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第15話 旅行前編

 こちらはモノクロ団の隠れアジト。


 かつてはとある学校だったが、ある不祥事がきっかけで廃校になり、今は廃墟となっている。


 その廃墟を利用してモノクロ団は活動をしていて、今も人々のマイナスエネルギーを暴発させようとしているのだ。


 そんな中でモノクロ団の会議が始まる。


「まさか魔法少女が全員覚醒するとはね。モノクローヌ様は『全員で7人』とおっしゃっていたが、不覚だったよ」


「アルコバレーノですか……。何だか面白くなってきましたね」


「デスカーン、テメーは相変わらず何考えてるかわかんねぇな。とにかく全員ぶっ潰せばいいだろ?」


「クックック……得体(えたい)の知れない……」


「君もだよアクマージ」


「しかし今までの魔物の召喚方法では、彼女たちに勝てないのも事実ですね」


「ああ、我々も魔力を備えなければならない時が来たようだ」


「ダークナイト、何ならオレが真っ先に奴らを始末するのも――」


「却下だ(ですね)」


「何だとぉ!?」


 モノクロ団の幹部らしき4人組が会議を行い、明らかに乱暴そうな女の子が破壊活動に走り残りの三人が却下する。


 そこで乱暴そうな女の子は仲間割れをしようとしたところにモノクローヌがやってくる。


「落ち着きなさい。仲間割れは感心しないわよ? ヘルバトラー、あなたは焦ってすぐに破壊活動を行おうとするところが悪い癖よ」


「うぐ……!」


「申し訳ありませんモノクローヌ様! それに魔法少女を全員覚醒させてしまいました!」


「心配ないわダークナイト。あなたたちに新たな魔物召喚術を伝授するわ。一人のマイナスエネルギー暴発型から、不特定多数の人間のマイナスエネルギーを集めて魔物を作り出すものよ。一人の魔力よりも遥かに強くなれるわ。これでアルコバレーノの伝説も終わらせることが出来る」


「ははっ、それでは私たちも伝授のために修行をします」


 モノクロ団はさらなる力を手に入れ、ついに一人のマイナスエネルギーだけでなく、周辺にいるたくさんの人々からマイナスエネルギーを集められるようになる。


 モノクローヌは謎の女の子の4人組を率いていて、圧倒的カリスマ性で喧嘩を治めた。


 ―新横浜駅-


 アルコバレーノは事務所の先輩たちと京都旅行に行くことが決まり、事務所内交流を深める事になった。


 学校の修学旅行はその1週間後で、学生の所属タレントとスケジュールが重ならないように純子が調整をかけてくれた。


 さくらは溝の口駅北口のバスで新横浜駅に向かい、みんなと合流する。


「オーさくらちゃん! こっちデス!」


「お待たせしました!」


「私たちも着いたところよ! 私たちが先輩だからってあんまり委縮(いしゅく)しなくていいのよ?」


「ありがとうごさいます!」


「桃井さんが最後ね、これで全員揃ったわね。それじゃあ二泊三日の京都の旅に行くわよ!」


「「「はい!」」」


 こうしてアルコバレーノは新幹線に乗り、新幹線の中でみんなと会話したりした。


 ほむらの憧れのロックバンド『Phantom(ファントム)』のメンバーによるロックな人生観、さくらは声優の大山奈緒(おおやまなお)から新作アニメのスカウトなどで盛り上がる。


