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第22話 ライブ前編

 8月の中旬、本格的にライブ前の準備に取り掛かる。


 クラブチッタ川崎へ視察へ行ったり、曲目の確認をしたり、体調管理をしっかりしたりと大忙しだ。


 そしてライブ当日になり、さくらたちは衣装に着替えて楽屋で待機する。


「うわぁ……。緊張してきた…!」


「席は満員御礼(まんいんおんれい)といったところだな」


「大丈夫、私たちはあんなにレッスンしてたじゃない」


「海美は緊張してるように見えないが、手が震えてるぞ」


「うっ……」


「モニターを見て、ファンのみんなの楽しみにしている姿……私たちはこんなに応援されてるんだよ。みんなのために最高のライブにしようね」


「さくらさんの言う通りですね。わたくしたちのライブを最高のライブにしましょう」


「「おー!」」


 さくらの頼もしい言葉でみんなの緊張は解け、表情も固さがなくなる。


 事務所の仲間たちや、アイドルとしての教育係に任命された茶山(さやま)くるみからの差し入れを食べ、空腹を満たして準備をする。


 ライブ前に盛り上がっていると、純子と澄香が楽屋に入ってくる。


「みんな着替えは終わったかしら?」


「はい、もう終わりました!」


「それじゃあ入るわね。うん、みんなアイドルらしく輝いてるわね。衣装担当さんに感謝しないとね」


「私は演歌中心だから和装ですね」


「ボクは躍りやすいストリートな服装だね」


「私はハイヒールかぁ。ちゃんと歩けるかなぁ」


「わたくしはシンプルな服装ですね。これでギター弾けます」


「私はドレスね。バラードはあまり着飾らないものね」


「アタシは黒を中心としたコーデか。ロックな感じで好きだぜ」


「そして私はブレザー風の可愛い衣装ですね。そしてグループ曲は…」


「はい、私がデザインしたセーラー服です♪ タイのところはそれぞれのイメージカラーを表しています。皆さんとてもお似合いです♪」


「アルコバレーノさん! もうすぐ開演します! 最初の赤城ほむらさんスタンバイお願いします!」


「それじゃあさくら! いっちょ掛け声やろうぜ!」


「うん! いくよ! 希望を導く七つの光! 輝け!」


「「アルコバレーノ!」」


 こうしてアルコバレーノのファーストライブが始まる。


 晃一郎はマネージャーとしてスタッフとライブの時間の調整をしているので、『あまり姿を出さないけど、モニター越しに応援する』と言って仕事に行った。


 モニターを見てみると、アルコバレーノの写真やそれぞれの色のサイリウムが映る。


 魔法少女としては秘密ではあるが、もしあの時に助けた人たちが来てくれたら嬉しいと思った。


 オープニングが終わり、ほむらの盛り上げ特攻曲が始まる。


「よっしゃいくぜー! まずはアタシが特攻するぜ!」


 ほむらの曲じゃロックな曲で、最初は盛り上がるハードロック、二曲目はよりポップな雰囲気のバンド系ロック、三曲目は情熱的なスローテンポのロックを歌いきる。


 赤いサイリウムがより熱くさせ、ほむらを興奮させる。


 ほむらの出番を終え、待機していた千秋とハイタッチをする。


「後は頼んだぜ、千秋!」


「任せて! みんなを笑顔にするから!」


 千秋はステージ台に立ち、テクノポップを中心とした曲を歌う。


 一曲目は笑顔をテーマにしたテクノポップ、二曲目はダンスパフォーマンスをするEDM(イーディーエム)風テクノ、三曲目はまさかの大人でも聴けるテクノ風の童謡を歌い、慣れないハイヒールで歌い踊りきった。


 千秋の目の前には黄色いサイリウムが明るく光り、千秋自身も笑顔になる。


 千秋の出番を終え、みどりに後を託すようにハイタッチをして交代する。


「みどりちゃんの歌声、癒されるから大好きだよ♪」


「ありがとうございます♪ それでは皆さんを癒していきますね♪」


 みどりはハーモニカとアコースティックギターを持ち、そのままステージに向かう。


 一曲目には西暦の昭和の時代を思わせるフォークソングで癒し、二曲目には弾き語りスタイルでハーモニカソロで魅了し、三曲目にはギターソロ付きの弾き語りで観客を癒した。


 緑色のサイリウムだけでなく、サイリウムを持ってない観客が手拍子や拍手で迎えてくれた。


 今度は海美と交代し、ハイタッチをする。


「楽しかったです♪ 海美さんも楽しんでください♪」


「ええ、楽しんでくるわ」


 海美は一曲目はラブソングのバラードで感動を呼び、二曲目はスローテンポなピアノ曲、そして三曲目にはアップテンポなバンド曲で観客は青いサイリウムを振って盛り上げてくれた。


 海美はバラードが得意ではあるが、実はアップテンポやバンド曲などのポップスもとても上手い事をアルコバレーノのみんなはよく知ってるよ。


 ゆかりの番がやってきて、ハイタッチをして交代をする。


「ゆかりちゃんの意外性、見せてあげてね」


「心得た、いざ参る」


 ゆかりは凛とした表情で一曲目の演歌を歌いきり、二曲目にはテクノポップを取り入れた和風のダンスミュージック、三曲目はロックを取り入れた和風ロックで盛り上げた。


 こぶしの効いたアイドルはなかなかいないらしく、高齢者や演歌ファンが紫色のサイリウムで盛り上げ、ゆかりの意外性をアピールできた。


 橙子の番になり、二人の信頼し合った顔でハイタッチをせずに微笑む。


「橙子、ライブの成功を信じているぞ」


「ありがとう。ゆかりがここまで盛り上げたんだから、ボクも頑張るよ」


 橙子のラップ付きのユーロビートで一発盛り上げ、二曲目のヒップホップで得意のラップやダンスで歓声を浴び、三曲目のストリートダンスを取り入れたトランス曲で活発さを見せつけた。


 オレンジ色のサイリウムが太陽みたいで、橙子の汗がより輝いて見えた。


 そして王道アイドル路線で、アルコバレーノのリーダーのさくらの出番だ。


「ラストは頼んだよ、リーダー!」


「うん、みんな見ててね!」


 さくらは一曲目にブラスバンドを編成した応援歌、二曲目に親世代の時代を蘇らせるアイドル歌謡曲、三曲目には水野さんが作詞したアニソン風の曲で締めくくった。


 ピンク色のサイリウムがアイドルらしさを表現させ、さくらの可愛い姿がより可愛く見える。


 さくらは出番を終えるとすぐに更衣室へ向かい、グループ曲の衣装へと着替える。


 観客は休憩時間に入り、差し入れを飲食をしているとスタッフが『いい曲だったね』と晃一郎に話していた。


 さくらが着替え終わり、全員合流する。


「さくらちゃんは着替えるのが早いのね」


「早くみんなに会いたかったからね」


「あざといなーさくら! それファンの人に言っちゃおうよ!」


「橙子ちゃん、それ恥ずかしいよ!」


「ええー、私はいいと思うよ♪」


「もうー!」


「うふふ♪ ですが……皆さんの笑顔が眩しいですね」


「こうして皆が希望を持ってくれれば私たちもさらに輝けるのだ。もっと成長せねばな」


「そうだな、アタシたちはまだまだ成長できる。さぁもうすぐグループ曲だ、気合はもう充分だな!」


「それじゃあいくよ!」


「「おー!」」


 つづく!

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