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第6話

今回も調子が悪くて短いです。

「なぁなぁ修哉。今日も弁当のオカズ貰っても良いか?」


「良いぞ。父さんの作る弁当はいつも量が多いからな」


「よっしゃ!」


 HRの後、午前の授業を終えた昼休み。


 昼飯を食べる為に鞄に入ってる弁当を取り出すと、錬が事前に買って来たパンを持ってきながらコッチに来た。


 錬は俺が弁当を持ってくる度にオカズを食いにやって来る。普通は迷惑なんだろうが、俺としては弁当のオカズが多いので逆に助かる。


 因みに錬以外にも江藤や沢井、他のクラスの連中からはオカズ交換をされる事もある。それだけ父さんの作った弁当が美味いって証拠だ。


「錬は弁当じゃないのか?」


「今日は店を早く開いたから、母さんが弁当作る暇が無かったんだよ」


「相変わらずお前の店って変わってるよな。普通トンカツ屋って昼頃に開店する筈なのに」


「ウチは朝飯定食ってのを出してるから仕方ねえよ。客を多く確保する為にはトンカツ以外の事もする必要があるんだとさ」


「そうなのか? お前の所のとんかつ屋って結構人気あるって聞いたんだが」


 そんなに切羽詰ってる状況なんだろうか。以前来た時はとてもそんな風には思えなかったんだが。


「親父や母さんが『元気な内は一杯稼ぐ』って言ってな」


「錬の両親は商売熱心なんだな」


 俺は感心しながら弁当の蓋を開けると、その中はいつも通り一人では食べきれない量のオカズが入っていた。


「ったく。こっちもこっちで相変わらずな量だな」


「おお♪ お前んところの親父さんってホントに凄ぇな。見るだけで美味そうだ」


 弁当にはエビフライや唐揚げ、煮物や野菜類等が色々入っていた。あ、昨日の夕飯の残りのトンカツもあるし。


「なぁ修哉、カツを貰って良いか?」


「構わないが……と言うか錬、お前のところのカツと比べると大して美味しくないと思うが」


「良いんだよ。修哉の親父さんの作るカツはウチのとは違って、別の美味さがあるからな」


 錬はそう言いながら俺の弁当に入ってるカツを取って食べると、


「うんめぇ~♪ やっぱりウチとは違う美味さがあるなぁ~」


「そんなもんか?」


 味わいながら美味しい顔をしており、俺は不思議に思いながら食べている。


「ちょっと錬く~ん、一人だけ天城君のお弁当を食べるなんてずるいよ~」


「私達も混ぜてもらって良いかしら?」


「「ん?」」


 突然、弁当を手に持っている江藤と沢井がコッチに来た。


 江藤の台詞を察するに、この二人も俺の弁当を狙っているみたいだな。


「お、愛奈ちゃんと沢井も修哉の弁当狙いか?」


「弁当狙いなんて人聞きが悪いよ錬君」


「そうよ鬼灯君。私達はオカズ交換しに来たんだから」


 錬の台詞に否定しながら訂正する江藤と沢井。どっちにしろ俺の弁当のオカズを食べる事に変わりないと思うんだが。


 内心突っ込んでいると、江藤と沢井は机を寄せた後に俺の弁当を見る。


「うわぁ~。いつ見ても凄い弁当だねぇ~天城君」


「ホントね。お店に出しても何の違和感も無いわ」


「そうかい。で、お二人さんは何を交換してくれるんだい?」


「えっと~……ボクはグリルチキンをあげるから唐揚げを」


「私はエビフライを貰う代わりに卵焼きを」


「はいはい」


 江藤と沢井の要望を承諾すると互いに交換し合う。そして二人はすぐに交換したオカズを食べると美味しそうな顔をする。


「相変わらず美味しい~♪ 天城君のお父さんってお菓子だけじゃなく料理まで美味しいなんて良いな~」


「料理店を開いても良いと思うくらいの美味しさね」


「だよなぁ~」


 美味いと言う江藤と沢井の台詞に賛同する錬。もしここに父さんがいたら喜んでいるだろうな。


『くそっ! 今回は無理みたいだな』


『もうちょっと早く動けば食えたんだが』


『残念。次こそは何としても……』


『また次の機会に……』


 クラスの連中がコッチを見て非常に残念そうな顔をしていた。


 お前等も相変わらず俺の弁当を狙っているんだな。そこまで必死になるか?


