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第16話

お久しぶりです。久しぶりにこちらを書きましたが凄く短いです。


それではどうぞ!

「はぁ~、今日は大変だったな……。期間限定のお菓子があるといつもコレだ」


「お疲れ、修哉。帰ってきて早々手伝わせて悪かったね」


 “AMAGI”が営業終了時間になって片付けを終えた俺は近くの椅子に座って一息吐いてると、未だに疲れてない様子で明日の仕込みをしている父さん。明日もチーズケーキを出すから前もって作る必要があるとは言え、よく疲れないもんだ。


 因みに錬と江藤はチーズケーキを食べた後、俺に代金を支払ってすぐ帰った。あんまり長居すると他の客に迷惑を掛けるからだそうだ。別にそんな事気にしないでゆっくりしていけば良いんだがな。


 まあその後からは殆ど期間限定お菓子目当てに来るお客でビッシリ入って来て、二人の行為に後々感謝した。ついでに父さん目当ての客もいて対応するもの大変だったが。


「勝負した後は速攻で手伝いだったから更に疲れた……」


「そう言えば愛美ちゃんと剣道の勝負をしたんだったね。で、どっちが勝ったの?」


「俺が勝った。それによって剣道部の入部は無しになったよ」


「おやおや………愛美ちゃんにしては、大好きな修哉と一緒に部活が出来なくてさぞかし残念だったね(ボソッ)」


「ん? 父さん、何か言った?」


「別に……」


 途中で独り言を呟いた父さんは何でもないように作業を続けている。何を言ったのか問い詰めても絶対に言おうとせず、はぐらかされるのが分かっているから敢えて聞かないでおく事にしてるからな。


「それはそうと、綾ちゃんの事だけど話は全て聞いたよ。虐めの内容は以前と全く同じ」


「………どうやらあの悪ガキ共は、あの程度の説教で懲りていなかったみたいだな。次はキツイ説教を――」


「その必要は無いよ、修哉。後で話しを聞いた紫苑ちゃんが、あの子達にきついお灸を据えるって言ってたから」


「……それって不味くない?」 


 悪ガキ共にきつめの説教を決意していた俺に、父さんの発言によって少し冷や汗を掻く。綾ちゃんを大事な妹のように可愛がっている紫苑さんにとって、綾ちゃんに手を出す相手が誰であろうと容赦はしない事を知っているからだ。


 以前綾ちゃんが下心丸出しの中年親父にナンパされていた時、それを見た紫苑さんが中年親父を裏路地に連れて行ってすぐ途轍もない殺気を出しながらボコボコにした事があった。綾ちゃんに手を出そうとした中年親父の自業自得であるが、無残な姿になったのを見てほんの少しだけ同情したな。


 故に紫苑さんが過去にそんな事をしたから、悪ガキ共にどんだけ無残な目に遭うのかと考えると恐ろしくなる。


「紫苑さんのやる事は半端無いから、絶対に悪ガキ共の両親が黙っていないと思うんだが……」


「大丈夫だよ。流石に紫苑ちゃんも子供相手に本気でやるつもりは無いって言ってたから。それにもし親御さん達が抗議して来た時は私も参加するし。あと真理奈にも連絡済だから」


「………父さんだけじゃなくあの人も参加するのか」


 父さんの言った真理奈と言う人は綾ちゃんの母親だ。あの人が抗議に参加したら絶対に荒れるかもしれないな。一応父さんが歯止めをかけると思うから、そこまで心配はしてないが。


「まぁとにかく綾ちゃんの虐めについては紫苑ちゃんと私達でやっておくから、修哉は手を出さなくて良いよ」


「と言うか完全に俺が出る幕ないし……」


 何かもう勝敗が見えてる戦の様な気がする。特に紫苑さんと真理奈さんが出たら尚更な。


「よし。残りの仕込みは明日の朝にやっても問題無いから、今日はここまでにしておくか」


 後の事を考えていると、作業をしていた父さんは一段落付いたようだ。


「残りって言っても、もう殆ど終わったも同然のように見えるんだが……」


「そうでもないさ。今日来店したお客の人数を考えると、明日も同様にかなり来ると思うからね。それで修哉、悪いんだけど明日も――」


「分かってる。人手が足りなくなるから学校が終わって帰ってきたら手伝ってくれだろ? 明日は何もやる事は無いから良いよ」


「助かるよ」


 申し訳ない様に言って来る父さんだが、俺は別に気にしてない。いつもの日課の一つでもあるし、それに何より手伝い料が貰えるから文句は無いからな。


「さてと、それじゃあ家に戻るか。修哉、明かりを消して」


「了解」


 俺が電気のスイッチを押すと真っ暗になり、父さんと一緒に裏口から店を出て家に戻る。


「あ、言い忘れてたけど修哉。今日は紫苑ちゃんと綾ちゃんが家に泊まる事になってるから」


「………一応聞くけど、何で家に泊まる事になってんの?」


「真理奈に綾ちゃんの事を連絡した時に、今日は家にいないからそっちで預かって欲しいって頼まれてね。話しを聞いた紫苑ちゃんが自分も一緒に泊まるんだって」


「綾ちゃんはともかくとして、紫苑さんは泊まる必要がないと思うんだが……」


 紫苑さんの事だ。久しぶりに可愛い妹分の綾ちゃんと一緒に寝ようと思って、家に泊まろうと言い出したんだろう。綾ちゃんの事になると突発的な行動をするからな。


 そう考えていると家に着いて俺がドアを開けると、


「「お帰りなさいませ、ご主人様、旦那様♪」」


 玄関には何故かメイド服を来ている紫苑さんと綾ちゃんがいた。


「……………………」


「ただいま。と言うか二人ともどうしたんだい? メイド服なんか着ちゃってるけど」


 二人の格好に思わず無言になってる俺だったが、父さんは大して気にせずに訊いている。父さん、アンタはこの状況を何とも思わないのかよ。


「綾ちゃんからのリクエストです。自分を気遣ってくれた修哉君と小父さまにお礼をしたいと言ってまして」


「修哉お兄ちゃん、聖也おじちゃん。今夜は綾がご奉仕をさせて頂きます」


「ハハハ。ありがとう綾ちゃん。ほら修哉、いつまでも呆然としてないで何か言ったらどうだい?」


「どうかな修哉君? 初めてメイド服を着てみたけど似合ってるかな?」


「……………………」


 突っ込みどころ満載の展開に何をどう突っ込んで良いのか分からなく、ひたすら呆然とする俺だった。

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