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異世界のドラゴンが日本で最強Vtuberをするお話  作者: しゆゆ
異世界のドラゴンが日本に転生したお話
10/29

初めての運動会

今日は運動会がある。


うちの学校では6月にやるから、たまに雨で延期になるときもあるらしいけど、今年は私が雨を吹き飛ばした。本当に吹き飛ばした。


実は私は今でも、ドラゴンに変身できる。魔法で一時的にだけど、

そんな大きなドラゴンとなった私が、本当に雨雲を吹き飛ばしてやった。

今朝のニュースでは、天気予報士がびっくりしてたね。


私は腹筋が鍛えられてしまうほど笑ってしまった。




なお、この年から6年間は、運動会の日は絶対晴れるようになった。






今日の運動会では、おかしくない程度に頑張るつもり。両親も来ているし、優衣も来ている。

乃愛や同級生、知り合いも多く見ている。


かっこいいところを見せつけるのだ。




運動会では、5つのチームに分かれて戦う。1学年に1クラスが割り当てられ、1~6年が同じチームになる。縦割りってやつ。

私は玲先輩のクラスと同じチームになったので、小学校最後の運動会に、優勝を送りたい。



私が出る種目は、クラス対抗50メートル走、チーム対抗リレー、そして、チーム対抗大玉送りに、学年の団体演技がある。

クラス対抗50メートル走と、大玉送り、団体演技は全員強制参加なんだけどね。




校長先生の保護者向けの長い挨拶や開会式が終わり、競技が始まりだした。


私は最初に、学年の団体演技がある。今年はポンポンを持って、可愛いダンスをする。

元ドラゴンの私は、もちろん完璧にダンスを覚えている。

演技も完璧に終え、次の出番までのんびり過ごすことにした。





「真白ちゃん、次はクラス対抗50メートル走だね。」


「そうだね。がんばろうね、乃愛ちゃん。」


「うん。でも、私運動苦手だから、運動会って嫌いなの…。」


「そっかぁ。でも、結果にこだわらなくて良いと思うよ。乃愛ちゃんが頑張ったら、それでいいと思う。」


「でもぉ…。」


「じゃあ…。」



私は乃愛ちゃんの耳元に近付き、小さな声で言った。



「頑張ったら、帰りにチューしてあげるね。」


「っ!うん!私頑張るね!」


「あはは…入場口に行こうか。」



小学生の女の子が、チューでやる気を出すってどうなんだ…?




50メートル走はもちろん1位で終え、気付けば昼食の時間になっていた。

うちの学校は生徒が多いから、昼食は各々の教室で食べた。




昼休憩をし、大玉送りで2位になり、プログラムはどんどん進んでいった。

そして、最後の競技になった。






チーム対抗リレーは、1~6年が1クラス1人ずつをだし、一人200メートルを走る。

低学年にとってはかなりの長距離のため、1~3年は、1クラス2人だし、100メートルずつ走ることも出来る。

そして、走る順番は、チームで自由に選べる。しかし、1クラスから2人出す場合は、1~3走までは、1~3年の順番で走ることがルールになっている。


例年、ほとんどのチームは、1~3走は、1~3年が走っているらしい。

しかし今年の私のチームは、その常識をぶち壊すこととなった。



「真白ちゃん頑張ってね!」


「うん、乃愛ちゃんありがとね。」



出場者の皆と合流し、運動場に入場していく。



「さぁ、いよいよ最後の競技、チーム対抗リレーになります。今年はなんと、3組チームの1年は、1人で200メートルを走りきるようです。これは過去10年以上無かった事です。どんな展開になるのでしょうか!」



