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さいごは、患部をほぐしてすっきりと。

海岸部から次々と上陸していくかの国の陸上兵と、米露の兵士、そして日本が開発した自律陸戦兵器ドローンたち。

「何度見ても、あれだけの数の船であの大軍団を輸送できていたのが理解できないね。」

「仕方ないでしょうあの規模をこの浅い海に着水させろと?安定して荷下ろしできる高さになる前に海底に付いちゃうのですよ。何せ今回使用している輸送艦はLV級特大型貨物船を人員輸送用に改造したものですから。

航宙運用専用で設計されていたのを大気圏内に降りて使えるように再設計してもらったものです。」

英日米露の連合国軍が揚陸活動をあきれ顔で眺める。

そのわずか数日後、敵首都を含め敵国全土を文字通りの人海戦術で制圧したと報道があった。

新たに西方世界の雄として君臨し始めていた中国が、二度、中央世界の旧来からあった超大国を飲み込んだ島国に敗れたというニュースは瞬く間に世界中を駆け巡った。


戦闘終結から数ヶ月。参加した艦隊が各地で行われた特別観艦式でお祭り騒ぎだった中、松代、皇居にて。

「それ、火炎放射です。」

[ほう。ならば、こちらは10万ボルトで。]

あの世界的RPG。あのゲームのジャンルは絶対RPGじゃないと思う。あれ、コレクションゲーだろ。

「なかなかにレベル差5の壁は厚いですが、ここで負けるわけには生きません。」

[あ。なるほど、その技できましたか。さすがに防御と体力に努力値を振り向けた報いをここで受けるとは。]

このゲームのいくつかある醍醐味の一つ。通信を利用したリアルタイムでの対戦にいい年こいた。齢百はとうに超えたじいさんと、こっちはいくつになったか、数え終わるまでに世界が終わるとまで言われるほどの齢を重ねた文字通りの神に等しい存在。まあ、生物学上も神なんですけど。

見た目はどちらも20代。どちらかというと神様の方が若く見える。そんな二人の視線の先には球状の立体映像が浮かび、その中で小さき者達が舞っていた。

ここ数ヶ月ネット上で徐々に人気が出てきた、日蒼元首対戦とタグのつけられたこの通信対戦。

と、晶仁の携帯獣日記は、日本国民にとって最高のエンターテインメントであり、毎回彼がこのシリーズの新作が発売されるたびに、発売日前からのわくわく感や、発売日に、お忍びで、予約受け取りの列に並ぶ、高揚感や、受け取ったときにその場で開けたくなる気持ちや、かえって、電源を入れ、最初のタイトル。最初の3匹からパートナーを選び旅に出るそのときの行く先への希望と不安などなどを、綴った一日に1ページだけ増える電子書籍に国民はこぞって飛びつく。

最新刊の巻頭インタビューで一番楽しかった冒険はどこかと聞かれ、、2作目とそのリメイクシリーズと答えた。その言葉で、第2作目の最新リメイクの開発が発表されるや、開発会社と販売会社の株価はストップ高を更新した。

そんな、みんなに愛される、陛下はストーリーを楽しんでから、バトルを楽しむタイプだが、同じ国民に愛されるかの国の王はストーリーの中でパートナー達を鍛え上げる。

[それでは真打ちの登場ですね。]

そう言って、彼女が繰り出したのは、歴代の御三家と称される最初の三匹がレベルを上げることで成長し、進化と呼ばれる成長のその先へ進む。その最終形態の中で、最も美しくも能力が凡庸と言われたものだった。

「ほう。真打ち。ですか。ではこちらも先ほど以上に真剣に取り組まねば。」

[この子は今までとはひと味違います。]

彼女の世界で発売されているものは、ある世代を境にその世代で完結する主人公というものが存在しなくなった。

プレイヤー達は自分の分身となる主人公を最初の冒険でまず自分のスタイルに作り上げる。そして、次の冒険、次の冒険と、それを高めていく。

もちろん、データ量はとんでもなくでかいが、物質がデータ化される世界。ストレージなんて、端からクラウド化されている。

そのため、冒険の舞台となる、地方と呼ばれるフィールドはとてつもなく広大であり、町々もそれ相応の規模である。特に初代と、第2世代と呼ばれるフィールドにあるそれぞれの最大都市はこのゲームにおける最大規模である。町々をつなぐ道路も長くなり、かつては物語中盤で手に入っていた高速移動手段も、序盤で手に入る。

ストーリーを終えたあと、新しい舞台にデータをコンバートすれば、主人公の情報は、偉業として、書き込まれる。3つから4つの舞台をまたぐと、本来、その舞台から始めたプレイヤー用に用意されたデフォルトの主人公アバターが、パートナーとして、同行し二人旅となる。新米冒険者を見守る立場となるため、人の上に立つ素養を養えるとして、彼女の国では、子供に必ずこのゲームを連続して5~6つの舞台をまたいでプレイさせることを強制している。

上記の初代、第2世代から始めたプレイヤー達の中で未だに熱かったと半ば伝説級に語られるのが、第五世代のストーリーと、第七世代の同行者の最終到達である。

特に第七世代では、同行者に旅の心得を説き、冒険をサポートしてくれていた人物が、旅の最後の場所で、同行者に勝負を挑み、同行者が勝つと、同行者に対して、プレイヤーに勝負を挑むよう告げる。プレーヤーが勝って、初めて、この部隊でのストーリーが完結するという内容だった。

同行者もプレイヤーアバターも冒険を始めるときに性別を選べる上、データコンバートを行わなければ、いつでもその舞台で冒険を完結させる従来の遊び方ができる。

そんな中でパートナー達を鍛えてきた彼女の真打ちに、毎回晶仁が勝てるはずもなく、彼女が真打ちを持ってきていない時のみ勝回がある形だった。まあ、真打ちは、今回が初登場だったが。


たまにはのんびりしたいよね

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