プロローグ
鏡に映るように、同じ動きをする。
同じものが体内を駆け巡って、身体を作る。
同じ言葉を何度も何度も言って聞いて、繰り返して、飲み込む。
私とシュンはそうすることで同じになったし、
そうすることでしか、お互いを受け入れられなかった。
最初にシュンに出会ったのは、六月と雨の匂いと淡い色の女が消えかける時期だ。(私はどれも嫌いである。)
シュンのことはたくさんの人から聞いた。私に会うように勧めてくれる人もいた。
だから会った。
とても単純に、でも着実にシュンの存在は私の心に足音を立てて近づいていたのである。
シュンに出会う前の私は、何も持っていなかった。
打ち込むものも、好きなものもなかった。私は透明だった。不所持ゆえの透明。
だから私は、シュンに出会ってすぐに、“染色”を受けた。
彼は、沢山の色を持っていて、とてもきれいだった。
シュンがいるだけで、私の世界には色がついたし、シュンは私を染めるのに沢山色を見せて、躊躇いなくその色をくれた。
それだけではない。
シュンは人気者だった。直接彼の“染色”を受けていなくても彼を好きになる人は沢山いて、
その人気ゆえに集まってくる人も沢山いた。
私はひとりではなくなった。
シュンを愛するものと共に過ごし、友達になった。
夜が明けるように、私の生活は変わっていき、シュンを中心に回り始めた。
シュンに出会った頃、私はまだ15になったばかりで、実は他にやりたいこともあった。
けれど私は、それからの生活を、シュンと過ごす時間以外のことも含めて、シュンを基準に計画した。