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番外 和哉の修行

 師匠の道場に着いた後、一通りの基礎を終えて胴着に着替えた俺は二時間近く師匠と組み手をしていた。


「ふっ! はぁっ! やぁっ!」


「うむ、少しはキレが増してきたのう」


 手足を使った俺の攻撃を悉く紙一重でかわす師匠は、分析するかのように俺を観察していた。けど俺はそんなの気にせずに更に攻撃速度を上げて、師匠に当てようとしている。


 この人が俺の師匠であり、名は宮本竜三。一見ただの好々爺だと思われるだろうが、実は武道の達人。それも超人と言ってもいい位に物凄く強い。


「ほれほれ。もっと真面目にやらねば、ワシに当てる事は出来んぞ?」


「やってるっての! おらぁっ!」


「ほっほっほ。それは悪かったわい」


 俺の回し蹴りをヒョイッと避けて後方に下がる師匠は、笑いながら俺に謝ってくる。


 言っておくが俺は全力で師匠に攻撃をしている。それも一般人の相手なら確実に怪我をするほどの一撃を何度も、だ。にも拘らず師匠は、それを何の問題なく涼しい顔しているから余計に腹立たしい。今までにあの顔をぶちのめそうと何度思った事か。


 けれど、これが俺と師匠の差である。すぐに埋める事が出来ない歴然とした力の差。


 因みに今の師匠は全然本気を出していなく、実力の一割程度しか出していない。だが俺からすれば竜爺の弟子になって十年以上経って、やっとそこまでの実力を出させた。あと何年経てば師匠に全力を出させる事が出来るのかは分からないが、それでも師匠を倒すことを目標としている俺は日々奮闘中だ。


「さて、いつまでも避けてばかりじゃいかんから、今度はワシから行かせてもらうぞ」


「!」


 師匠が攻撃に移ると分かった直後に俺はすぐ防御の構えを取るが、


「ほいっと」


「ぐっ!」


 一瞬で俺の懐に入って手加減した正拳突きを俺の腹部に当ててきた。


 師匠の攻撃を喰らった俺は一瞬意識が失いかけたが、それでも何とか踏ん張って反撃をする為に正拳突きを当てようとする。


「甘いわっ!」


「がっ!」


 俺の正拳突きが軌道を変えるかのように片手で弾いた師匠は、がら空きになった俺にすぐ両手を使った掌底打ちをまた腹部に当てた。


 それにより俺は吹っ飛び、畳みに激突する寸前に受け身を取ってダメージを最小に抑えた。


「どうした? もう終わりか?」


「くっ……! まだまだぁっ!!」


「うむ、その意気じゃ」


 ムカッときた俺がすぐに立ち上がると、師匠は感心するように頷いていた。


「にしても、あの掌底打ちは少し強めにやったつもりなのじゃが、よく持ち堪えたのう」


「こっちは散々師匠の攻撃を受けてるから、それなりに打たれ強くなってんだよ!」


「ああ、そう言われればそうじゃったのう」


 ………この爺、他人事みたいに頷きやがって。元凶はアンタだろうが……! 


 いい加減、俺も本気で頭に来たから少しばかり反撃させてもらおう。


 そう決意した俺は笑っている師匠と距離があるにも拘らず片足を上げて、


「おらぁっ!!」


「むっ!」



 ドオンッ!



 思いっきり振り上げた瞬間に師匠がその場から一瞬で避けた瞬間、前方の壁が凄い音がしたと同時に少し大きめの穴が出来た。


「クソッ! 避けられたか……!」


「コレ和哉、いくらワシに不意を突かせるためとは言え『飛燕脚(ひえんきゃく)』を使うでないわ」


 悔しがっている俺に、師匠は咎めるように言って来る。


 因みにさっき俺がやったのは宮本流奥義の一つだ。師匠が言った『飛燕脚』は、足を高速で振り上げて衝撃を発生させる遠距離専用の技。要は遠くからでも相手に攻撃を当てる事が出来る技と思ってくれれば良い。師匠には難なく避けられてしまったが、当たれば吹っ飛んでかなりのダメージを与える事が出来る。もうついでにこの技は脚だけでなく拳でも可能だと言う事を付け加えておく。


「ほれ、お主の所為で壁に穴が空いてしまったではないか。どうしてくれる?」


「……そんなの俺が後で直すよ」


「そうか。それなら構わん」


 直す事が分かった師匠はアッサリと許した。


 不意を突かせても避けられたとは言え、壁を壊したのは結局俺である事に変わりないからな。言い訳をするつもりは微塵も無い。


「しかしまぁ……前にやった時には罅程度じゃったのに、壁に穴を空けられるほどの威力になっておったとは……」


「そりゃあ毎日基礎練を欠かさずにやってるからな。師匠が言ってたじゃないか。特に下半身を重点的とした物をやるようにって」


 それによって足腰が滅茶苦茶強くなったから、学校の屋上から飛び降りても問題なく着地出来るんだなぁこれが。


「ふむ……よし、気が変わった。予定よりも少し早いが、もうちょっとばかり力を上げてみるか」


「そ、それはつまり……」


「ほっほっほ。和哉よ……暫く気は抜けんぞ」


「っ!」


 陽気な顔をしていた師匠の雰囲気が変わり、それに気付いた俺は全身に渇を入れながら構えた。


 その後の展開は言うまでもなく師匠の一方的な攻撃によってKOされた俺だったが、ほんのちょっとでも近づく事が出来た事に内心嬉しく思いながらも気絶してしまった。

もうちょっと番外が続きます。


次回は和哉が再び空手部と遭遇しますのでお楽しみに!

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