大賢者の子供は村に預けられた!?
もう読むのが疲れたよ
神祖、ドラクルは困惑していた。
突然、自分が領主をしている村に訪ねてきた、古い知り合いに生まれたばかりのような赤ん坊を任せられたのだ。
彼に頼まれることは、大抵、厄介ごとで、昔の恩義と仕方なくといった感じで依頼を受けていたが、今回のは不思議なものだった。
そして、次の日に赤ん坊の様子を見に来たが、昨日よりも大きくなり、たった一日で数年たったような様子だった。
それから立たせようとすると、すくっと立ち上がり歩き出した。
もう疑いようもなく、今回も厄介なことのようだ。
この村には様々な人がいる。
老若男女がいるということは当たり前だが、もうすでに死にそうな老人は元気に畑仕事をして、働き盛りの若者は家でずっと過ごしている。
日が落ち、暗くなった頃に松明の明かりなしに村の広場に村人全員が集まった。
ドラクルは、村人たちに知り合いから子供を預かった。
この村で育てることになった。ということを説明した。
村人から異論は起きないが、ざわざわと話し声は聞こえる。
しかし話し合いの結果は出たようで、すぐにシーンと静まりかえった。
その日は、それで終わった。
次の日に、またドラクルは驚きを隠せないでいた。
一昨日預かった子供が、次の日には5歳ほどの年齢まで育ち立ち上がった、そして今日は10歳ほどの少年になっていた。
そして村に出て、近くにいた老人にその日一日預かってもらうことにいなった。
ドラクルの領主としての仕事は、ほとんどないが、時間のかかるものが多いため、量ではなく質を求められている。
誰かに手伝ってもらうかとも考えたが、この村で自分と同じような仕事ができるものは少ない。
そのため、すっと机に向かっていることしかできなかった。
領主から子供を預かった老人、カルロスは困惑していた。
自分を拾ってくれた領主には返そうとしても返せない恩義があるため、どんな仕事でも全身全霊で消滅する、その時までやると決めていた。
が、これはどうしたものか、と悩んでいた。
少年のようだが、言葉が通じないようであった。
何か話しかけても、アーやウーといった赤ちゃんのようなことばかり言っている。
そして何より、馬鹿力なのだ。
手を握って歩いていたら、手を潰されそうになるほどだった。
これは扱いに困る。
そんなことを思いながら、本気で対峙するしかなかったのであった。
ようやく、仕事に一段落つき、子供を迎えに行こうとした。
しかし、その前に、騒がしい広場に寄っていくことにした。
そこでは馬鹿力で有名なガンツが腕相撲大会という行事を勝手に開催していた。
そしてその中央に探していた子供を見つけた。
その目の前には腕を押さえながら、体をくの字に曲げ唸っているガンツがいる。
話を聞いてみると、なんと老人のカルロスがこの腕相撲大会に子供を出してやることにしたのだった。
余裕満々に構えていたガンツだったが、その手を子供が叩いた瞬間、消し飛んだのだ。
まぁ、吸血鬼だから月の光に当たっていればいつか直るだろう。
自分の能力を使えばいいが、この能力は今は使うべきではないだろう。
騒がしい広場にゆっくりと行って、子供を連れて静かに立ち去るのだった。
そういえば、この子の名前はまだ決めてなかった。
いや、古い知り合いから預かった赤ん坊が入っていた篭の中に手紙が入っていたなということを思い出しながら、赤ん坊がスースーと安らかに眠っている部屋から静かに出て行った。
なんだか話すこともないが、念話だと考えてください。