 カードゲームのラストカードで盛り上がったりと、アルコバレーノたちは親睦を深め合った。


 そして京都に到着し、観光バスへと乗って清水寺(きよみずでら)へ向かう。


 清水寺に着いたら坂を上り、子役タレントは大人の人が引っ張る。


「ここが清水寺なのね。結構大きな寺なのね」


「ええ、ここは仏教のお寺ですが、どの宗教も受け入れるために神社にある狛犬(こまいぬ)もいます。宗教に寛容な日本らしいですね」


「そうなんだ、私はじめて知ったよ」


「僕もはじめて知ったよ。葉山さんは物知りなんだね」


 茶髪のミディアムヘアの俳優の風間裕介(かざまゆうすけ)がみどりに声をかけ、他の皆さんもみどりの豆知識を聞こうと集まる。


 風間は30代とは思えないほど若々しく、とてもカッコよくてアイドルみたいな人だ。


 純子のことをとても慕っている俳優で、女性を中心に人気だ。


 清水寺の展望台に行くと、京都が一望出来る美しい景色に感動し、全員で写真を撮る。


 その次に金閣寺へと向かう。


 銀閣寺は工事中で立ち入り禁止になっていて、私の修学旅行の日には終わる予定だ。


 金閣寺を一周すると、ジョーカーズのマークが嬉しそうにはしゃいでいた。


「Oh! これが金閣寺デスカ! 黄金の国ジパングに相応しいデース!」


「わかる! オレも一度見てみたかったデス!」


「異国の人も金閣寺のよさがわかるのだな」


「金閣寺は何度も戦火に焼かれて何度も再建した不屈のお寺なんですよ」


「「えっ!? 金閣寺って焼かれたこともあるの!?」」


 橙子とジョーカーズの二人が大きなリアクションで驚き、京都に縁があるゆかりが知ってる範囲で教えてくれた。


 京都の観光スポットはたくさんの人でにぎわい、子役の子たちがはぐれないように大人が保護する。


 さくらたちも中学生とはいえ責任を持って見守る。


 なかなか進まなかったからか時間が早く過ぎ、お昼ご飯を食べる事になった。


 場所は京都のお好み焼き店で、純子が予約を取っていたからすぐに入る事が出来た。


 そしてみんなでお好み焼きを焼き、いただきますをして食べる。


「これうめぇ! 関西のお好み焼きはうめぇな!」


「ほっぺが落ちそう♪」


「お、関西の飯は何でも美味いぞー! ワイら関西やからそれが自慢やと言えるで!」


「京都と兵庫、大阪は自慢が多いやんな! 奈良や和歌山もええとこあるで!」


 お笑いコンビの通天閣の島田慎一(しまだしんいち)有田雄平(ありたゆうへい)が、ガハハと笑いながらさくらたちを明るくさせようと陽気に話し、周りも笑顔になれた。


 モデルの小野愛梨(おのあいり)はカロリー制限があるはずだが、『今日は気にしない!』と吹っ切れたようにたくさん食べたり、島田慎一の弟で司会をやっている島田慎二(しまだしんじ)に対するぶっちゃけトークで笑いを取ったりと楽しい時間だった。


 午後に入ると、他のみんなは宿に向かうが、『アルコバレーノだけ特別に訪れる場所がある』と澄香に言われ、新天堂(しんてんどう)というゲーム会社に向かった。


「アルコバレーノは新作リズムゲームのイメージキャラとしてピッタリと思って私が独自で交渉し、そのスタッフのリーダーさんに会う事になりました。皆さんも緊張せずリラックスしてくださいね♪」


