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第27話

久々の更新です!


それではどうぞ!

「う~む………」


 学校の授業を終えた放課後。俺は一人で帰宅しながら、昼休みでの羽瀬川の行動について考えていた。


 放課後誰かに相談しようかと思っていたんだが、錬は何故か東山先生の補習、江藤は急な用事、沢井は部活、和人は昨日の埋め合わせによる女子のデート。紫苑さんに相談しようかと思ったが、あの人は綾ちゃんの虐めについて小学校へ突撃中。それらによって学校で誰も相談できる相手がいなかったので、今は一人で考えている。


 因みに帰宅する前に羽瀬川にすれ違うと、アイツは俺を見た途端に顔が赤くなって俺を避け、逃走するかのように剣道部へと行ってしまった。羽瀬川の行動に俺は突っ込みもせず、黙って見送る事しか出来なかった。突然あんな……キスなんてされたらソレしか出来ない。何せ俺のファーストキスの相手が羽瀬川だったからな。


 昔に誰かがファーストキスの味はレモン味と言ってたが、アレは嘘だな。全然そんな味はしなかったし、羽瀬川の柔らかな唇が……って違う! 何考えてんだ俺は!?


 え~と、今後羽瀬川とはどう言う風に接すれば良いかだったな。昨日の事を無かったかのように普通に話しかけるのは良くないし、かと言って気まずい感じで話しかけるのも良くない。前に江藤が『女の子は恋愛に関しては凄くデリケートだから慎重に行動するように』なんて言ってたが、どうすれば良いのやら。以前から羽瀬川とは親友のように接していたから、一人の女として接した方が良いのだろうか? けどアイツとは中学の頃から親友の付き合いをしてたから、今更態度を変えるのはちょっとな。


「あ~~、俺は一体どうすれば……」


「そこの坊や。悩んでいるなら、オネエさんが相談に乗ってあげるわよ」


「え?」


 立ち止まって考えている最中に、後ろから何やらオカマ口調で俺に声を掛けてきたので咄嗟に振り向く。何とその先にはパッツンパッツンのゴスロリメイド服を着て厚化粧を施し、世紀末覇者の如き肉体を持つオカマがいた。


「って、誰かと思えばローズさんじゃないですか」


「お久しぶりね修哉ちゃん♪」


 普通なら驚いてもおかしくは無いが、目の前にいる巨漢のオカマは俺の知っている人だ。故に驚きもしなければ動揺もしない。


 メイド服を着た男性はローズさんと言って、俺の父さんの友人であって『AMAGI』の常連客の一人でもある。見た目は凄くゴツくて気味が悪いと思われるだろうが、凄く優しくていい人だ。以前中学の頃に俺が剣道部を辞めようかと悩んでいた時にはローズさんが相談に乗ってくれて、俺の話しを真剣に聞いた後にはアドバイスをしてくれた。それによって俺は中学で三年間剣道部を続ける事が出来たから、この人は俺のちょっとした恩人でもある。


 もうついでにローズさんはオカマ業界でもかなりの有名人で、罵声を浴びせられて傷付いたオカマの心のケアをしているそうだ。故にローズさんを慕うオカマがたくさんいて、オカマ業界のクイーンと呼ばれている。


「元気そうで何よりね。聖也ちゃんも元気にしてるかしら?」


「ええ、いつも通りですよ。父さんが最近、ローズさんが遊びに来ないから少し寂しがっていましたよ」


「ゴメンなさいねぇ。このところ忙しくて中々行けなかったのよぉ。今度の週末には家に遊びに行くって聖也ちゃんに伝えておいてくれる?」


 申し訳無さそうに乙女みたく頬に手を当てながら謝るローズさん。そこら辺の男が見たらキモイと言うだろうが、俺はもう見慣れているので特に気にしてない。


「分かりました。必ず伝えておきます」


「お願いね。でも久しぶりに聖也ちゃんに会うから、また高校時代の思い出話になりそうな気がするわね」


「そうなったら、また父さんが誇張してたところが嘘だと判明しますけど」


 因みにこの人は父さんの高校時代の友人であり、何と同級生でもあったみたいだ。同級生だから父さんと同い年の筈なんだが……とてもそうは思えなかった。俺の兄と勘違いするほどの童顔な父さんで、メイド服を着てゴツイ顔をしたローズさんの二人を見比べても、百人中百人全員が同い年と言う考えに至る事は出来ないだろう。それだけ二人の印象が途轍もなく違いすぎるからな。


「ところで修哉ちゃん。何か悩んでいたみたいだけど、何か遭ったのかしら?」


「え? ………ええ、まぁ、ちょっと……」


 ローズさんの問いに俺はさっきまでの悩みを思い出しながら、どう言おうかと考えた。説明するにしても、この人相手にどこからどこまで話せば良いのか……事の発端から全て話そうにも時間が掛かるし。


「修哉ちゃんが言いたくないんだったら、別に良いのよ。無理に聞くつもりはないから」


「あ、いや……ローズさんにはどこから説明すれば良いかと、ちょっと考えていまして。でも、俺と話してて大丈夫なんですか? 確かローズさんが経営してるオカマバーは、もうそろそろで開く時間帯じゃ……」


「大丈夫よ。もう仕込みと準備はとっくに終わらせて、後は店が開く時間を待つだけ♪ 開店する前には素早く準備して余裕をもって待つって、聖也ちゃんも言ってるでしょ?」


「ご尤もです」


 すぐに頷く俺。ローズさんが言った台詞は、商売する者として基本中の基本だ。それが喫茶店だろうがオカマバーだろうが関係無い。


「では相談はあそこの公園で……と言いたいところですが、今のローズさんの格好だとちょっと……」


「じゃあちょっと待っててね。すぐに着替えてくるから」


 そう言ってローズさんは一瞬で何処かへと行って数分後には、


「待たせてゴメンなさい。それじゃ公園に行きましょうか」


 さっきまでの姿とは違って、グレーのスーツを身に纏って何処にでもいそうな真面目な男性へと変貌したローズさんが戻って来た。


「………相変わらず凄いですね。たった数分でどうやってそこまで早く着替えれるのかを、教えてもらいたいのですが?」


「それは企業秘密よ♪」


「……そうですか」


 以前にした問いを、結局また以前と同様の返答をするローズさんだった。

オカマのローズが修哉の相談役になるのは色々と突っ込みどころがあるでしょうが、そこは気にしないようにして下さい。

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