べる。


 みんなでピザを食べてお腹を満たし、次のみどりが行きたい場所へと向かう。


 みどりの行きたいアトラクションは意外なものだった。


 つづく!

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