小説を読んでもらう
「あ、俺書けるんだ」
当時の自分はまず書き上げる事が出来たという所で、まず自分に自信を持つことが出来た。もちろん中身や文章は今読み返すとひどいものだ。でも十分だったし、何より楽しかったという充実感は今でも覚えている。
そうやって書いた小説を投稿したらポイントがついていた。そんなにすぐに読まれることなんてないと思っていただけにとても驚いた。
次は何を書こう。自然と次の話を考えるようになっていた。この時もまだ絶賛無職中だったし、実りのない転職活動を続けている状態だったが自分の中でささやかな新しい楽しみが出来た事は僅かながらだったが自分の生きている時間が少し有意義に感じられるようになった。
こんなものを書いてみたい、あんなものを書いてみたい。話を書き上げる度に自分の中で書きたいことが出てくる。自分の頭の中に出てくる話を文章として書き出す作業は飽き性で面倒くさがりな自分には向いてないんじゃないかなんて始める前には思ったりもしたが、全くそんな事はなかった。
書いて投稿するという作業に加えて、どうせならもっと読んでもらえるように専用のTwitterアカウントを作り、そこに投稿した小説を宣伝で流すようにした。
しばらくはそんな形でただただ書き続けた。書き方なんてよく分からなかったが、今まで読んだ小説の知識や記憶を頼りに自分なりに書き続けた。
そうやって一人で書き続けたが、そんな時にふと創作関係でフォローした方のTwitterから誰でも参加できる企画ものを見つけた。毎月決められたテーマに沿って短編を投稿するというもので、主催の方が必ず目を通し評価をしてくれるというものだった。
面白そうだなと思った。
ここまでただ自分が書きたいと思ったものだけを書いてきたが、決められたテーマに沿って書くという事はもちろんやった事はなかったので、とても新鮮な体験が出来そうだと思った。それに、今まで我流でやってきた事が本当に正しいのかも分からなかった。リアルで小説を書いているなんて周りには気恥ずかしてやはり言えなかった事もあって、そういった事も勉強出来ると考えると自分にはメリットだらけに思えた。
主催されている方は快く接してくれて、企画に参加するようになった。
これがまた楽しかった。それからは毎月企画に参加するようになり、月一で短編を投稿するようになった。毎月どんなテーマが設定されるのだろう。それに対して自分は書けるのだろうかと刺激だらけだった。初めて人からちゃんとした評価や指摘をもらい、また参加されている方の他の作品を読みながらと、とても自分にとって勉強になるものだった。それからしばらくの間は書きたいものではなく、ただひたすらテーマ短編を書き続けた。
自分だけではなく小説仲間が出来て更に楽しさが増した。小説を書くという趣味を初めて良かったなと改めて思った。