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いじめられっ子

幼い頃から私、山田葵はブスブスと苛められていた。

確かに私の顔は可愛くない。

髪は癖が強くてすぐ絡まるし、目はお前前が見えているのか?と問いたくなるほどに細い。

鼻は豚鼻で、顔の造形もお正月の福笑いで失敗してしまった時のようである。

認めよう。確かに私はブスである。

それも千年に一度生まれるかどうかのブスさだろう。

まるで悪魔の寵愛を独り占めしたのでは?というほどのブスさだ。

が、しかし。

だからといっても苛めるのはどうかと思うのだ。

ブスだってブスなりに日々努力して生きている。

髪だって肌の手入れだって化粧だって人一倍努力して、悪魔の寵愛から逃れようと生きている。

なのにそんな努力を嘲笑い、貶し、貶める、そんな奴等が私はどうしても許せない。



「みんな地獄に堕ちてしまえ………」



私は生まれつきのだみ声で汚く汚れている教科書を手に取りながら呪いをかけた。

もちろん相手は私を苛めるクラスメイトだ。

この教科書を外に投げてキャハハと笑ったクラスメイトである。

だいたいなんなんだやつらは。

人がブスである事実をカバーするため面倒なことも素直に引き受け、常に笑顔でいることを心掛け、なるべく明るくするようにしているというのに………



「何が……ブスが笑ってんじゃねーよ、よ!!」 



いい加減にしろよ!無表情でいればブスが睨んでる~こわ~いなんていうくせに!泣いたらブスが泣いてるキモ~イて言うくせに!怒ったらブスが怒ってるうける(笑)て言うくせに!!じゃあ!どうすればいいっていうんだよ!

たまたま親からもらった顔がブスじゃなかっただけで、調子に乗りすぎなんだよ!

もし、今この瞬間に人類がのっぽぺらぼうになったらお前らよりはモテモテになるからな!

心の中でそう怒鳴っているうちにいつのまにか教室にたどり着いていた。

苛められているからといって、学校に行かないなんてことはしない。

あんなやつらのために学校を休んで、単位がもらえず、大学にいけないなんてことは嫌だからだ。

一つ、深呼吸をする。

物心ついた時からずっと苛められてきた。

保育園、小学校、中学校、そして現在の高校、

もういじられっこのプロである。

あるが………傷付かない訳ではない。

いつだって物をとられる度に、悪口を言われる度に、無視される度に、笑われる度に傷ついてきたのだ。



「………よし!」



小さく呟いて、気合いをいれる。

そしてゆっくりと扉を開いた。

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