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めんせつ?

結局、デビューは2019年の4月にします。

ですので、現在は2018年のお話です。

10月中旬の日曜。

私は電車に乗って、ヴァレントの事務所に向かっていた。


両親は用事があるということで、一人で面接に行っている。



日曜の電車は混んでいた。

どこかでイベントでもあるのかもしれない。

日曜に中学の制服を着て、人の間に埋まっていた。

身長が低くて、つり革はつかめていない。


中学生になった私は、身長が150cmになっていた。

でもそろそろ止まりそうで心配だ。

何故か成長促進の魔法を使っても、身長は伸びることなく、代わりに胸が大きくなる。

最近はFカップのブラもきつくなってきた。




「…んっ、やだっ、やめてください…。」



ふとそんな小さな声が聞こえてきた。

声の出所は、私の隣にいる、スーツのお姉さんだった。


何事かと思ったら、お姉さんのお尻に誰かの手が当たっていた。

いや、当たっていると言うより、触っているって言った方が正しい。

つまりは痴漢だった。



私はその手首をつかみ、



「痴漢です!」




っと大きな声を出した。

すると、お姉さんの隣にいた男が、



「くそっ、離せっ!」



っと騒ぎ出した。あ、この手はこいつのだったのか。


私はそのまま手首を掴んだまま過ごし、駅に着いた瞬間にそいつをホームに引っ張り出した。




「離せよっ!…ってガキ!?」



あ、男かと思った?まあ、この力は普通だとおかしいもんね。

水泳部で元ドラゴンだから仕方ないね。



「くそっ、ガキのくせに力強すぎだろ…。オラッ、離せって言ってんだろ!」



その男は、片足を振り上げ、私を蹴ろうとした。

だから蹴られる前に、地面に着いているもう片方の足を蹴飛ばし、地面に転ばせた。

そしてそのまま無理矢理腕を身体の後ろに引っ張り、背中を足で押す。

地面にうつ伏せで這いつくばらせた。



「そこのお兄さん、駅員を呼んできてください。」


「え、あ、はい!」



私を見ていた大学生ぐらいの人にそう頼んだ。


ふと冷静になって周りを見てみると、めっちゃスマホで撮られていた。

うわぁ、大事だぁ。






駅員が来て、私から男を引き取った。

そして私と、痴漢をされていたお姉さんは、警察に事情を話した。

最近、この路線で痴漢が多発していたらしく、あいつが犯人かもしれないらしい。





「すみません、遅くなりました!」


「あ、篠村真白さんですね。こちらへどうぞ。」



ヴァレントの事務所の受付に行くと、受付のお姉さんに案内された。


一応電話をして事情を話したけど、大遅刻だ。落とされないだろうか。






案内された部屋に入ると、おじいさんが1人、そして眼鏡をしてスーツをきたお姉さんが1人いた。

おじいさんは、どこか凄そうなオーラを感じるし、女性は凄く仕事が出来そうだった。


私は促されて席に着いた。

良かった、面接はしてもらえるらしい。




「こんにちは。私はVtuber課の桜井と申します。そしてこちらは羽蓮社長です。」


「こんにちは。今日はよろしく。」


「はい、よろしくお願い致します。」



仕事が出来そうなお姉さんは桜井さん、隣のおじいさんは、社長だったらしい。




「駅で痴漢を捕まえたそうですね。事情は分かっていますので、これから面接を行います。」


「まあ面接というか、最終確認だから安心してね。」


「最終確認…ですか?」



社長さんがそんなことを言った。

どゆこと?