 純子は澄香の行動力に感動したのか、嬉しそうに笑顔になった。


 そのゲームは『大合奏ミュージックシスターズ』というゲームで、ゲームで楽器が演奏できる音楽マニアに人気のゲームだった。


 Shintendo(シンテンドー) Switch(スイッチ)いう世界中で人気のゲーム機から発売されるので、とても期待されているものだった。


「澄香、俺はそんな情報を聞いてないぞ」


「私が単独で交渉したんですよ♪」


「やるじゃん、でも今度は社長の許可を取ろうな」


「はい」


 晃一郎は澄香の単独行動に驚き、同時に純子の許可をあらかじめ取ってから単独行動に出るように注意した。


 あまりの雰囲気のよさにほむらと海美、みどりは二人の様子を見てニコニコしながら見守っている。


 交渉を終えてようやく宿に着き、アルコバレーノは夕食と入浴をして浴衣に着替える。


 そして夜になり、アルコバレーノのガールズトークが始まった。


「なぁ、気になったんだけどさ。お前らに好きな人はいるのか?」


「どうしたの急に?」


「ほら、夜月(やつき)さんと水野さんって結構いい雰囲気じゃん? それに社長も実業家と結婚してるしさ、アタシらも年頃だから好きな人でもいるのかなーって思ったんだ」


「そういうほむらはいるの?」


「アタシはいねぇな。ずっと家の事ばっかりだったしな。みどりはどうだ?」


「わたくしはずっと女子校なので男の人とはあまり話したことがございません。海美(うみ)さんは生徒会長ですしモテそうですね」


「私はあまりモテないわ。こう見えて生徒会の仕事が忙しくて恋も出来ないのよ。千秋ちゃんは?」


「私はね、実は……彼氏いるんだ///」


「「「ええっ!?」」」


 千秋の彼氏がいる発言にみんなは驚いた。


 しかし千秋は急に笑顔になりながら黙り込む。


「……嘘です♪ いません♪ 好きな人もいません♪」


「脅かすなよもうー!」


「橙子ちゃんはいるの?」


「ボクは失恋してから恋愛はしてないかな。空手に夢中すぎて忘れてたし。あっ、ゆかりはどうなの?」


「なっ……!? 急に私に振るでない!」


「ゆかりさん、好きな男の人いるのですか……?」


「それは……いないし恋もした事がない……」


 恋バナにゆかりは恥ずかしそうに隠れ、千秋とみどりは楽しそうに人の話を聞こうとした。


 海美とほむらは少し慎重だったが、橙子が逃がさないと言わんばかりに睨んだり掴んだりするので、二人は観念して恋バナに付き合う事にした。


 しかしさくらは話題にされる前に寝る準備をし、布団にこっそりと包まって寝ようとする。


 みんなは気付いてないのか、話に夢中で私に気付かず話していた。


「私は恋バナしないようにしよう……恥ずかしいから。だから、おやすみなさ――」


「さくらちゃん、一人だけ寝て逃げようなんて甘いよ♪」


「ボクたちが気付いてないと思ってた?」


「うう……!」


「さくら、お前に好きな人はいるのか?」


「えっと……私はモテたことないし、恋もした事ないけど――」


「もしかして、最初に助けた彼の事が好きではないのか?」


「上条くんとはまだそういう関係じゃないよ!? それに私たちってアイドルだから恋愛って禁止だったはず……」


「「「あ……!」」」


 さくらはアイドルとして禁断の話題に触れてしまい、みんなは『忘れてた』という顔で固まっていた。


 そして気まずくなったのか布団におとなしく入り、そのまま夜はぐっすり眠った。


 しかし新暦時代では西暦と違ってアイドルの恋愛には寛容で、別れたりトラブルにならなければ恋愛はしてもいいという風潮がある。


 さくらはそれでもアイドルは恋愛禁止と思い込んでいて、他のメンバーもアイドルを知らないためか勘違いして恋愛禁止を信じ切ってしまう。


 そのためか気まずくなり、恋バナをやめておとなしく寝ることにした。


 一方別の部屋では――


「澄香、タレントたちは全員寝たぞ」


「はい。社長のご厚意で二人きりになりましたね」


「そうだな。二人きりの時間はなかなか取れなかったからな。それにアルコバレーノのみんなにも俺たちが《《付き合ってる》》事がどうやらバレたっぽいな」


「確かに清水寺の展望台でくっつき過ぎましたね。晃一郎さんの肩、すごくたくましくて寄り添いたかったですから」


「今なら誰もいないし空いてるぞ、おいで」


「はい……///」


 社内恋愛をしている二人は、しばらく二人きりの時間を満喫した。


 晃一郎と澄香は実は学生時代から付き合っていて、澄香はかつて晃一郎の甲子園の決勝で応援し、その応援のおかげで優勝した経歴がある。


 澄香には学生時代にある活動をしていて、晃一郎はかつてその澄香の活動を応援していたのだが、ワケあって今は引退しており、晃一郎は専務、澄香は秘書をやっている。


 そんな秘密のある二人は人目も気にせずに密着し、肩を寄せ合ってキスをするのだった。


 ほむら、みどり、海美に見られていることを知らずに――


 つづく!

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