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覇業の大地~未来転移から始まる無双戦記~  作者: 陽山純樹


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会議の日

 俺達が族長同士の会議に加わる、という点についてはノーラッドに任せるとして……ひとまず情報を集める。具体的に言えば残る魔王ザロウドについて。

 ただ現在、やはり動きがない……国を襲う準備をしている最中なのか、あるいは――もし魔王レゼッドや族長候補ツェイルに力を与えたのがザロウドであれば、終焉の魔王の力について、力を与え検証をしているのかもしれない。


 そうであれば、俺やティナのことはマークされている危険性もある……が、仮にそうだとしたら向こうから干渉してくる可能性が高まる。もし攻撃してきたら、それで決着がつくかもしれない。


 むしろその方が話が早いかもしれない……などと思いつつも、リスクを避ける場合はこういう展開は望ましくない。終焉の魔王――その力を分け与えている存在がいるにしても、本体よりは弱いはず。だから、俺やティナであれば対応できる……と、考えてしまいそうだが、相手がどんな存在かわからない以上は、用心するに越したことはない。


 ともあれ、俺達のことを捕捉したと推測した上で行動する必要がありそうだ……なんだか頭の中がゴチャゴチャしているが、とりあえず出たとこ勝負で頑張ろうという結論に至り、俺達はノーラッドの推薦により族長同士の話し合いに参加することとなった。


 当然発言権はないので、俺とティナは護衛という形で無言のまま族長候補の近くに突っ立っているだけなのだが……会場となる場所は、族長が執政を行うことになる神殿。その一室に大きい会議室があるのだが、そこで丸テーブルを挟み族長候補同士が部下を引き連れ話し合うということになった。


 俺とティナはその一団に混ざり、会場へと入ったのだが……こちらが結構な大人数であるのに対し、相手のツェイルについては従者が二人のみ。あまりにも少ないのは他に配下がいないためか、それとも他に理由があるのか。


「では、話し合いをしようか」


 高圧的な物言いで、ツェイルが口火を切った。それに対し大陸候補であるエルフは顔をしかめながらも、席に着く。

 そうして話し合いを開始したのだが……はっきり言って、中身のない話し合いであった。というのもこの議論の先がどうなるのかは目に見えている。ツェイルとしてはどうせこの場にいる者は始末するから……と、明らかに話し合いの内容をまとめる気がない。というより、わざとあおり立ててこちらが激高するのを待っているような節まであった。


 それがわかっているのか、こちら側の陣営にいるエルフ達は族長候補を含めて怒りを耐えるような表情をしながら、何一つ声を発しなかった。相手に隙を見せてはならない……そんな風に思っているのかもしれない。


「……正直、話し合いについては無駄だな」


 そしてツェイルと面と向かっている族長候補は、難しい顔をしながら口を開いた。


「そちらは延々と意味のない議論をすることは目的ではないだろう? そろそろ本題に入ろうじゃないか」


 ――ツェイルは笑みを浮かべる。不気味でありながら、ようやくかと待ち望んでいたような顔つき。


「そうだな、本題に入ろうか」


 じわり、とツェイルから魔力が発せられる。


「とはいえ、そちらと話をする気はない……今日ここで、全てを決することになる。議論などもはや意味を成さない」

「それはどういう意味だ?」

「言葉通りだよ」


 威嚇するように魔力が露出する。けれどツェイルと対立する族長候補は、臆する気配を見せない。


「実力でこの場を収める気だとしても、それでは里の同胞達はついてこないぞ?」

「そんな必要もない。この力があれな……例えどれだけ反発していようとも、従うほかないさ」


 明らかに攻撃の気配を見せる。周囲にいるエルフ達がザワザワとする中、対立候補のエルフは一つ問い掛けた。


「里を手に入れて何をする気だ?」

「……何だと?」

「力を利用して支配する……過去、このエルフの里は様々な部族が入り交じって形成されたことにより、そうやって支配した時期もあった。そうしなければ秩序の維持ができなかったため……時にノーラッド様の力を借りてでも、対処してきた。だからこそ、ツェイルのように力を使うこと自体は否定しない。だが、肝心の目的が見えてこない。里を支配して、何をする?」


 ――ツェイルは笑みを顔に貼り付かせながら、俺達を見据える。


「それについては……まあ、語る必要などないだろう。ただ、確実に言えるのは決して族長という地位が欲しいだけではない。明確に、目的がある」

「話してはもらえないようだな」

「こちらも無駄な労力は使いたくない……どうせこの場における者達は」


 ツェイルの魔力が、威嚇から俺達への殺意へと変わる。


「ここで消え失せるのだから」


 ツェイルの傍にいたエルフ達が動き出した。どうやら彼らもまた終焉の魔王の力を持っている……ツェイルから力を分け与えてもらったのだろう。

 とはいえその量はほんのわずか……エルフ達が動くより先に、俺とティナが動いた。こちらへ迫ろうとしたツェイルの部下に対し真正面から挑み掛かる……横に避けるかと一瞬考えたが、相手は押し切れると判断したらしく突撃してきた。


 力に自信がある故の選択。それに対しこちらは……剣を抜き放ち、さらにティナは手をかざし魔法を放とうと動いた。


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