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\ 自称 / 世界で一番愛らしい弟子っ!  作者: 二木弓いうる
~王子ボコボコ大作戦編~
43/251

弟子、師匠にからかわれる

地下にあるマージジルマの部屋の扉を叩いたセリーナINピーリカ。マージジルマは目の前にいる女を見て、とても不機嫌そうな顔をしている。


「……何」

「流石に二人で寝るには狭かったですよ。仕方ないので、わたしが貴方と一緒に寝てあげるわです」


真実を聞き出すというのは実は建前だったりする。こっちが本音。性的な意味は一切ないけれど。


「俺のベッドは巨乳しか入れねぇんだ。帰れ」


マージジルマはドアに寄りかかりながら、冷めた目で彼女を見つめた。こいつは性的な意味での受け答えをしている。


「断るにしてももっと言葉あるでしょうに。何てデリカシーのない男だ。というより、何故断るのですか。よく見て下さい、おっぱい大きいでしょう」

「俺はそのサイズを大きいとは認めない」

「もっと大きくなきゃダメなんですか。ピーリカと比べたら大きいですよ」

「チビと比べるのが悪い」

「そういう事を言うからダメなんですよ。まず女の子をおっぱいで判断するとは、男の風上にも置けねぇ奴ですね。とんでもねぇ男ですよ」

「うるせーなぁ。つーかピーリカ……その呪い、お粗末なんだよ」


バレバレな正体。だがピーリカは誤魔化せると思っている。


「何をおっしゃいますか。わたしはセリーナ」

「しらばっくれんな。見た目はまぁ良いとしても、演技が下手くそすぎなんだよ。何が目的だ」

「わたしはセリーナですってば。ただピーリカの師匠さんと一緒に寝に来ただけです」

「ヤらせてくれんの?」

「や……?」

「エロい事させてくれんのかって言ってんだよ」

「なっ、何てことを言うですか! この変態、大変態!」

「何を想像した」

「え、そ、それは……」

「言えない程エロい事を考えたのか。お前の方が変態じゃねぇか」

「違います、そんなはしたない子じゃないです!」

「じゃあ言ってみろよ」

「え、あ、う…………お、おっぱい揉み揉みする……とか」


ピーリカはセリーナの顔を真っ赤にさせて小声で答えた。これが彼女にとっての最大級のエロである。

このまま追い返す気だったマージジルマだが、なんだか弟子を苛めるのも楽しくなってきた。


「何だよ、その程度で赤くなって。やっぱガキなー」

「違いますもん、ピーリカと比べたら大人ですもん。わたしはセリーナですからぁ!」

「じゃ、ピーリカには教えられない事でもするか」

「へ?」


ピーリカはグイっと部屋の中に引っ張られて、ベッドの上に叩きつけられた。

柔らかなベッドの上、痛くなかったとはいえ、突然された行動に動揺する。窓は無く豆電球一つしか灯っていない、薄暗い部屋。師匠の表情はなんとか見えるものの、心の内は全く見えていない弟子。