解説の先生の声にも、力が入っている。

ちなみに、3組チームとは、私のいるチームである。


…へぇ、10年以上ぶりなんだね。



「ではいよいよ、スタートの合図が鳴らされます。…今始まりました!」



ピストルの音が響き渡り、リレーが始まった。うちのチームは、2・3・4・5・1・6年の順番で走る。

さすがに6走目は、6年が走ることが暗黙のルールとなっている。

その方が迫力あるもんね。



「今2走にどのチームも変わりました!3組は、2走を3年生が走っています。そのおかげで、どんどん間が開いていきます!」



おぉ、作戦通りに行ってるね。これで何もなければ良いんだけど。



「そして、3走が終わり、4走が走り始めました!このあたりになってくると、皆迫力が違います!3組も速いですが、他の組も速いです!」



開いていた間も、徐々に埋まってきている。

今年は、他のクラスの走者が強いみたい。

まぁ、うちの組がまだ勝っているけど。



「いよいよ、第5走になります!3組は1年が走るということですが、大丈夫でしょうか。

…あっ!バトンを渡す直前で、3組が転倒しました!この間に他の組が抜いて行きます!」



うっわっ、タイミング悪い!すぐ4走の女の子は立ち上がったけど、転けた瞬間にバトンが飛んでいってしまった。

女の子はバトンを拾って、私に渡してきた。



「ごめんなさい!」



私と他のチームでは、50メートルほどの差が生まれていた。

女の子も泣きそうになっている。

でも…私は元ドラゴンだ。



「任せて。」



私はバトンを受け取り、前を向いて走り出した。

今の私が、魔法も何も使わずに、走れる本気を出す。



「今3組の5走目が走り出しました!おぉ!1年なのに速い!どんどん間が埋まっていきます!」



他の走者は全員5年だから、身長も高く、歩幅も大きい。

でも、私は元ドラゴンだから大丈夫。身体のスペックが違う。



うちのチームの6走は、玲先輩だ。

他のチームとの差は15メートルほど。



でも玲先輩は、余裕の笑顔だった。



「お願いします!」


「任せて!」



バトンを受け取った玲先輩は走り出した。



「今、3組が6走にバトンを渡しました!1年の真白さんが埋めた間を、さらに詰めていきます!3組速いです!」



玲先輩はどんどん他のチームを抜かしていき、そして…。



「ラストのカーブを曲がり、残り50メートル!3組が1組を追いかけています!その間もどんどん埋まっていきます!」



パンッ!パンッ!



走者がゴールした瞬間に、ピストルが鳴らされた。



「アクシデントもありましたが…今年のチーム対抗リレーの1着は…3組です!」



玲先輩が、1位でゴールテープを切ったのだった。





「玲先輩速かったですね!」


「真白ちゃんが詰めてくれたから勝てたんだよ。真白ちゃんも走るのすっごく速かったね!」


「遅かったらあんな作戦たてませんよ。」


「そうだね。勝てて良かった。」


「はい。」


「そろそろ閉会式だね。真白ちゃん。」


「はい?」



玲先輩、その手は何ですか?私に掌を見せても何もないですよ?



「真白ちゃんってハイタッチって知らない?」


「あぁ、ハイタッチですか。」


「知ってたんだ。じゃあしよっ?」


「はい!」


「いい走りだったよ。おつかれさま!」


「おつかれさまでした!」



パチンっといい音を鳴らして、玲先輩とハイタッチをした。







「それでは、いよいよ優勝した組の発表です!」



閉会式になり、校長のありがたくないお話を聞いた後、ついにその瞬間がやって来た。



「今年の優勝は…。」



先生が変に溜めるから、周りがザワつく。



「優勝は…3組です!」



「やったっ!」



つい喜んでしまう。でも、皆で頑張ったもんね。

良かった、玲先輩を勝たせることが出来た。



「それでは、賞状の授与を始めます。」




部門ごとの賞状や、2位までの賞状が授与されて、最後に私の組の授与の番になった。



「それでは、優勝した3組は、トロフィもありますので、代表者2人前に出てきてください。」



あ、今までは1人だったのに、最後は2人なんだ。

1人は玲先輩として、もう一人は誰だろう?


玲先輩が立ち、こちらを向いた。



「真白ちゃん、前に来てー!」


「えっ!?」



え、私を呼ぶの!?

6年の中から選ぶものでしょ!?



「皆、もう一人は真白ちゃんで良いよね?」



玲先輩がそういうと、3組の皆が頷いてしまった。

うそぉ、逃げ道無くなったじゃん。


私は周囲の視線に促されて、前に立ってしまった。



「さっきのリレーで大活躍したお二人ですね。それでは校長先生、よろしくお願いします。」



校長先生が賞状を渡してくれる。

トロフィはそこそこに大きいから、玲先輩が自然に持つ流れになった。私でも持てますけどね?



「優勝おめでとう!」


「「ありがとうございます!」」



二人で皆の方を向き、賞状とトロフィを掲げる。するとクラス関係なく、皆が拍手してくれた。



「それでは、最後に生徒会長による、閉会の言葉です。」



最後の役割は、玲先輩がするらしい。


玲先輩は、笑顔で朝礼台に立った。



「生徒のみんな、今日はお疲れ様でした!優勝したのは3組だったけど、お互いに協力して、本当に素晴らしい運動会になったと思います。これからまた勉強をしたりで大変だと思うけど、今日みたいに皆で頑張ろう!

それでは、これを以て、閉会の言葉とします。」



生徒や先生、保護者からも大きな拍手が送られる。

玲先輩は1度礼をして、朝礼台を降りた。




これで、私の初めての運動会は終わったのだった。

お読みいただきありがとうございました。


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