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第13.5話

今回は修哉と別れた後に綾が喫茶店に行った話です。


短いですがどうぞ!

 修哉が愛美と白熱した試合をしてる少し前。


「それで綾ちゃん、今まで話した事が全部なんだね?」


「………うん」


「そう……。全く。抵抗しない綾ちゃんに寄って集るなんて……」


 喫茶店『AMAGI』で店長である修哉の父親、天城聖也が宮本綾の話しを聞いて少しばかり憤慨していた。


 その理由は綾が今まで遭った苛めの事を聞いたからだ。


「これは学校にちゃんと報告しないといけないね」


 綾が苛められている原因は、他の小学生と違って背が高い故に苛めの的になっている。


 最初は男の子の一人が綾に向かってデカ女と言った事が切っ掛けであり、その後からは他の男の子からもデカ女と言われるばかりでなく、あろう事かそれがもう渾名となってしまっていた。


 綾が何を言われても言い返さずに黙っているのを良い事にエスカレートし、物を隠されるだけでなく、更には落書きされた事もあった。そして放課後に綾が帰宅してる途中、男の子達は綾を囲んで悪口を言いながらいつ泣くのかと面白そうに見ている最中、偶然修哉に見られて説教された事により一次解決する。


 しかし男の子達は全然懲りておらず、ただ単に鳴りを潜めていただけであった。修哉に説教されて数日後にはまた苛めが再開され、今度は修哉に見付からないようにやっていた。


「それにしても修哉に説教されたにも拘らず、また同じ事をやっているなんてね……」


「でも賢君だけはアタシを……」


「賢君? 綾ちゃんのクラスメートかい?」


「うん、鬼灯(ほおずき)賢(けん)君って言うの。いつもアタシを庇ってくれてるの」


「その子には感謝しないといけないね」


 綾の味方がいる事に聖也は賢を凄いと思った。


 小学生の男の子が苛められている女の子を庇うと言うことは自分も苛めの対象になる。女の子を庇う行為を苛める側からすれば、実はそいつの事が好きなんだろうとか言って騒ぐ。小学生の男の子によくある傾向である。


「綾ちゃん、今度で良いから賢君を此処に呼んでくれないかな? 私からお礼をしたいから」


「うん。分かった」


 綾がそう頷いていると、



カランカランッ!



「綾ちゃん! 聞いたわよ! また苛められたんですって!」


「うわっ!」


 突然店に入って来た女性客が綾を見つけた途端、すぐにギュッと抱き締めた。


「紫苑ちゃんじゃないか。どうしたんだい? 君はこの時間だと部活の筈だったんじゃ……?」


 女性客が佐伯紫苑だと分かると、聖也は大体予想付きつつも尋ねる。


「修哉君から聞いたんです! 私の可愛い可愛い妹の綾ちゃんが苛められていたのに、部活どころじゃありませんから早退しました!」


「成程ね」


「し、紫苑お姉ちゃ~ん、苦しいよ~」


「え? あ、ご、ゴメン綾ちゃん!」


 紫苑が力強く抱き締めていたので綾が苦しそうな顔をしている事に気付き、すぐに謝りながら力を抜く。それでも綾を抱き締めているが。


「本当にゴメンね綾ちゃん」


「けほっ……けほっ……。べ、別にアタシは気にしてないから」


 本当に申し訳無さそうに謝る紫苑に綾は大した事は無いように言う。


「ところで紫苑お姉ちゃん。修哉お兄ちゃんから聞いたって言ってたけど、アタシなんかの為に部活休んじゃっていいの?」


「私の事は気にしなくて良いの。それより綾ちゃん、一体誰に苛められたのかしら?」


「ちょっと紫苑ちゃん。まさかとは思うけど、聞いてどうするつもりなんだい?」


 何か嫌な予感がした聖也が尋ねると紫苑は顔を向ける。


「決まってるじゃないですか、小父さま。綾ちゃんを苛めた悪い子達には、私の方できついお灸を据えます。自分達がどれだけ愚かな事をしたのかを、その身にジックリと教え込む必要が――」


「コラコラ。そんな事したら親御さん達が黙っていないから」


 紫苑が笑顔で言った事に思わず突っ込みを入れる聖也。


「紫苑お姉ちゃん、暴力はダメだよ。それにアタシ、そう言うのはあんまり――」


「綾ちゃん、これは綾ちゃんの為であって必要な事なの」


 顔を顰めて言う綾だったが、突然紫苑は真剣な顔になって言い始める。まるで何かを諭す様に。


「アタシの為?」


「そうよ。よく聞いてね、綾ちゃん。苛めっ子って言うのは、相手が抵抗しないで我慢しているのを見ていると更にエスカレートする傾向があるの。そうなると苛めっ子はこの先、綾ちゃんにもっと酷い事をするかもしれない。それと同時に苛めっ子は自分のやった事を省みる事をしないまま将来は悪い大人になってしまう。そうならないように私が教えてあげなきゃいけないの」


「………………………」


 紫苑の台詞に綾は無言になり、


「まあ確かに紫苑ちゃんの言うとおりだね。苛めっ子は自分のやった事は忘れてしまうから性質が悪い」


 一緒に聞いていた聖也は頷いていた。


「で、でも……アタシなんかの為に紫苑お姉ちゃんがそこまでしなくても……。それに暴力なんか使わずに話せば分かってくれると思うけど?」


「綾ちゃん。話しただけで相手が必ず反省するとは限らないの。現に綾ちゃんを苛めた子達は修哉君に一度説教されたみたいだけど、今でも綾ちゃん苛め続けているんでしょ?」


「…………………………」


「私はその子達が修哉君の説教で反省したとは全然思えないわ。だから荒療治が必要なのよ。苛めっ子には一度痛みを教えてあげないと、苛められる側の綾ちゃんの気持ちなんて理解しないから」


「…………………………」


「それに綾ちゃんがこれ以上傷付くのは見たくないの。だから教えて綾ちゃん。誰が綾ちゃんを苛めていたのかを」


「………………分かった」


 懇願気味に言う紫苑に綾は意を決したかのように、自分を苛めていた相手全員を教えるのであった。

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