「何するですか。わたし姫ですよ。優しくして下さい」

「知るかよ」


覆いかぶさるように押し倒すマージジルマ。二人分の重さがかかったベッドから、ギシっと音が鳴る。


「え、あ、あの?」


近い、近すぎる。ピーリカは緊張で体が強張って、肩に力が入っている。

その事に気づいたマージジルマは、右手で優しく彼女の肩に触れる。シャツを少しだけ引っ張って。ちらりと見えたブラ紐を、指先に絡めた。


「ん、中身まで全部入れ替わってんな。あとは精神的な方の中身もどうにか出来れば、大抵の男は騙せるだろうよ」

「い、入れ替わってって何ですか。わたしは本物ですよ。セリーナですよ」

「はっ。だとしたら酷い女だ。王子との結婚が決まってるのに、別の男の元へ行こうとして。その上、俺と一緒に寝に来ましただ? 笑わせるにも程がある」

「そんな、セリーナは悪い子じゃないのです!」

「んじゃ、今俺の目の前にいる悪い子は誰だよ。幻覚か?」

「そ……そう! わたしは幻覚! というか夢!」

「ゆっ……そうか、夢か」


何の計画性もない弟子に笑いをこらえながら、マージジルマは彼女の手を握った。指と指を絡ませる、恋人にするような握り方。


「ひゃーあー!?」


ピーリカは驚きのあまり声を出してしまった。だって元の姿の自分は、そもそも手を繋いでもらった事自体ない。


「うるせぇ」

「だ、だって師匠が!」

「夢なら何したって勝手だろうが。お姫さんは全く俺の好みじゃないが、まぁエロい事させてくれんなら妥協してやる」

「何様ですか! やっぱりこのおっぱいが良いと思ってるんでしょう、本当におっぱい大きいの大好きですね!」

「お前の中でエロい事って言ったら胸でしかないんだな。誤解すんなよ。確かに胸がデカいのは好きだが、顔はお姫さんよりピーリカのが好みだよ」


一瞬何を言われたのか理解せず、ピーリカはポカンとした表情を見せた。だがすぐさま顔を真っ赤にさせ、声を荒げる。


「なっ、何、えっ、なん、はぁ~~~~!?」


にんまりと笑うマージジルマは、彼女の反応が面白くて仕方がないといった様子。


「ガキだから相手にしねーけど、大人になったらまぁ良い女になるんじゃねーの。ピーリカの母親も顔良いしさ」


少し照れた表情になったマージジルマに、ピーリカは驚きを隠せずにいた。こんな表情の彼は、見た事が無い。


「ほっ、本当にそう思ってたですか?」

「あぁ。何と言うかさ……金になりそうな顔してるよな!」


一転、金を目の前にし喜んでいる時の表情になったマージジルマ。

ピーリカもよく見た事のあるその顔を前にし、一気に苛立ちが募った。


「まーた金ですか!」

「ま、今はガキのピーリカの話は置いといて」

「置いとくなです。そうだ。わたしは聞きたい事があって来たです。何故さっき頭を撫でて褒めたですか」

「頭? ピーリカのか」

「はい。やはり美少女相手だからですか。思わず撫でたい可愛さが溢れ出ていたという事でしょうか。この世に存在している事を褒めたですか!?」

「いいや全然。あれはお姫さんにスープ飲ませたから」

「上手にスープを飲ませる子が好きという事……?」

「どんだけ限定的な好みなんだよ。そうじゃない。毒を飲ませるってのは中々難しい事なんだ。俺らは呪いの魔法使いだから、最悪は直接毒を相手の体内に注ぐ事も出来る。けどもし呪文を唱えられなかったり、魔法を使えない状況下になったら。自らの手で毒を相手に飲ませなきゃならない。今後そういう依頼が来るかもしれないだろ?」

「別にわたしは毒を飲ませるつもりはなかったですが、まさかあのスープ、本当に毒が入ってたですか」


わたしと言ったり師匠と呼んだり、演技がガバガバだな。そう思ったマージジルマだが、その点は後で学ばせよう、とも思って。


「入ってねぇよ。けど、自然と飲ませてやれてただろ。お姫さんはピーリカに警戒心を抱いてないみたいだし」

「自然に飲ませてあげたのは、わたしが優しいからですよ。友達がお腹空いてたら可哀そうじゃないですか」

「友達? 契約者だろ?」

「ん、そう、ですね。でもなぁ」


確かにピーリカにとって、セリーナは契約者のお姫様だ。

だけど一緒にいてとても楽しい。そんな彼女を友達と呼んだらダメだろうか。

悩み始めたピーリカの思考を、マージジルマは再び自分の方に戻す。


「んないつまでもピーリカの話なんかしてられっか。続きだ続き」

「何を言いますか。もう少しピーリカの愛らしさについて語り合いましょう。わたしも言います!」


自分で自分の愛らしさを語ろうとするピーリカの口を、マージジルマは左手の親指で抑えつけた。指を動かし、フニフニと柔らかい唇の感触を楽しむ。


「ピーリカの話なんざしなくていい」


右手でピーリカの左太ももに触れる。彼女の体が、ピクッと動いた。太ももから腰元に、ゆっくりと上がっていく右手。それと同時に、彼女の着ていた服が捲れ挙げられていた。ちらりと見えてしまった白い下着を隠すように、ピーリカは彼から顔を逸らし急いで右手を下ろした。


「やっ……ダ、ダメです。夢でもお姫様に気安く触るなど、死刑に等しいのです!」

「自分から寝に来たとか言ってきた女が何を言うか。それに少し触ったくらいで騒ぐな。普通大人はこの程度じゃ動じない」

「う、嘘だ!」

「嘘だと思っててもいいけど」


むにゅん、マージジルマの手が彼女の胸に触れた。

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