第23話 ライブ後編
それぞれのソロ曲を歌い終え、早着替えを済まし、すぐにステージに向かう。
可愛いセーラー服の衣装になり、スカーフはそれぞれのイメージカラーとなっていた。
デビュー曲の三曲はとても人気の曲になり、観客は楽しみにしている。
そして――
「後半も頑張ろう!」
「「おー!」」
「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」」
「みんなー! 桃井さくらでーす! 今日は来てくれてありがとうー! 今日のライブすっごく楽しみだったよー! 後半も楽しんでくださーい!」
「赤城ほむらだ! みんなの声が最高にロックだったぜー! この熱い声援はアタシたちにとって最高の思い出になるからな! もっと声を出していこうぜー!」
「柿沢橙子です! ボクみたいな女の子らしくない子でも応援してくれてありがとう! もっとパフォーマンス力上げるから応援してね!」
「黄瀬千秋でーす! みんなの笑顔がとっても眩しいなー! もっともっとみんなの笑顔が見れるように頑張りまーす!」
「葉山みどりです。皆さん学校やお仕事お疲れ様でした。たまにはわたくしたちのライブで癒され、そしてストレスを吹き飛ばしちゃいましょう」
「青井海美です。普段はこんなに叫んだりしないけど、楽しいライブだからつい楽しんじゃったわ。私たちの歌がみんなの心に届きますように」
「紫吹ゆかりだ。皆の衆、今日のこの日を楽しみにし、集まってくれたことを感謝する。私たちはさらに成長し、今度は皆の衆の前で輝いてみせるぞ!」
「どうしよう……。私、もう泣きそう……」
「おいおい千秋ー、泣くのはまだ早いぞー」
「嬉しくて泣いちゃう気持ちはわかるけどね」
「ファンのみんなの声援が温かくて優しいものね」
「でもまだグループ曲が控えているぞ。早速だが聴いてくれるか?」
「「「いえーーーーーーーーーい!」」」
「楽しんでくれますか?」
「「「いえーーーーーーーーーい!」」」
「最後までついて来てくれますかー?」
「「「いえーーーーーーーーーい!」」」
「それでは聴いてください…」
「「メロディー!」」
メロディーは『ミュージックシスターズ』というゲームの主題歌で、ガールズバンドの生徒会役員の協力の下で作られたデビュー曲。
さくらがセンターで、明るくポップなバンド曲となっている。
『ひとつの音はいつしか無限大になる』というのがテーマで、幸せのハーモニーが生まれる曲。
次に『虹の向こうに』というアコースティックギターとピアノを追加したバンド曲で、いくつもの色の個性がぶつかり合い、協力し合い、たどり着いた世界は美しいがテーマだった。
この曲は個性の下で努力した向こうの世界は成功という美しい世界を表していた。
最後に『フレフレみんな!』という応援歌で、バンドの他に作曲と編曲を担当した滝川瑠美が主宰している吹奏楽団が編成された。
チアリーディングの振り付けを取り入れたダンスで、編曲もブラスバンドのアクセントが勇気を与えてくれた。
歌詞には挫折をした自分や他の人を陰から応援する曲になっている。
そしてグループ曲を全て歌いきり、ライブが終わる。
「「ありがとうございましたー!」」
「「「いえーーーーーーーーーーーーい!」」」
「みんなお疲れ様! いいライブだったわね! でもここからがスタートよ!」
「「はい!」」
「あっという間だったな。凄く寂しくなってきたぜ……」
「もう少しライブしたかったです……」
「いいえ、まだよ。桃井さんを見なさい」
「え……?」
「お忘れですか? ライブと言えば……?」
「まさか……!?」
「そう、アンコールです♪ さすがに桃井さんは気付いたみたいですが♪」
「「「アンコール! アンコール! アンコール! アンコール!」」」
「まだ発売していない新曲の練習をしてたのって、こういう事ですよね?」
「やっぱり桃井さんは気付いてたのね。そう、あなたたちやファンのみんなにサプライズしようと思って、あえてアンコール曲にしたの。曲は夏のための二曲、『愛の街かわさき音頭』と『海と水着とあなたの笑顔』よ。音頭のセンターは紫吹さん、海の曲は青井さんがセンターを務めるわ」
「むむ、アンコールや新曲でこだわるところ社長らしいです」
「それじゃあ行こう。ファンのみんなが待ってるよ」
「「うん!」」
アルコバレーノはアンコールに応えるべく、ステージへ向かう。
観客は待ってましたとサイリウムを振り、黄色い感性で迎えてくれた。
ライブの感想をトークで話し、感動のあまりに千秋が泣いたりもしたが、アンコール曲の最初を『愛の街かわさき音頭』で掛け声と共に盛り上げる。
そして正真正銘最後の曲である『海と水着とあなたの笑顔』で締めくくり、本当の最後のライブになった。
アルコバレーノのみんなはスタッフ全員に挨拶をし、撤退の準備をする。
私服に着替え終えると、合流した晃一郎が手配した社員の車で家まで送ってくれた。
ほむらは『家が近い』という事で、家族と一緒に帰った。
さくらたちは@この最高のライブがいつまでも続けばいいな』と思った。
同時に次から厳しい戦いになると覚悟もする。
さくらはもっと成長できると感じ、そのために事務所の先輩で声優の大山奈緒と一緒に次のアニメのアフレコを頑張ろうと心に誓った。
一方こちらはモノクロ団アジト、四天王たちはモノクローヌに呼ばれ、作戦会議を行う。
「ついに我々は新たな魔物召喚法を編み出した。一人のマイナスエネルギーを解き放つのではなく、大勢の人々からマイナスエネルギーを放出させ、一ヵ所に集める方法となった。これでより強い魔物が召喚できる」
「そして何より、前みたいに人の心に左右されることもありません。大きな魔物だけでなく、時に大勢の人型の魔物も作る事が出来ます」
「クックック……。クックックック……。」
「とにかく強くなった魔物でさっさとアルコバレーノをぶっ殺そうぜ!」
「そう焦る事はないわ」
「モノクローヌ様っ…!?」
「何も全員集まった時に戦わなくてもいいのよ。時々一人で行動する時があるのよ。その時に奇襲をかけるように魔物を作り出し、一人で戦わせてどれだけ無力かを味わってもらうのよ」
「なるほど…確かに単体では弱いかもしれませんね。ではこれより忌々しいアルコバレーノの誰かが一人の時に備え、各自奇襲を準備をするように」
「おう!」
「はい。」
「クックック…。」
「ははっ!」
つづく!




