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第110話(最終回) そして伝説へ…

 もしも魔法少女になったなら、素敵な魔法を世界中に与える事でしょう。


 もしもアイドルになったら、みんなに愛を与えるために歌い続けるでしょう。


 もしもこんな最高の瞬間に巡り合えたのなら――


 そう考えたさくらは最高の瞬間を仲間とともに噛みしめ、3年前の自分がかつて考えてたことの答えを見つける。


 アンコールが鳴り響き、さくらたちは最後のトークを始めファンと共に最後の時を過ごす。


「みんな!アンコールありがとうー! ここにいるみんなはアルコバレーノ、及びアイドルから完全に卒業しちゃうけど、寂しくなっちゃうけれど……私だけ一人でアイドルを続ける事を約束します! だからみんなに……ありがとう、そして……またねって……新しい人生の道を歩むみんなの……応援をしてあげてください! 卒業しちゃうみんなからのメッセージを聞いてください…。」


「みんな……すまない! アタシは……アタシには幼い弟と妹がいるんだけどな。みんなと接しているうちに保育士になって、将来が楽しみな小さい子どもたちに生きる素晴らしさを教えてあげたいって思うようになったんだ! たった3年だったけれど、その時間の中でアイドルをやっていくうちに、たくさんの子どもたちと接して……より夢を叶えたくなっちまったんだ! だから……ガラじゃねぇのもわかってるけどさ……そんなバカ野郎なアタシを応援してください!」


「ボクはね、小さい頃に空手を始めて、すっごく楽しかったし、負けた時はすっごく悔しかった! それからずっと空手に打ち込んで、空手に活かせるならいろんなスポーツをして、違う筋肉を使って鍛えてたんだ。そこから空手選手として続けるには、いつか限界が来るってわかって、たくさんのスポーツを裏から支えられるような会社に就職しながら、プロの空手選手になろうってずっと夢に見てたんだ! オリンピックに出るって約束するから……たまにラップで動画投稿するから……今後もよろしく!」


「ごめんね……。絶対に泣かないって決めたのに……やっぱり無理だよ……。あのね……私は小さい頃に泣き虫で臆病だったのは知ってるよね……? それからお父さんに……笑顔の大切さを教わって……街のみんなの温かさを知って……そんな私の街を笑顔溢れる平和な街にしたいって……いつも笑顔でいようって決めていたんだ……。そんな憧れのお父さんと一緒に……笑顔を振りまいて守れるような警察官になって……最高の街にしたいんだ! だから……応援してくれないと……逮捕しちゃうぞ……♪」


「わたくしはアイドルを始めるまでは世間をまったく知らず、世の中の出来事に無関心でした。それがわたくしの両親の了承を得てアイドルを始め、様々な世間の出来事やたくさんの方々のお声を聞くことが出来ました。そして幼い頃からの夢である教員にも活かすことが出来ればと、どんな事でも吸収して学ぶことが出来ました。約束します、必ず教員になり…将来有望な社会人を送り出します。皆さんもお勉強やお仕事が大変ですが……わたくしのように学ぶことへの執着と成長を忘れないでください!」


「私は決して賢いわけではないけれど、私の夢は医者になって、身体だけでなく心の病気の治療や、まだ不治の病と言われる病気や感染症の研究をして、大勢の苦しんでいる世界中の患者さんを救いたいと思っているの。日本だけでなく世界中の病気で苦しんでいる子どもたちや、ストレスに追い詰められて悩んでいる大人たちの助けになり、病気を未然に防げるように日々勉強しているわ。心理学の資格も取って、苦しんでいるみんなの気持ちになれる医者になって、みんなを助けたいって気持ちは本物よ。だから……どうか見守っていてください!」


「私は未熟者だ……。こんなにも卒業を惜しむ皆の衆を置いて、我が道を進むのだからな……。しかし嘆いていても何も始まらぬ。私の夢の話をしよう。私は元々忍術の道場をしているのは、皆の衆も知っているだろう。その忍術での体術や知識を活かし、日本中のアスリートを支えるスポーツトレーナーになり、将来の金メダル候補を更なる高みへ送り出したいのだ。もちろん過酷な道のりになるのはわかっている。だからこそ私はその道を歩み、日本の発展に貢献したいのだ。だから皆の衆……しばしの別れだが、決してアイドルが嫌になったわけではない。アイドルをやれて楽しかった。だからこそ……堂々と我が道を進んでいくぞ!」


「みんなの決意と覚悟を聞いてみんなはどう思ったかな……?」


「頑張れー!」


「応援しているよー!」


「ファイトー!」


「後の事はさくらちゃんに任せてー!」


「みんな……ありがとう! それじゃあ本当の最後の曲……聴いてください! せーのっ! 希望を導く7つの光! 輝けぇぇぇぇぇぇぇっ!」


「「「「「アルコバレーノォォォォォォォォッ!」」」」」


 アルコバレーノの7人以外にしか知られていない本当の新曲で卒業ソングを初公開し、ファンは即興でサイリウムで7色の虹を描き、アルコバレーノは感動のあまりに涙が出そうになる。


 『さようならは言わない、きっとどこかで出会えるから……またね!』を込め、大きな翼でそれぞれの道を羽ばたく決意と、『また会えたなら昔を懐かしんでいろんな話をしていこうね』という約束の歌を歌う。