「何でウチのクラスは揃いも揃って俺の弁当を狙いたがるんだか……」


「そりゃしょうがねぇよ修哉。お前の弁当は美味ぇんだからな」


「そうだよ天城君」


「皆が必死になる気持ちは分かるわよ」


「そんなもんなのか?」


 俺には全然分からん。弁当のオカズを食うのは構わないんだが、そんなハイエナのような目でコッチを見られても正直困る。


 頻度が高くなったら何処かへ避難することを考えておかないとな。


「あ、そういや弁当で思い出したんだけどよ。修哉、お前んトコの親父さんってまだ再婚する気はねぇのか?」


「何で錬がそんな事を聞くんだよ」


 錬の問いに俺は少し顔を顰める。


「いやさぁ、この前“AMAGI”に来た時、セレブそうなおばさん連中がお前の親父さんに見合いを勧めているのを偶然見てさ」


「あ、それボクも見た。天城君のお父さんって凄く若く見える上に女性客にモテてるからね」


 ………確かにソレはよくある光景だな。錬の言った見合いを勧めるおばさん達も俺は度々目撃している。


 江藤の言うとおり、俺の父さんはかなりの童顔だから兄と間違えられる事もある。若く見られる事は良いんだが、父さんとしては俺の父親として見られたい事がある所為か逆に落ち込んでいる。


 まぁそれはそうと、父さんにはカリスマ性と言うか魅力があると言うのか、客の心を掴むのが上手い。男性客は良いとして、女性客は見事父さんに心を奪われるかのように上気した顔になっていた。それによって若い女性客が父さんにさり気なくデートに誘う事もある。


 そんな事があり、“AMAGI”に来る客の大半は女性客が多い。


「他には学校の先生も天城君のお父さんを狙っているって噂もあるわよ」


「おいおい……」


 沢井の情報は初耳だったので深く訊いてみる事にする。


「狙ってる先生って誰か分かるか?」


「さあ……? あくまで噂で聞いただけよ。特定の誰かは分からないわ」


「そうか……」


 まぁ喫茶店に来てるならいずれ分かるだろう。


 ってかウチの学園の先生が俺の父さんを狙っているとは驚いたな。


 もしその先生の事を義母さんって呼ぶ事になったら………いや、それはないか。父さんは未だに亡くなった母さんの事を愛してるから、再婚だなんて微塵も考えてないし。


「ま、何にせよ、修哉の親父さんは色々と大変だな。女性にモテるのは羨ましいけど、あの人にはそれだけ人望があるから認めざるを得ないな」


「珍しいな。錬がそんな事を言うなんて。と言うか父さんに対してかなりの高評価だな」


 モテる男に対して嫉妬してる錬が言うのは本当に珍しすぎる。明日は槍でも降りそうだ。


「当然だろ。家事と仕事を両立してる男なんて希少な上に、あんなに見た目が若い修哉の親父さんがモテない訳ねぇからな。俺にはとてもそんなこと出来ねぇよ」


「そうだねぇ。ボクも天城君のお父さんに憧れてるよ。あんなお父さんがいたらボク絶対自慢するし」


「その人と結婚する女性は幸せ街道間違いないと思うわ」


「……………………………」


 なんか父さんって喫茶店の客だけじゃなく、学園でも評判良いんだな。


 そう思いながら俺は弁当を食べ終えた。

オリジナル話を書くとどうも短くなってしまいますね。


次はどうにか長めに書かないと……。

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