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火をつけたら、あとはのんびりするだけ

5カ国合わせて4500隻の大艦隊が、一路西へ向けて進んでいた。

先頭と最後尾には蒼藍王国(以下王国)の艦隊。第二静止衛星軌道に待機する航宙艦とのデータリンクで、迷いなく艦隊を率いて海を進んでいく。

2番手につけるはおいらがヒーローアメリカ。日本から贈られた無人艦艇とそれを指揮するイージス艦。そして旗艦となる空母や強襲揚陸艦などがつけていた。さらに、虎の子の砲撃駆逐艦ズムウォルト級を惜しげもなく出撃させていた。

3番手はロシア海軍。戦艦エカテリーナを旗艦として、帝国防衛に必要な艦隊以外は全て参加していた。

お次は大日本及びムー大陸連合帝国海軍連合艦隊。王国艦隊を除けば最大規模の総勢600隻。戦艦武蔵を旗艦として、晶仁が乗る王国艦である、伊勢を守るように大規模な輪形陣を形成していた。

王国軍を除けば一番後ろになる、英国艦隊。戦艦と、空母二隻のクイーンエリザベスに皇太子チャールズと、皇太子妃ダイアナがそれぞれ乗艦していた。

この超大艦隊の上空には各国の空母から飛び立った直掩機がエアカバーを担っていた。

120kt/hもの高速で昼夜兼行航海を行っても、中国近海に着いたのはアメリカを出航してから8日後だった。


中国指導部は急いていた。急ぎすぎた。

まあ急ぐのも仕方ない。

かつて中国が主張していた領土は全て転移の際に別の土地に分類され、西沙、南沙、中沙諸島は元々が、口だけで当時から世界最強の帝国海軍に手も出せるはずもなく、日本転移と同時に転移。ならばと勢い込んで併合開発しようとした、チベットもインドや東南アジア諸国とともに転移して、内蒙古やウイグルもロシアが転移した際にモンゴルなどとともに転移。実際の領土は大きく減じていた。

それでもまあ、田舎の大将としてのし上がってきた地力はたいしたもので、首都にあった、資産、資金、資料を失っても、人民から全て巻き上げたことで再び今の軍事力に戻した。しかもその過程でかつてあった大虐殺を繰り返したのだ。さすが田舎の大将。人権と人命が一番軽い国。

そんな国だからほとんど交流がなくなったかつての同郷の先進兵器を見ても何とも思わず、逆に、侮っていた。

というわけで中国軍が誇る北洋艦隊が出てきた。

『艦隊内超長距離射程艦必中射程はいりました。ただ今より丁字戦での艦隊殲滅砲雷激戦に入ります。』

艦隊全艦にこんな放送が流れ、大規模輪形陣のまま丁字戦に入った連合軍。

その結末は、一方的なものだった。

まずは、先ほどの超長距離射程艦が、敵の射程外から砲弾の雨をお見舞いする。

いつもは、敵の索敵範囲外から砲撃をお見舞いしているのだが、今回は、わざと敵の索敵範囲に入ってから撃ったので外れるわけがない。

そこからはもう淡々としていた。

まず中国ご自慢の空母から飛び立った艦載機が、万に届くかという規模の大編隊と接触し、消えた。海に落ちる残骸すら残さず消え去った。乗員の肉片すらもなかったという。

つぎに水上艦が沈んだ。ご自慢の艦隊が、ただの一斉射で粉々になった。

そもそも、中国はなぜか、日本は眼中になくアメリカと張り合っていた。そのためミサイル空母主兵となり、装甲が薄かった。

砲撃を行える艦もあったが、主砲は大きくても15.5cm

対して、今回の艦隊はアメリカ軍を除き、砲撃戦を想定した、重装甲艦が多くそれに併せて、砲塔も強力だった。

残された潜水艦は日本艦隊にとって、もはや敵ではなかった。かつて、世界中の潜水艦乗りの間で世界で最も敵にしてはならないと言われた大日本帝国海軍対潜部隊。

そして、それに同行する、世界で最も静かで正確で、強力な潜水艦群。これを見つけられるのは日本軍だけと言われた強力な部隊が、潜水艦に攻撃を加えた。

世界中の原潜保有国家の中で最もやかましいと言われる中国艦。

結局相手を見つけることなく海に沈んだ。

その後、主要軍港、大小問わず、全ての港を破壊され、連合国軍が中国沿岸を制圧した。

そして、王国軍が合流した。巨大星間国家なだけあって、ひとたび軍勢を送り込めば、それは、もう、文字通りの人海となり中国の国土を覆い尽くした。

その勢いのままに北京も真っ黒に埋め尽くされた。

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