 アルコバレーノは最後の曲を歌い終え、ファンへ手を振りながら挨拶へ行く。


 涙はファンの前では見せないようにし、関係者席に向かって並んで一礼をする。


 次に今までライブを支えてくれたバンドメンバーに一礼をする。


 さらにステージに上がっていない裏方、支えてくれたスタッフに舞台袖に向かって一礼する。


 他にもライブに行けなかったライブビューイングや、動画投稿サイトでライブ映像を見ているモニター越しのファンに一礼する。


 最後にアリーナや席にいる現地のファンの一礼し最後の別れをした。


 舞台裏に着いたアルコバレーノは、スタッフや純子たちにお迎えされる。


「みんな! 本当に3年間お疲れ様! あんな新曲を作っていたなんて……私はあなたたちを見てきて……本当に誇りに思うわ!」


「私からも……本当に感動しました……! こんな伝説のライブは…もう二度とお目にかかれないと思います……! うう……皆さん……どうかお元気で……! たまには……事務所に遊びに来てくださいね!」


「本当にみんなお疲れ様。これから大変な道のりになると思う。だが君たちならどんな困難があっても乗り越えられると信じている。だからアルコバレーノ……俺たちのワガママのために、アイドルになってくれて……ありがとう……! これからも……俺たち虹ヶ丘エンターテイメントの……誇りであってくれ……!」


「「「はい!」」」


「最後に私から最後の社長命令を聞いてください! あなたたちはこれから、大きな回り道や山や谷のある大きな試練につまずく事もあるけれど……最後には必ず笑顔で誇れるような自分になって……他人だけでなく自分自身をも幸せになりなさい! これが最後の……社長命令です! 本当に……感動をありがとう!」


「社長……うぅ……!」


 純子、澄香、晃一郎とアルコバレーノにお礼の言葉をかけられ、純子が最後の社長命令を出す。


 純子は何があっても幸せになってほしいと言葉を出すと澄香は感極まって涙を流す。


 するとさくらは一歩前に出てアルコバレーノを代表して純子にお礼を返す。


「私たちからも一言あります! 3年間……ずっと私たちを支えてくださって……ありがとうございましたっ!」


「「「ありがとうございましたっ!」」」


「今までお疲れ様!」


「こちらこそ感動をありがとう!」


「夢に向かって頑張ってね!」


「「「うう……! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」」


 スタッフや今までお世話になった人たち、関係者席から駆けつけてくれたシロンや家族、同級生や先生たちにお礼を言った直後、アルコバレーノはすべてが吹っ切れたように涙がポロポロとこぼれ、純子の胸に大きく飛び込んで声が枯れるほど大きく泣きじゃくる。


 純子は涙を大きく流しながら頭を撫で、さくらたちはとても温かい気持ちになった。


 晃一郎は涙をこらえるも、澄香の涙につられて我慢できなくなり、背を向けて震えながら男泣きをした。


 こうしてアルコバレーノ伝説は幕を閉じた――


 しかし客席からは、大きなアルコバレーノコールが響き渡っていた。


「「「「「アルコバレーノ! アルコバレーノ! アルコバレーノ!――」」」」」








 ラストライブから10年の時が流れ、アルコバレーノがやって来たことは伝説になり永遠のアイドルグループとしてアイドルの殿堂入りを果たす。


 桃井さくらは先輩の茶山(さやま)くるみと後輩の白銀雪子そして同級生の夜月暁子(やつきあきこ)の4人で新ユニットを組み、今もアイドルとして名を馳せている。


 それも18歳になってすぐファンクラブ会長である上条改め夜月健太にプロポーズされそのまま結婚をした。


 赤城ほむらは高校で女子野球を暁子と共に始め全国制覇を成し遂げ、東亜(とうあ)文化大学で保育士の資格を取得して保育士になる。


 大学卒業してすぐに結婚し、今や三児の母として生活を支えている。


 柿沢橙子は日本スポーツ科学大学に入り空手で全国制覇を成し遂げ、大手スポーツメーカーのマジックスに就職。


 空手もプロとして活動し、時々ラップをしながらアスリートとして活躍する。


 黄瀬千秋は父の跡を継ぐべく警察学校で警察としての心得を叩きこみ、高津警察署へ就任する。


 千秋の笑顔溢れるパトロールで街は平和になり、地域を巻き込んで笑顔溢れる街として有名になった。


 葉山みどりは覇世田(はせだ)大学というエリートの大学を卒業し、教員免許を獲得。


 母校の生田(いくた)女子大付属高校で国語の教師を務め、今も生徒に学びの楽しさを教えている。


 青井海美は高校でフェンシング全国準優勝を果たし、聖マリア医科大学を卒業して精神科の医者となる。


 実業家と結婚し精神科を開業して今や院長を務めている。


 紫吹ゆかりは日本スポーツ科学大学で橙子と再会し、スポーツトレーナーとして修業を始める。


 同時に紫吹流忍術の師範となり、スポーツ医学を通じて新たな忍術の研究もする。


 白銀雪子は声楽コンクールでリベンジを果たすべくもう一度ベルリンへ赴き、今度はグランプリを勝ち取る。


 アイドルと声楽の二刀流は成功し、オペラでも活躍するほどになる。


 純子は社長を退いて会長となり、晃一郎が社長、澄香が秘書から専務へと昇給する。


 とくに晃一郎の企画力は評価が高く虹ヶ丘エンターテイメントは大手事務所にも負けない規模となった。


 しかも晃一郎の粋な計らいで年に一回アルコバレーノで同窓会を主催するなどもしてファンを喜ばせている。


 こうしてアルコバレーノ伝説は幕を閉じたのでした――




 ~Fin~

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