サミット終了
列車が地上に出ると夢の世界に旅立っていたものたちが帰ってきた。
在来列強諸氏は、いつの間にか左右に一本ずつ増えていた線路と先行していた列車を追い抜くことに驚いていた。線路の周りは一面の熱帯雨林。
在来列強側の一人が何気なく客室端の電工掲示板に表示された速度計を見て悲鳴を上げた。
速度は豪州大陸を走っていたときの倍以上出ていた。外を見ていても、辺り一面の広大な熱帯雨林が広がっており、あまり代わり映えしないので気づかなかったのだ。列車は再び地の底へ潜る。
今度は1000km以上の距離を駆け抜けるパンダ海底トンネル。ティモール等に上陸する。
ここからひたすら地上を走り、やがて車窓に建物が増え始める。
その建物の平均的な高さがどんどん高くなっていくにつれ在来列強諸氏は開いた口がふさがらない様子だった。
日本の南洋道道都とにして赤道多島海最大の都市ジャカルタである。
ジャカルタ駅に列車が止まると、降りるよう促される。
ホームには、ローブをまとった女性が4人。3帝の説明によると、彼らと別の国のものらしい。3帝側が、深々と礼をする。それだけで三帝を上回る強大な力を有していると理解した在来列強。
彼女らの案内でホームの反対側に止まる列車に乗り換える。JERが保有する車両の中でも最新の車両を基に作られた日本の政府専用列車である。
一行が乗り込むと、ドアが静かに閉まった。
なぜ乗り換えたのか問うと、返ってきた答えは、「この先はこの列車じゃないと予定が押すから。」
だった。
シドニーを出たときと異なり、列車は、静かに風切り音だけさせて滑り出る。
ジャカルタから再び海の底に潜りボルネオ島、フィリピン諸島を経由し、列車は日本本土最南端の台湾島に至る。ここから南洋道ではなく九州南西諸島地方に分類が変わる。
高雄駅から、台北、桃園までは全く町並みが途切れない。そして、列車は再び長い海底トンネルに入る。ここから、鹿児島中央駅までは地下を走る。もう夢の世界へ旅立つ気力もなくなった。
あと一度だけ今日の目的地に着くまでの間に海底トンネルをくぐると説明を受けた一行は、もう好きにしてという感じである。
熊本、福岡と九州の代表的な都市を抜け、関門トンネルを抜けた列車は一路東へと走る。大阪駅を抜け、山城駅に至る。山城市にある関西国際会議場で、二日目の会議が行われる。
このとき馬鹿が何をとち狂ったか、東都で爆破テロを行わせ、これに対応しない政府を非難し、巻き込まれた列強諸氏をいたわろうと企てたが、再三お伝えしているとおり、会議が行われるのは、関西。
馬鹿ども即刻捕まって、破壊防止法に基づいて、解体されました。
会議は午前中に終わり午後には大日本帝国帝都信州に移動し、観光と相成った。
案内される場所場所でぽかーんとしつつ、2回目の中日が始まる。
信州北部の高速鉄道駅にて昨日とは異なるタイプの列車に乗り込んだ一行は一路イルクーツクへ。
最後の会議をも終え、その日のうちに、モスクワ、サンクトペテルブルクを見終えた一行が最後に降り立ったのはロンドン。見たことないテレビカメラに目をマルクしつつも共同記者会見に臨むが、
最後にかの国が、3帝都絡む場合、かの国も3帝側として絡むといって在来列強は思わずジャンピング土下座となった。
こうして、第一回8カ国列強会議通称NG8はある意味大成功となって幕を閉じた。
会議の内容?知らん。