表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャ・ノワールと騒乱の聖歌  作者: 蒔田 椎太
33/45

33.南方の反乱

ブノワ長官、ダラス先生が出発してから三日を待たずに、局面は最悪の展開を迎える事になる。




「なんだと!?今一度申してみよ!!」


セルジオ将軍の怒声が会議室に響き渡った。レオナードはびくっと体を震わせたが、意外にも隣のパズは落ち着きを払っている。


「はい、今一度申し上げます。南方軍が反乱を起こしました。」


落ち着きを払ったパズの言葉に会議室がざわめきに満ちた。

いつもの会議室。違うのは王の側仕えが見慣れない男、恐らくブノワ長官の部下だろう、そしてダラス先生が居ないこと。そしてパズがこの場に居ることだ。

両手に巻いた包帯がまだ痛々しいが、顔の腫れはすっかりひいている。


「パズール・アクセルマン、と申したか、それは誠なのか?」


これには流石の国王も怪訝な顔つきだ。


「ほぼ間違い無いかと存じます。今日の午後には王都の商会中に知れ渡るかと存じます。商いを行う上で情報の鮮度は不可欠ですので。」


むむむ…。と王が唸る。

今日の午後は言い過ぎだと思ったが、俺は何も言わずにいた。この情報はパズとアスール、そして梟が居ればこその賜物だ。


「父上、先のシエロ殿達の時も、このパズールと親衛隊の面々が集めた情報が最も早く、的確でした。今回も恐らく間違いは無いかと思います。」

「…。分かった。今知っていること、全てを教えてはくれぬか?」

「畏まりました…。」



王の言葉にパズが一度、深くお辞儀をし、そして話し出した。


「まず、反乱を起こしたのは正確には、現南方公フランシスコ様のご子息、ジェイコブ様です。」


あの野郎…。とロメオがごく小さく呟くのが聞こえる。ロメオにとっては従兄弟にあたる男だ。


「南方公は無事か?」

「残念ながら安否のほどは分かりません…。」


グラート将軍の言葉にパズが首を横に振る。そうか…。と気落ちしたようなグラート将軍の声。面識があったのだろうか?


「問題は反乱を起こした南方軍に、どうやら聖騎士団が合流してポートランドへ向かっているようなのです。」

「なんだと!?今一度申してみよ!!」


今日二回めのセルジオ将軍の怒声だ。さすがにこれにはその場の面々が顔を顰める。


「…セルジオ殿、少し落ち着いて下さい。しかし、それは誠のことなのかね?」

「はい。騎士団の旗が多数確認されております。」

「ゴドール。大至急、教会本部に確認を。」


グラート将軍の指令に、ゴドールが、はっ!と短く答えると会議室を出て行く。


「ブノワ達の情報は持っておるか?」


国王の問いに首を横に振るパズ。そこに横手から声がかかる。


「ブノワ長官達、交渉組に関しては私が動きます。」


フォルテウスが毅然とそう言い放つ。


「ブノワ長官と同行しているダラス隊長のある程度の居場所であれば、隊長の愛弟子であるそこのレオナード隊員が探索する事が可能です。」

「…それは誠か?」

「は、はい!」


自分にお鉢が回ってきて、声が上ずるレオナード。国王の視線だけでなく、ペトロネラの視線も突き刺さっている。

こちらは本当にそんな事が可能なのか?値踏みするような視線だ。


「ダ、ダラス隊長の秘奥義の一つに当たります…。詳細は私にも何とも…。ですが、探索できる事は事実です。」


これは嘘だ。だが、レオナード、正確には俺でなければ現在のダラス先生達は追えないだろう。であれはこのような嘘も方便になる。


「…分かった。そなたらに任せよう。」


しばらくレオナードの目をじっと見ていた国王だが、やがてそう口を開いた。レオナードの口から小さく息が漏れる。


「アクセルマン、他に何か知っている事は?」

「恐れながら、これで全てでございます。」


恭しく頭を下げるパズ。国王は一瞬、目を閉じると、再びその目を見開いた。


「では王室親衛隊の面々は早速、交渉組の救助に向かうのだ。指揮は自分達で執るが良い。残りの者は反乱軍への対策を練る。行け!若人どもよ!」


国王の言葉にレオナード達がはっ!と鋭く返事を返した。





*****


「「つ、疲れた…。」」


親衛隊の控え室に戻るなり、レオナードとパズが机に突っ伏した。


「二人ともご苦労だった。だが済まない、休んでいる暇は無いのだ。早急に爺たちの救助に向かわなければならない。」


フォルテウスの言葉に、レオナードとパズがぱっと机から起き上がると、姿勢を正した。


「まずは私とレオナードで先発します。二人であれば早馬よりも早く交渉部隊に辿り着けるでしょう。」

「俺も行く!」


アーノルドの言葉にロメオが立ち上がらんばかりの勢いで食いついたが、王子殿が首を横に振った。


「駄目だ。ロメオはエレン、イネスと共に兵糧、護衛部隊を引き連れて後発だ。」

「しかし殿下!」

「気持ちは分かる。だからこそだ。今、冷静さに欠けるお前が前線に近づくにはいささか危うい。戦場ではそうした事が命取りになりかねない。」


王子殿にじっと見つめられ、ロメオは渋々と椅子に腰掛け直す。

その様子を確認し、王子殿はその場にいる面々に首を巡らせた。


「では各々、仕事に取り掛かろう。レオナードとアーノルドは準備が整い次第、出立。他の三人は私と共に編成を組んで出るぞ。気を引き締めてかかれ!」

「「「はっ!!!」」」


全員の声が室内に響いた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