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プロローグⅡ

まだ文章が稚拙だ…

「ですから…ね…どうか罰だけはお許しくださいませんか?」


 オデウスは必死に罰を逃れようと未だ弁明を繰り返していた。


「黙れい!罰と聞いたら急に卑屈な態度をとりおって。さっきまでの傲慢な態度をどこへいった!まったく、親の顔が見てみたいわ!」


(いや、あなたですけど…)

 そんなつっこみを心の中でいれつつ、オデウスは恐る恐る質問する。


「念のため伺いますが、その罰とは?」


「お前に人間どもが信仰を取り戻すような策を考え、実行しろ。そもそも人間に知恵をあたえたゆえ文明は発展し、ここまで人間共は信仰を排したのだ。よってお前がその責任を負うのは当然であろう。もし失敗したならばお前を十二柱から降格させ、地に落とす」


「は???」


 思考が停止した。そして本能で感じるのだ。これは逃れられないと。


「話は以上である。では各自役職に戻るように。オデウス君、人間共から知恵の神と讃えられていた君の作戦、楽しみしてるぞ」


 その言い方は侮蔑に等しいあざ笑うかのような言い方だった。


「どうかお慈悲を……」


最後の言葉も虚しく、最高神は雷の音とともに姿を消す。



「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


オデウスは発狂し、その場にうずくまる。そして思うのだ。この座に就くまで多くのものを犠牲にしたことを。同じ志を持つ同胞を騙し、蹴落とし、長い時を得てここまで来た。それをこんな所でむざむざと失ってたまるかと。


(まず、人間共に試練を与えなけらば。今までとは比にならないほどに多くの死を招く厄災を与える必要がある。災害やウイルスではだめだ。それでは人間は是正し、新たな進化を与えてしまう。それこそ神にすがることしかできない、恐怖のどん底に叩きつけなければ)


 オデウスは頭を抱えて苦悩し、必死に思考を巡らせた。時間に変換すると何時間ともなるほどに。しかし、その回路はオデウスに話しかける何者かによって切られた。


「オデウスせんぱいー、いつまでそうしてるんですかー、みっともないですよー、

たかが地上に落とされたって力と記憶を失って虫のように惨くいきるだけじゃないっすかー」


最高神直属の十二柱のうちの一柱。人間に創造を与えた神、へパトスである。


「なにが、た か が、だ!大問題じゃないか!」


 苛立ちを覚えてたオデウスにその口調はどうも鼻についたようだ。思わず怒号を上げて盛大にツッコミを入れた。


「いやですねー、ジョークですよジョーク。もしかして本気にしちゃいました?それはすいませんでした。先輩って知恵の神なのにユーモアの知識はないんですねー」


 へパトスはそれはそれは見下しあざ笑うような声で、


「キャハハハハハハハハハハハハ!!!!!」


というか、実際大笑いしてオデウスのことを侮辱した。


「アハハ!!…、それはそうとしてこれからどうするんです?神が直接手を下せば世界の理に反し、存在ごと消えちゃいますもんねー、難しい問題ですー」


 へパトスは今までのテンションが嘘のように急にトーンを落とし、話し出した。


「お前急に冷静になるな。危うく私の神拳がおまえの顔面に下るとこだったぞ」


「それは危ないところでしたー、てかいいこと思いついちゃいました…。聞きたいですかー?」


「なんだ言ってみろ。どうせお前の案なんて下らないとは思うがな。聞くだけきいてやる」


「なんですかその態度はー、このまませんぱいが地に落ちて虫けらのように生きてく様を眺めるのもいいなー」


「………、どうか何卒教えてください」


 オデウスはもう自分一人では解決できないと考え、プライドを捨て藁にもすがる思いで懇願した。


「私の能力で化けものどもをたくさん作って人間をいっぱい殺させましょー!」


 


そこから出たのは思いもよらぬ言葉だった。オデウスは少し困惑した様子でもう一度聞きなおす。


「化け物を作って、人間を殺させる…だと?」


「はいー。今まに人間に課した試練は、火災や津波、地震などの自然による災害。戦争などの同族争いの動機。つまり、我々は原因を作るだけで直接手は出していないのですー」


「それはそうだろう。もし直接罰を下せば我々が消失してしまう。だからこそあくまで危害を与えるのは自然もしくは同じ人間であるのだ」


「しかしそれでは限界があるのですー、どれだけ大きな災害が起きようとも人は無限に学習し対策をしますー、同じ動機では歴史に学ぶといいましょうか、すべて会話で解決してしまいますー、いやはやー、人間の成長は恐ろしいものですねー」


「何が言いたい」


「試練と文明の進歩が釣り合っていないのですー、今や天秤は人間に大きく偏っている状況。これを正すには人間の成長と同等の重りが必要ですー、それも限界がなく同じく無限に増える重りがー」


一通り話を聞き終えたオデウスは顎に手を当てて少し思考しだす。


(確かに人間の成長速度は我らが看過できないほど目まぐるしい。しかし、同等の者を作ればどうだ。やつらと同じスピードで成長するものをつくり、それに人間を襲う本能を埋め込む。そすれば我らが罰を下すとも、同等の力を持つ二つ種族が永劫に殺しあう。さらに信仰心も埋め込めば我らの新たなる糧となりゆるかもしれない、これなら最高神様もお喜びなられるだろう!)


「決定だ」


 オデウスはほくそ笑み、へパトスにその案を了解する趣旨を伝えた。


「では早速取り掛かりましょう。私が創造の神である所以見せてあげます。ああ、久しく忘れていた創造意欲がわき出てくる!すごいのを作ってやります!!」


 へパトスは自分の口調が変化しているのも気づかないほど張り切っている。そして神とは思えないほど恐ろしげな表情で笑うのだった。


「そういえば気になっていたんだが、なぜ私に協力してくれるのか?もしかして私に恩義を感じて助けたくなったとか…」


 オデウスは少し期待に弾ませた声で、前々から疑問に思っていたことを聞いた。


「ああん!?、うぬぼれるんじゃねえよこの能無し、ただ俺も人間の文明によく貢献したとして後に最高神から罰の対象とされたんだよ、くそが!!!」


(……まあ、そんなところか…、というか能無しは止めて頂きたい。一応知恵の神という座についている以上、その言葉は私の心によく刺さる)


オデウスはそんなことを思いながら、へパトスが化け物、つまるところモンスターをつくっている光景を見届けるしかないのであった。


読んでくれてありがとう!

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