まずはヨモギの葉をよく揉み込みまして。
毎度のことながらサブタイトルが、突拍子もなくて申し訳ない。今回は話の流れをまああれの流れにたとえています。それと後書きでお知らせ。
中央世界
ムーとその傘下の国で構成された、世界で最も発展してい「た」地域。いま、その発展の中心は数千キロ西へ移ったが、それでも世界の中心であることに変わりはない。
新たに中央世界の西辺となった南北アメリカ大陸と海を隔て向かい合うのが、新たに西方世界の東辺に位置することになった、田舎の大将だった。
中央世界を統べる3帝5王の元首や首脳陣。さらには八大列強のトップが集まって、一つの画面を見ていた。
そこには、あの悪巧み前と変わらない田舎の大将の姿。
3帝5王がため息をつく中、
「一つお灸を据えさせましょうか。我らがヒーローに。」
晶仁陛下が、ぼそりとつぶやいたこの言葉に、場は凍り付いた。
金と武器は日本が出す。だから一番近いアメリカ、おまえが戦え。
そういうことだ。。もちろん、この武器の中には日本が実用化に成功した、完全無人戦闘艦艇や、無人軍用機、自立陸戦兵器などが含まれる。
まあ、基本こういうのを作るのは好きだけど運用する場合、人員をある程度は位置してないと安心できない心配性の引きこもり国家日本。今回も、作ったけど自分のとこでは使い道のない無人自立兵器をしこたま抱え込んでいたところにこれが起きて、
「ズムウォルト級のお返し。」
とばかりに関係技術までまとめてただでおいらがヒーローに送付という名目で、自分とこで使い道はないけどできちゃった物を送りつけた。
そしたら、アメリカ大喜びで対日貿易赤字は当面無視すると言い出した。
そうは言われても律儀な日本は、アメリカ産小麦の輸入と、官民合わせた航空機の購入枠を増やすと宣言。
でも有頂天なアメリカは、航空機はライセンス生産で良いじゃんと言い出す。
ここでも日本の謎理論。本場の物信仰を振りかざして、国内航空会社分併せて各種4500機を一括発注。アメリカ側はぽかーんとするばかりか、どうすれば良いかわからず右往左往。
そして判明した、馬鹿大将にお灸を据えるための戦力が圧倒的に不足していること。アメリカも即応できない。日本も無理。ほかの転移国家も無理と頭を抱え込む中晶仁陛下、いずこかへ電話をかける。
「わかりました。それでは八丈駅にて。」
「お待ちしておりました。」
日本の元首夫妻が迎え入れたのは、彼の国の王。
「慶事のすぐあとにかようなるきな臭い事案に巻き込む形となってしまい、深くお詫び申し上げます。」
二人が頭を下げるが、彼の国の王は駅の外。北西を見つめたまま動かない。
「遥夢さん?」
「どうされました?」
声をかけるも瞬き一つせずその場に立ち尽くす王。纏っていたローブがくるぶし丈のマントに替わると、彼女の手には指揮棒が握られていた。
[全艦八丈島近海に集結せよ。さあ、我が友を親友と呼ぶ勇者に援軍を。自らは覇者と誤解する馬鹿に灸を据えよう。彼の地に地獄を作るぞ。兵器が奏でる葬送曲を。]
その言葉に合わせて、何隻もの軍艦が現れる。
[ムーで、ヤルマトイ級の改装が終わるのが来週でしょうから、その前にパナマに送っておきましょう。来週、ヤルマトイ級率いるムー艦隊に乗って、観戦と行こうではありませんか。]
遥夢と呼ばれたかの国の王。その顔には今何の表情もなかった。
八丈駅からムー方面へ伸びる小笠原線。そこを走る急行硫黄島
かつて今の親友とも言うべき関係を築くに至った、太平洋を隔てた大げんかの際最も西で起きた陸上激戦地の名を冠するこの列車。
その一等車に3人は乗っていた。
[南西から北西へ抜ける路線の複線電化が完了したそうで、まずはお慶び申し上げます。]
「ありがとうございます。今日はムーの首都ヒラニプラで1泊と言うことで。ラ・ムー陛下も、陛下にお目にかかれるのを楽しみにされておいでですよ。」
その言葉に遥夢は表情一つ代えずに。
[光栄です。]
のひとことだけ。
列車はムーの地に乗り込んだ。
次の話から数羽の間拙作 L.C-Foとクロスします。
あちら側視点で進む話では、こちらでは説明しないことも説明する予定です。
編集の都合上、あちら側を先に投稿しますのでよろしくお願いします




