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俺の妹と女友達が残念すぎる!  作者: 志賀一人
男子高校生でなろうの読み専をしているけれど、年下のクラスメイトで人気なろう作家の女の子が妹になるらしい。
1/6

プロローグ

 初めて彼の小説と出会ったのは、あたしがひどく落ち込んでいたあの時(・・・) だった。

 まだあの頃は、あんまりネット小説のことに詳しくなかったけど、だからこそ全部が新鮮で、すごく面白く感じたんだと思う。


 そしていつの間にか彼の小説は、落胆してたあたしにとって一番の心の支えになっていた。


 気付いたらあたしは、ただひたすらに、夢中で続きを追いかけていて──そしたらいつの間にか、悩みなんて全部吹っ飛んじゃってた。


 ──彼が使う文体が好きだった。

 ──彼が思い描いた展開が好きだった。

 ──彼が作る登場人物が好きだった。

 ──彼が持つ世界観が好きだった。

 ──彼が書き綴った、全てが好きだった。


 だから間違いなく、あたしを救ってくれたのは、他の誰でもない彼なんだ。



 今となっては、あたしが好きなのが彼の小説なのかそれとも────なのかは分からない。


 だけど、あたしは彼の小説を愛してる、それだけは、紛れもない事実だと思えたから。





 ▲▼▲▼▲▼▲▼





 一万円札のおっさんが「人の上に人を造らず」と言い残しているが、はっきり言ってあれは嘘だ。

 取り柄が一切ない無能力者もいれば、頭脳明晰・運動神経抜群・容姿端麗と三拍子揃った完璧超人もいる。

 「真面目に学んだかどうかで優劣がつけられる」と後付けもしていたが、これだって真理ではない。努力がどれだけ反映されるかだって才能の一種だし、ルックスみたいな、学んだところでどうしようもない事だってあるのだ。

 つまり間違いなく――この世界は不公平で不平等。


 外の景色を眺めながら心中で世の中を悲嘆していると、その事実を裏付ける(・・・・・・・・・)一人の少女が俺のもとへ近づいてきて、隣の席に座り、鞄を置く。


「奏太くん、これから(・・・・)よろしくねっ」


 そして、彼女――朝比奈(あさひな)陽葵(ひまり)にとって新しい隣席である俺――如月(きさらぎ)奏太(そうた)に、笑みを浮かべながら挨拶してきた。


「ん?おぉ、よろしく……」


 彼女の方に向き直った俺は、幾分無愛想な受け答えをした。


 朝比奈は、可愛いとか美しいとかそんな程度の言葉では言い表せず――それこそ、女神とか天使とかそういった類の存在に例えても遜色ないくらいだ。


 艶やかな髪質をした、ダークブラウンのボブカット。

 くりくりとした、ライトブラウンの愛らしい瞳。

 丸みを帯びた、少しあどけなさの残る顔立ち。

 健康的な色をした、きめ細やかな肌。

 胸の主張は控えめだが、小柄ですらりとした体のライン。


 そのどれをとっても、欠点なんて一切ない――そんな容姿に、思わず俺の意識は吸い込まれそうになる。


「ん、どうしたの? 何かついてる?」


 だが、可愛らしい唇が心地よい音色を俺の耳に届けてくれたおかげで、なんとか意識を取り戻すことが出来た。


「いや、何でもない」

 

 そうだ、女子を意識することなど、あの一件(・・・・)以来俺が最も忌み嫌った事じゃないか。

 異性に興味を持つなど、あってはならない。ましてや恋心を抱くなど言語道断だ。どうせ恋心など、3年間で失ってしまうような偽りの感情。そんなものに惑わされて、道を踏み外してはいけない。

 そもそも誰一人とて信用ならないのに、他人と絡もうとする事自体が、愚鈍と言えよう。


 だから、俺は朝比奈から目を外し、帰宅の準備を再開する。


 とはいえ、SHR(ショートホームルーム)が終わらない分には俺も帰れないわけだが――


「はーい、席の移動は終わったー?それじゃあ来週のテストの話だけど……」


 案の定、永遠の17歳と自称している独身女性の担任が長話をし出していた。

 なんで先生の話って、いつもこんなに長いんだ? もっと短く文章まとめろよ、あんた国語教師だろうが。そんなんだからいつまで経っても結婚できないんじゃ──何か凄く冷たい視線が俺に向けられた気がしたから、これ以上罵倒するのはやめておこう。

 ……まさか心の中とか読んでないよね? 異能力者じゃあるまいし。


 ちなみに、何で席を移動しないといけなかったのかと言うと、単純に先程席替えしたからだ。

 俺はというと、くじ引きで二回連続同じ席を引いたので、移動せずに済んだ。この席は窓際の一番後ろだし、居眠りしても一切バレない。ここマジ最高!(※ちゃんとテストの点数は平均点を超えているので、心配無用)


 まぁいい、話が終わるまで持参してきたラノベでも読んでおくかね。

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