「実は先日の募集ですが、100件ほど応募がありました。私たちはそれらを全部見たわけですが、明らかに篠村さんの動画だけが、クオリティが高かったです。

声も歌も踊りも素晴らしかったですし、編集技術もある。

ですので私たちは、篠村さんの採用を既に決めています。

だから今日は、実際に会って話し、篠村さんが引き受けるかどうかの確認をするだけです。」


「あ、私ってもう採用なんですね。ありがとうございます。」


「驚いたでしょうか?社長が秘密にしておこうと言ったもので。」


「そりゃもちろん驚きましたよ。でもそれ以上に嬉しいです。結構頑張って作ったので。」


「本当に素晴らしかったです。今すぐにでもデビューして頂きたいのですが、イラストの方がまだなので…。

色々な調整を含めて、2019年の4月デビューにしてもよろしいですか?」


「あ、はい。お任せいたします。」


「それではそのように進めさせて頂きます。」



…話が切れた。

どうしよう?でもこういうときって、私から話しかけたりしないよね?



「篠村さん…君はどうしてVtuberになりたい?その容姿なら、普通のアイドルとしても十分人気が出そうなのだが。」



さっきまでは桜井さんが話していたけど、急に社長が話しかけてきた。

どうしてかぁ…。



「そうですね…単純に言えば、興味が湧いたことと、街で無駄に目立ちたくないからですかね?」


「まあ確かに、普通のアイドルとして人気が出たら、街なんかは歩きづらいし、記者が付くこともある。そういうことなら仕方がない。

ただ…もう有名人になっているかもしれないよ?」


「…?別に何もしてないですよ?」


「ふふっ、まあいい。今日はこのあたりにしよう。また細かいことが決まったら、事務所に呼ばせて頂く。その時は保護者の方も一緒に来てくれ。契約などをしなくてはいけないのでな。」


「…?はい、ありがとうございました。」







翌日、朝ご飯の味噌汁を飲みながら、テレビで流れているニュースを見ていた。



『昨日のニュースです。日曜日の混雑した電車の中で痴漢事件が起こったようです。犯人は無職の30代男性です。この事件では、犯人を取り押さえられた際の動画がSNSで拡散されているようです。その動画はこちらです。』



画面が切り替わり、駅のホームを撮っている動画が流された。


犯人と思われる男性が、白い髪の少女に捕まっている。

暴れても手首を離してもらえず、少女を蹴ろうとしたところ、とんでもない速さで足がなぎ払われ、そのまま手を後ろに引っ張られ、抑えられていた。

犯人は暴れていたが、少女は微動だにせず、余裕な声で、駅員を呼ぶように頼んでいた。

少女や犯人の顔にはモザイクがかかっていたが…。



『こちらの動画は、視聴者が撮影したものです。凄いですね、中学生ほどの少女が大人を完璧に押さえ込んでいます。○○さん、どうですか?』



キャスターが、別の人に話しかけた。その人は元柔道の日本代表をしていたような人だった。



『本当に凄いと思います。見事な足払いに固めですが…何よりも、この少女の体幹や筋肉が凄いですね。小柄なのに、凄く立派だと思います。こうした子どもがいるうちは、日本のスポーツ界も安泰ですね。』


『そうですね。…痴漢は犯罪です。絶対に行わないでください。

次のニュースです。』



「あれ、これってお姉ちゃんの学校の制服じゃない?」



…優衣、どうして気付いてしまった…。



「ん?おぉホントだ。…おっ、SNSにモザイクが無い動画が上がってるぞ。」


「お父さん見せて見せて~!…あ、やっぱりお姉ちゃんだ!」


「さすが真白だな。大柄の大人にも勝てるなんて。」


「あはっ、あははははは。ありがとー。」




羽蓮さんの言っていたことが分かってしまった。



学校に行っても弄られた。

皆、モザイクがかかっていても、制服と髪色で分かったらしい。

そりゃ白髪でこの制服を着てるのは私だけだもんね…。



SNSではどんどん動画が拡散されて、最強美少女だと話題になった。

街でも話しかけられるようになった。

…くそぅ、何のためにVtuberになろうとしたか、分からなくなっちゃうじゃん…。

社長は羽蓮はねはす わたるです。

羽蓮ヴァレン です。(どうでもいい裏設定)


お読みいただきありがとうございました。

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