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覇業の大地~未来転移から始まる無双戦記~  作者: 陽山純樹


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魔族との攻防

 俺達の目の前が真っ白に染まる……光弾や光の槍といった閃光を放つ魔法が俺達へ向かってくる……闇の魔法とかではないことが意外だったが、単純に威力の高い魔法を突き詰めた結果、目の前の結果があるのかもしれない。

 そして俺達は……直後、魔法が炸裂する。ともすれば入口周辺が丸ごと破壊されそうな雰囲気。だが魔族は構わず攻撃した。これで一つ、明確な事実が判明する。


 すなわち――敵は俺達のことを知っている。


 全ての魔法が解き放たれ、閃光が消えた後は粉塵が周囲を満たす。そうした中で俺とティナは……無傷のまま口元に手を当てつつ会話をする。


「間違いなく俺達のことを把握しているな」

「そうだね」


 ティナも同意した――なぜそういう結論に至ったかと言うと、魔物を容易く倒し続けただけでは、これほど無茶苦茶な攻撃をすることはないだろうと考えたためだ。


 俺は確かに圧倒的な攻撃によって魔物を殲滅した。けれど、力の奥底は隠している……それを突破しこちらの能力を精査したという可能性もなくはないが、もし探りを入れられていたなら俺はともかくティナは気付くはず。魔力を探るという行為は、魔法を使用することに他ならないため、確実に俺達の所では魔力を感じ取れる。どれだけ隠し通していても、ティナの魔力探知は見逃さない。


 ではどういう理屈か……簡単だ。俺達の能力をこの場で精査したのではなく、事前に情報をもらっていた。だからこその、魔法攻撃だ。


「魔王ザロウドに情報を提供した存在……十中八九そいつが終焉の魔王の力を分け与えているんだろう。問題はそいつがここにいるのかどうか」

「いないように思えるけどね」


 ティナが俺に対しコメントした。


「その人……人であるかもわからないけど、力を与えた存在は安全な場所でこの戦いを観察しているとかじゃないかな?」

「まあ、それが普通だよな……ともかく、だ。魔王ザロウドは俺達のことを知っている。個人的な素性を知っているのか、それとも終焉の魔王の力に対抗できる存在がいる程度の認識なのかは不明だが……もし前者なら、もっと厳重に対策を施しそうではあるけど」


 けど、前者で会ってもさすがにティナはともかく千年前の人間である俺の詳細を知っている可能性は低いか?


 疑問を抱いている間に視界が晴れる。俺達へ魔法攻撃を仕掛けた魔族達は、こちらが健在であるのを見て取って……驚愕する。


「馬鹿な……」


 誰かが言ったその矢先、俺は足に魔力を流し――手近にいた魔族へ接近した。

 こちらの動きに対し魔族は反射的に腕をかざした。攻撃なのか防御なのかよくわからないその動きへ向け俺は一閃。腕ごと両断して滅ぼすことに成功した。


 ――魔族からも終焉の魔王に関する力は漏れ出ている。非常に微細なものではあるが、普通の騎士や戦士であれば手も足も出ないくらいの力であるのは間違いない。

 終焉の魔王……その力がどれほどのものなのかを俺は改めて認識しつつも、対応できると考え剣を構えた。


「今度は、こちらの番だ」


 その宣言と同時だった。魔族が構えた矢先、俺の足が動く。

 気付けば、俺は魔族へ肉薄していた。相手の顔が驚愕に染まっている間に一閃し、真正面の敵を討ち滅ぼす。


 続けざまに別の魔族へ足を移し、そちらも問答無用で斬って滅ぼした……魔族については数は多少なりとも多いが、終焉の魔王の力を持っているとはいえ俺達が苦戦するほどではない。やはり唯一の脅威は魔王ザロウドであるのは間違いなさそうだ。

 俺の攻撃に対し魔族達は右往左往し始める……いくら防御しても通用しないと直感したためだろうか。攻撃してくる気配はない……というより、どうすればいいか迷っている。


 ならばと、俺は間合いを詰めた。一番近くにいた魔族に対し目標を定め――再び一閃。それでもう一体撃破に成功する。

 残る魔族は……合計で三体。位置はバラバラだが……俺はここで足に魔力を注いだ。そして一気に踏み込むと――別の魔族へ肉薄する。


「なっ……!?」


 驚愕する魔族へ俺はさらに剣を叩き込み……これを滅ぼす。残る二体。するとここで魔族が標的を俺ではなくティナへ向けた。何もせず佇む彼女を人質にでもする気だったのかもしれない。

 だが、その目論見は通用しない……俺は即座に足を動かし、ティナへ迫ろうとした魔族の正面に立った。


「っ……!?」


 あまりの動作に驚愕した魔族は動きを止め――その間に俺は剣を振り魔族を滅ぼす。

 残るは一体。さすがに無理だと悟ったか後退しようとした時、その魔族の背に雷撃が跳んできた。


「が――」

『退くことは許さぬ、と言ったはずだ』


 ずいぶんと響く声だった。どうやら魔王ザロウド……配下の失態に苛立ちでもしたのか、最後の魔族は魔王の手で処分した。


『さて、ようこそ勇者……いや英雄か? まあどちらでもいい。そちらの実力はつぶさに把握した。私の下へ来るといい』


 ……ずいぶんな自信である。俺はティナと一度顔を見合わせる。


「進む、でいいか?」

「うん」


 あっさりと答えた彼女。俺は「わかった」と短く答えた後、城の奥へ向けて足を踏み出した。


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