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よく有る国家転移物 の様な物  作者: 猫湊
東方見聞録
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第一東方人発見(某ダーツの旅風に)

中央世界から見て東方以外の3方向は船で4日も進めば大きな陸地があった。だが、東方は最も文明が進んでいたムーの快速船で半年進んでも陸地がなかった。

1.5万年間諦められていた東方探査が、日本と愉快なお友達のおかげで、実現した。

まあ、当時の快速船の速度は80kt/h

対する本艦隊の速度は最も遅い戦艦でさえ300kt/hを超える。先行する露払い艦だけであれば、光速を越えられると素っ頓狂は答える。

艦隊が、中央世界最東辺に位置する文明国家の港を出て3ヶ月半がたち数千年前にムーの快速船が到達した海域を越えた。

ここからは一切の情報がない。しかし、探索者達の顔は明るかった。

なにせ、かつては快速船一隻。人員も20人程度だったのが、今回はこの艦隊だけでも数千人は居る。前を走る船には、陸海空どこでも自由に活動できるチート集団が数十万人規模でいる。遥か上空には、この先の大まかな進路を示してくれるこれまた数十万人規模の人が乗った船が居る。

孤独ではなく、疲れれば、前を走る船で休息もとれるし、潤沢な補給で、飯もうまい。

出航からもうすぐ半年。

数千年前の探査では、乗員の心が折れ、これ以上は危険と判断された時期を過ぎても、今回の隊員達は、意気軒昂。

今日も元気だ海が青い魚を釣ろう。

そんな感じで、非番の駆逐艦乗員が、のんびり釣り糸を垂らしていたら。

「ん?……おい。おいおいおいおい。まじかよ。まじかよ。だれかー。手を貸してくれー。」

なんだなんだと集まってきた乗員達の目に映ったのは翼に日の丸のプロペラ機。

騒ぎは拡大し、駆逐艦の艦橋にいた艦長から、所属戦隊の司令。そして、艦隊司令部へ報告が上がり、当該駆逐艦を筆頭に艦隊は謎の日の丸プロペラ機に接近した。

そこに居たのは…。





































私は、央領と祖国の間で起きた海戦に海軍の飛行兵として出撃した。多くの央領機をたたき落とし、母艦へ戻ろうと取り舵をとったとき、いやな音がした。撃たれたわけではない。

機体の制御を行うワイヤーのどこかが切れた音。どうやら左右舵を司るワイヤーが切れたらしい。

祖国の教本では、こういうときはひとまず上に上がること。この状態となった機体へは如何に敵といえど攻撃は厳に慎めと書かれていた。

これは央領でも同じようで私は攻撃されることはなかった。

限界高度ぎりぎりまで上昇した後水平飛行に移る。機体はそのままに西南西へと進んでいた。

私は少し眠ることにした。我が国の飛行機界に対する完成度は高く、万が一、左右、水平、上下舵が故障した場合、直進、水平を保つようになっていた。。

ふと目を覚ますと、機体はもう雲下にいた。下は広大な海原。幸いこの機体は海上機であり、胴体着水が可能なように設計されていた。機体には、数週間分の携帯食料と、水を出してくれる魔具が備え付けられている。まあ、船か通りかからない限り私はここで飢え、干涸らびて死ぬ運命だから、希望もへったくれもない。

訓練では何度か挑戦し甲判定をもらっていた、胴体着水だが、いざ実践すると緊張する。

機体の水平はとれている。まあ、エンジンは燃料切れで止まっているから安心できないが。

わかってはいたが、着水時は着艦とは比べものにならない衝撃に見舞われる。思わず意識を手放してしまった。


「ん。椅子じゃない。」

わたしが、意識を取り戻して最初に感じたのは、背中に。そして、胸に、腹にかかる柔らかな布の感触だった。次に、その空間の薄暗さだった。軽く自己診断を行い、今起きるのは体にも、状態的にも得策ではないと判断し、首を動かして、周りを見回す。

白い壁と、水の入った容器が目に入る。

その容器にはこの薄暗い中でも、よく見えるが、決して、目を痛めない程度の明るさで、『目が覚めたら、二回拍手をしてください(可能ならでかまいません。)』

と皇国の言葉で書かれていた。

何が起きるかはわからない。だが、少なくとも私をここに寝かせてくれた者達とは言葉が通じるようだ。

書き置きに従い、いつもの私と比べたら、弱めに手をたたく。

すると、私から見て、右手側にある壁に設えられた、引き戸が開き、女性が入ってくる。

おそらく、ここに運ぶときに私が女性であることで気を遣わせたのかと軽く期待する。

「目が覚めましたか?」

「済まないが、ここは?可能なら今の日時も教えてもらえないだろうか?」

「ここは大日本及びムー大陸連合帝国海軍東方探査特別艦隊所属駆逐艦秋風の医務室です。今は西暦2040年。平成52年。こちらだと世界暦15040年ですね。皇紀だと2700年の8月10日です。申し遅れました。秋風船医の村田です。」

「扶桑皇国海軍空母鶴鷹航空隊所属倉田中尉だ。村田殿は、軍属なのか?」

村田と名乗った女性は首を縦に振ると、

「帝国海軍艦艇に乗艦する船医は海防艦の一部を除いて全て軍属ですよ。駆逐艦の場合は少佐相当官とされます。」

なんと、私は上位階級の方に向かって、失礼な口をきいてしまったことになる。急ぎ、襟を正して謝罪すれば、

「名前だけの、民間人ですし、それに今知ったこと。この艦隊の人は誰も気にしないです。そうそう、あなたを収容してから3日経っているとだけ伝えておきます。この艦内はCICと書かれた部屋以外は全て無許可で出入りできますので。まあ、今は私が付き添います。」

「一つ、希望を言って良いでしょうか?」

「ええどうぞ。」

私は、外の景色を見たいと告げると村田少佐は、快く手を差し出してきた。

「一通り検査をして、ただ体が弱っているだけだというのはわかりましたがひとまず座ってください。」

そう言って、示されたのは車いす。私が座るとなんと少佐自ら押してくださる。」

部屋を出ると、私も見たことのある軍艦の艦内だ。皇国艦よりも少々広めだろうか。

なぜか、すれ違う乗員が私たちに向かって直立敬礼をしてくる。

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