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覇業の大地~未来転移から始まる無双戦記~  作者: 陽山純樹


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課題

「方角は大体割り出せたよ」


 そうティナが言うと、示した場所は――


「……オルバシア帝国が存在していた場所、か」

「うん。思った以上に濃い気配があったし、たぶんそこに幻影がいると思う」

「なら、そこへ向かうことにするというわけか……」


 でも、ここからだと結構距離があるよな。


「さすがにオルバシア帝国のあった場所まで行くのは、時間が掛かりそうだな」

「そうだね。さすがに転移でひとっ飛びとはいかないかな」

「それと、もうこの大陸に脅威はないのか?」

「少なくとも気配はないよ」


 ……まあ、俺達としてはできることはそう多くない。魔王二体を倒し全てが終わったと考え、進むべきか。


「わかった。ティナ、先へ進もう」

「うん、わかった」


 俺達は移動を開始する。目指すは、オルバシア帝国が存在する場所だ――






 旅を始め、俺達は逐一魔力を探査しながら進んでいく。港へ到着し、船に乗り……別の大陸へと赴いた。

 そこでもティナは魔法を使って気配を探る……が、終焉の魔王に関する力は観測されなかった。ただ魔王という概念は存在しており、時に俺達はそうした事柄に関わることとなった。


 人々を脅かす存在ということで討伐対象になっているわけだが……正直、俺とティナにとっては取るに足らない存在ではあった。

 終焉の魔王が持っていた力……それを所持していない敵については問題なく倒すことができる。千年前、俺は多くの人から認められた世界最強の剣士になったわけだが、その称号はどうやらあまり変わっていない。


 というより、終焉の魔王に変わる強大な存在というのが出なかったということなのかもしれない。だから道中の戦いで苦戦することはまったくなかった。そして俺とティナは、功績に応じて名が売れるようになった。

 そうした行動によって、俺達は情報収集を行いなおかつノーラッドとも定期的な連絡を交わすのだが……残念ながら過去へ戻る魔法についてはまったくわからない。まあそう簡単に見つかるものではないし、幻影を倒した後にいくらでも調べることができる……よってその辺りの情報に固執することなく、俺達は移動を優先した。


 ただその中でオルバシア帝国の周辺に関する情報については一応集めた。事前に周囲の状況を知っておくのが良いだろうという判断だったのだが……現在、周辺はオルバシア王国として、帝国ではないにしろ国としての体裁を保持している。とはいえ帝都は崩壊しているため、遷都はしているらしい。


 そして肝心の王族についてだが……ひとまずアゼル皇帝の血筋であるようだ。ただ、歴史的な資料なども散逸しているためか一応血は繋がっているがそれ以上のことはわからない、みたいなことが情報として得られた。


「国として、どんな形であれ残っているのは嬉しいね」


 ティナは道中でそんなことを述べる。俺は彼女の言葉に同意しつつも、


「ただ、帝国でなくなってしまった理由を考えると、悲しい気持ちにもなるな」

「……もし終焉の魔王、その力によって崩壊していなかったら、千年後も繁栄は続いていたのかな?」

「わからない。ただ千年間の歴史を調べる限り、様々な種族が一つにまとまったのは帝国が繁栄していた時だけらしい。もし国が終わるとしたら、終焉の魔王によるもの以外で後方になるとしたら、十中八九内乱だと思う」

「内乱……それが起こっていたかもしれないってこと?」

「アゼルから始まった数代くらいは何の問題もなく栄えたはずだ。でも、国というのは色々な滅びの因子が存在する。政治的な腐敗とか、あるいは多種族同士の軋轢とか……どういう可能性にしろ、さすがに千年という歳月はもたなかったかもしれない」


 そこで俺は「ただ」とティナへ口添えする。


「終焉の魔王……そうした存在によって滅んだというのは納得がいかない。帝国が終わりを迎えるにしても、それは国に住む者達が決めることだ」

「なるほど、ね……ジークは別に千年後も続いて欲しいと考えているわけじゃないんだ?」

「帝国が未来永劫続くなんて俺も思ってはいなかったよ。ただまあ、終焉の魔王によって予想以上に早く滅びを迎えた……そういう終わりは止めたいと思ったから、過去へ戻ろうと考えている」


 そこで俺はティナへ首を向ける。


「ティナは、どうする?」

「……仮に千年前に戻ったとしても、私という存在はジークと違ってある以上は、単純に過去へ戻るだけだったら不測の事態が起きるかもしれない」

「それはティナが二人になるってことか?」

「そのくらいの変化ならまだ許せるけど、私が千年前に戻ることで封印されている私に影響が出てしまうかも……まあ、対処する術はあるにしても、その対策をやった上で過去に戻りたいな」

「課題が増えたか……ま、いいや。幻影を倒した後は、ティナの言及する魔法を含め、とことん調べてみようか」


 俺の言葉に対し、ティナはしっかりと頷いた。


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