5、はじめてのおつかい
と、言うわけでトコトコ1人で歩くこと30分。
村に着きましたー!!(狼さんは服がないとかでお留守番です)
「ここかぁ~!」
なんか、村と言っても日本の田舎っぽいやつじゃなくて、ヨーロッパ系のお家がいくつか建っていた。
「うわぁ!すご~い」
なんてキョロキョロあたりを見回していると、
『早くしろ!』
え!?狼さんの声が聞こえたんだけど?!
「え?え?」
なんてあほな声を出していると、狼さんがこれは念話というものだと説明してくれた。
うん、ファンタジーとかであるあれだね!
まあ、魔法とか、いろいろある時点でもう驚いてる暇なんてないんですけどね。
『そこの看板に糸が巻かれた意匠が書いてあるだろう?そこの人間に売ればよい』
なるほどーとか言いながらお店の扉を開ける。
「あい!いらっしゃい!…おや?」
恰幅のいいおばちゃんが出迎えてくれて、不思議そうな顔をした。
「?どうかしましたか?」
とりあえず、にっこりスマイルをして小首をかしげる。
この顔の綺麗さはすごいもんね!おばちゃんも一瞬ぽかんとして慌ててたし。
「ああ、すまないね…綺麗な髪の色をしているんだねぇ」
「はい!いっつもよく褒められるんです。自慢の髪の毛なんですよ」
はい、嘘です。この世界に来てまだ数時間だし、褒められたことないけど…
まぁ、ここはうまいこと話を合わせるのがいいでしょ。
「…あの、これを買っていただけますか?」
狼さんにこれ以上怒られるのも嫌なので、さっさと本題に入る。
「うん?……!これは…綺麗な糸…いや、毛か……?すごく上質なものだ…銀貨…40枚でどうだい!?」
おばさんは私の差し出した狼さんの毛を見るなり顔色を変えた。
うん、お金の価値はまだわかんないけど、狼さんに言われたのよりも多い金額を提示されたしいいかな。
欲深は身を滅ぼすからね!
「はい、わかりました」
そういって代金をもらうと、狼さんに買い物をして帰れと言われた。
『男物の服…大きさは95ダムくらいだ…あとは、食料を買って帰れ……値切れよ?』
よくわかんない単位が出てきたんだけど……
まあ、なんとかなるっしょ!
とりあえずおばさんに服屋の場所を教えてもらって行くことにする。
「こんばんわー!あの、95ダムの男の人の服一式ください!」
入ってすぐのところにいたおじさんに元気よく挨拶をすると、むこうも笑顔で返してくれた。
「やあ、いらっしゃい!それにしても…95ダムとは大きいな…だれへのだい?」
えぇっと…考えてなかった…ていうか大きいんだ…
「あ、兄のです…最近成長期らしくて…すぐ服が合わなくなっちゃって~」
適当なことを言うしかあるまい!
「へ~そうなのか…ちょっと待ってな……」
とりあえず信じてくれたようで、服を持ってきてくれた。
……って、ほんとにデカッ!
「銀貨…10枚だよ」
う~ん…狼さんに値切れって言われたしなぁ
「あのぉ…もう少し安くしていただけませんか?」
この顔の最大活用だ!上目づかいで、おじさんの顔を見つめる。
「う、う~ん……」
じーっ
「わ、わかった!銀貨7枚でいいよ!」
うむ…これ以上は値切れそうにないな…
と、いうわけで頷いて服を買って、近くの食料品を売っている店で携帯食料や、干し肉なんかを買いました。
狼さんのところに帰るぞー!