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ムー大陸東方沖海戦

ムー帝国東方沖2000海里の海上


『だーんちゃーく…今!』

多くの水柱が上がる。新興覇権主義国が、日夢合同防衛識別圏に入り、ムー勢力圏下の国に侵攻したのだ。

それに対抗して、ムー帝国が勢力圏下の各国と交わした安保条約に基づきムー帝国海軍が出撃した。

しかし。

「全て遠とのこと。すでに、敵方からの砲撃により我が方には4隻の沈没艦が記録されています。」

「敵方は機械文明国と言うことか。」

魔法文明を極め、魔法文明と機械文明との融合文明へ移行段階にあり、魔法武器の持つ一定距離を超えると命中率が極度に0に近くなるという欠点を機械文明で補っていたムー。

それに対してあいては純機械文明のようであり、確実に命中弾を出してきていた。


「司令官、後方より新たな艦影とこちらは微弱ですが魔法発動反応を捉えたとのこと。」

「だからなんだという。主力魔導巡洋艦を4隻も失ったのだ敗北…。」

「司令官後方より接近する艦影の正体と発動魔法が解析できました。友軍です。」

この報告でも彼の沈んだ心は浮上しない。

「あれにかなう船は我が国にはいない。」

「報告。後方より接近する艦影は大日本帝国海軍連合艦隊旗艦長門以下、102隻。また先ほどの微弱な魔法発動反応は、艦載機の発信を補助する魔導カタパルトと、、戦艦の魔導砲への動力供給回路の接続です。

同艦隊との彼我の距離60海里。あと、1時間で、合流します。」

「日本?」

「同艦隊旗艦長門より入電です。『遅レテ済マナイ。コレヨリ、我ガ艦隊所属ノ艦載機ニヨル敵艦隊ヘノ爆撃ト、長距離砲撃ヲ行ウ、現方向ヨリ取舵32度ヲ請ウ。』以上です。」

司令官が、日本からの入電に従い転舵を命じた数分後、敵艦隊から火の手が上がる。

「敵艦隊攻撃目標を全て我が艦隊から日本に切り替えた模様。」

「日本艦隊に返信。貴艦隊の登場を心より感謝する。」

新興覇権国と日本の艦隊に挟まれていた、ムー艦隊36隻は全力で、敵の射程外とおぼしき海域まで逃げた。そうでないと日本の攻撃に巻き込まれるというのをこれまでの演習でいやと言うほどたたき込まれていた。

そうこうするうちに1隻の相手艦が放った砲弾が日本艦隊の駆逐艦、そして戦艦の艦橋基部と第一砲塔を直撃した。

「「ああ。」」

ムー艦隊の全員が、やはり日本でもだめなのかと絶望したという。

だが、煙が晴れると日本艦は2隻ともけろりとしていた。さらに、日本艦のうち、輸送艦、空母を除く全戦闘艦の主砲が、新興国艦隊をにらみつけていた。

巨大な閃光が、日本艦隊から放たれ相手を襲う。

その光度の強さにムー艦隊は皆目を覆う。


やっと視界が回復した頃、敵艦隊の姿はなく、ムー艦隊は日本艦隊に囲まれていた。

「指令。あれを。」

副官の指した方向には自走浮きドックに積まれた、沈んだはずの巡洋艦4隻の姿があった。

「私は死んだのか?」

「いえ。」

「ではなぜ沈んだはずの4隻が海の上にいる。そして、乗員がこちらに向かって手を振っている?」

「司令官、あれは、日本軍の将兵です。また、吹き飛んだはずの部分には大穴があいています。」

ムー艦隊の旗艦艦橋内は混乱していた。

「司令官、日本艦隊司令長官を名乗る者から入電です。」

「つなげ。」

艦橋内の大型魔導モニターに日本海軍の軍人がでかでかと映し出された。

『いや。ようやくこうしてお話しできることをうれしく思います。大日本帝国海軍連合艦隊司令長官大将山本源喜と申します。』

「ムー帝国海軍東方艦隊司令官-中将であります。此度の救援誠に感謝の念に堪えません。」

『そう言っていただけるとうれしいのですが、4隻轟沈という結果を出しただけに私としては無念です。さて、その4隻ですが、沈没中のところを我が国の潜水工作艦が浮揚処理を行い、大型工作艦でこうして、応急処理を施しているところです。早くとも半年は戦線への復帰はできませんな。

この4隻は貴国と我が国とで定めた技術協定に基づいて、我が国で補修改良の上で遅くとも4ヶ月以内には返却します。また、4隻の乗員は海に投げ出された者も含め全2763名を収容し、甦生措置も併せて現在本国に搬送し、手当てをしています。こちらは遅くとも1年以内には祖国の地を踏めるよう手配します。』

『ヤマモト司令。貴国の厚意には重ね重ね、感謝をしても仕切れない。』

この日本で修繕を受け返還された4隻を基にムーで研究が続けられた結果、ムー海軍最強の名を有することになる、ヤルマトイ級戦艦が建造されることになる。


また、この戦の数年後とんでもないニュースが、世界を駆け巡ることにもなる。ヤルマトイ級戦艦就役からわずか3年後のことだった。

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