ムー皇帝来日。
帝都信州 塩尻地区近郊
かつて、世界一高所にある大規模ハブ空港として、話題となった日本の信州松本国際空港。4000m級滑走路4本、3000m級滑走路2本。そして、国内。いや世界最大級の一万m級滑走路2本を有する世界最大の国際空港だった。
そこに帰ってきたB747-800J大日本帝国政府専用機。
所定の駐機スポットに止まる。ここは政府専用機ばかりが止まるエリアであり、各国機はそれぞれ所定の駐機場所がある。日本機の右手側には巨人機であるはずの日本機を遥かにしのぐ大型機が止まっている。
この空港が世界で唯一一万m級滑走路を有する理由である、彼の国の政府専用機である。
「日本の空港はとても洗練されていてうらやましい。ひっきりなしに機が行き交っているのだな。」
「とある国からもたらされた防音結界という魔導技術のおかげでこれほど住宅地の近くにありながら大型機の24時間運用を可能にしてます。」
晶仁夫妻は、即位即位25年の記念祝賀会で、彼の国の我らが素っ頓狂の頭に若返り薬をだまされてのまされて以来、これも何かの縁と、公務の合間に、莫大な量の知識をあらゆる方面から取り込み、経験と共に自らの物とした。
「帝国を統治す者として帝国で今周知されている最低限の知識、情報、流行に触れることで、真に臣民の、国の安寧と繁栄を祈ることが可能となる。」
転移5年前の誕生日に際してのお言葉において彼が語った自身の考えに日本国民は涙した。
今、晶仁は転移した国家の政府首脳の中で最も最先端情報技術に明るい者となっている。自らの動向を新聞やテレビを通す前に、某つぶやくサービスで、お茶目にユーモアたっぷりに書き込むのだ。
50代以下の者にとって。特に30代以下の者とって、晶仁のおかげで、皇室は、とても身近に敬える存在となっていた。
テレビに映る彼の姿も広い執務室の真ん中に置かれた机の前でパソコンに向かい何かを打ち込む姿や、皇太子一家にタブレットの使い方をレクチャーする姿が主だ。
「あなたを見ていると、人生は常に学ぶことができると実感させられますな。」
せっかくだからこちらの鉄道に乗りたいというラ・ムー夫妻の要望に国鉄が快くOKをだし、特別列車が急遽仕立てられた。
「これが日本の列車。何とも美しい。」
帝都、在来線の中枢駅となっている松本駅を経由し帝都北部の中心駅であり、帝国各部をつなぐ新幹線の中枢駅であり日本の鉄道を象徴する日本中心駅たる東京駅に向かい列車はひた走る。
広丘で、中央縦貫線に入り、そのまま、北上する。周りは全て摩天楼。窓から見上げてもてっぺんが見えないものばかり。そんな大経済都市を抜け列車は山間部に入る。いくつかのどかな雰囲気の駅を過ぎ、何本もの列車とすれ違い、何本かのトンネルを抜けると盆地を見下ろす高台に出た。
「ここが、皇居のある帝都盆地。通称善光寺平です。」
山を下り東京駅に入る。ここで北信鉄道なる私鉄に乗り換える。というより乗り入れる。そのまま、北上し、信濃川を渡る。川を渡って最初の大きな駅で路線を遷り松代にて待機していた車に乗り換える。
いよいよ英日夢露の4ヶ国元首会談が始まる。
が、作者にそんな高度な政治知識も専門知識も無いので、全く別の話になる。




