プロローグ
物の試しに学園物のオリジナルを書いてみました。
それではプロローグからどうぞ!
「さて、帰るか」
公立高校である栖鳳学園に入学して二度目の春が訪れ、始業式が終わったので俺が帰る準備をしていると、
「と言う訳で修哉! 約束通り、今日も町に行ってナンパに行くぜ!」
「いつ俺がお前とそんな約束をしたんだ?」
ボサボサの赤髪がトレードマークである男が俺の目の前に勢い込んで訳の分からない事を言った。
「つれないこと言うなよ修哉ぁ~。俺とお前の仲じゃないかぁ~。ここはいっそ友人の為にどうか頼む!」
「友人だからと言って何故お前のナンパに付き合わなきゃいけないんだよ、錬」
合掌しながらお願いしてくる男子生徒に俺は呆れる。
コイツは鬼灯錬。さっきも言ったがボサボサの赤い髪が一番の特徴で、ちょっとバカっぽい顔をしている。若干イケメン顔で女にモテそうな感じがするが、実は全然モテていない。見た目とは裏腹に後先考えないバカであり、毎回ナンパした初対面の女性に初っ端からセクハラ発言をしては撃沈。ナンパ以外でも学校では日頃から色々と騒ぎを起こす問題児であり、騒ぎの原因は錬だと教師陣に睨まれている。
錬とは中学時代からの友人であり、目付け役でもある。騒ぎを起こしている錬に俺がいつも一瞬で鎮圧してる事により、先生達からは全幅の信頼を寄せられている。信頼してるからと言って全部俺に任せるのはどうかと思うがな。
とは言え、コイツはそんなに悪い奴ではない。友達付き合いとしては良い方で、男友達はかなりいる。逆に女子の方はスケベな事をしてる所為であんまりいないが。
「お前がいてくれたらナンパの成功率が上がるんだよ」
「成功率を上げたければ和人に聞けば良いと思うんだが?」
「……………あの野郎はダメだ」
「お前、相変わらず和人が気に入らないんだな」
和人の事を言うと錬は苦々しい顔をしながら忌々しそうに呟く事に俺は少々呆れる。
「これだけは言っておくぞ修哉。あんなモテ野郎にナンパの仕方を伝授なんてしたら……それはアイツに屈服するって意味だ! 誰がやるかボケェ!」
「いきなりキレても困るんだがな」
錬の熱弁に聞き耳を立てていた他の男子生徒達がウンウンと頷いていた。そう言えばこのクラスの男共も和人を敵視しているんだったな。逆に女子達の大半は和人に好意を抱いているけど。
「佐伯に屈服するくらいならまだ撃沈した方がマシだ! アイツの所為で俺が告白した女の子を横から掻っ攫われたんだぞ!? お前に分かるかコラ!?」
「んなもん知るか」
確か錬が告白している最中に、女子が通りかかった和人を見てアッサリと錬を見捨てたんだったな。
アレは別に和人が狙ってやった訳じゃない。偶然通りかかっていただけなんだが、錬からすれば好きな女子を盗られたと思い込んでいる。以降、錬は和人を敵視して復讐する機会を狙っている。まあ復讐とは言っても、モテ男になって和人を慕ってる女子を横から掻っ攫うと言う下らん復讐だが……ハッキリ言ってソレは絶対に無理だと思う。
「お前が和人がどれだけ憎いのは分かったから、俺は帰らせてもらうぞ」
「分かったなら早速ナンパに行くぞ! 準備は良いか!?」
「人の話しを聞けよ」
勝手に話しを進めている錬に突っ込むが全然聞いていなかったので、俺はちょっと黙らせようとするが……。
ガラッ
「修哉、ちょっと良いかな?」
突然教室の戸が開く音がすると、そこには俺を呼ぶ赤味を帯びた茶髪のイケメン男子生徒がいた。
『さ、佐伯君!』
『キャアアアアア~~~~!』
『貴様は佐伯和人!』
『良い度胸だな佐伯! 俺達の前に姿を現すとは!』
女子からは歓喜の声が、男子からは仇敵の如く睨んでいた。
「ああ、ゴメンゴメン。ちょっと通してね」
「和人か。何か用か?」
「テメエは佐伯! 何しにここに来た!?」
コッチに来る和人に俺が尋ねていると、錬が威嚇して吼えるかのように和人を睨んでいる。
で、コイツはさっきから話題になっていた佐伯和人。小さい頃からの幼馴染であり俺の親友だ。和人は容姿端麗で成績優秀、そして運動神経抜群と言う三拍子揃った理想的なイケメン御曹司。何故俺みたいな庶民の俺が和人と幼馴染なのかと言うと、父親同士が友人関係で何度もあった事によってこんな関係になっている。
「相変わらずだね、鬼灯。どうして君はいつもそうやって俺を敵視しているんだい?」
「んなもん自分の胸に聞きやがれ!」
「修哉、鬼灯はどうしていつもこうなの?」
「以前錬が女子に告白してるのを偶然通りがかった時、その女子がアッサリ錬を見捨ててお前に盗られたと思って憎んでいるんだ」
「何でお前が教えるんだよ修哉!」
和人の問いにアッサリ答える俺に錬が怒鳴ってきた。
「盗られた? 俺はそんな事をした覚えはないよ」
「佐伯! テメェどの口でぬかしてやがんだコラ!」
「そう言われても……俺はあの時ちゃんと断った筈なんだけど」
「たとえそうでも盗られた事に変わりねぇんだよ! 俺の必死の告白をテメェがぶち壊して……!」
あ、何か錬が血の涙を流し始めてる。こりゃ相当和人に恨みを抱いている証拠だな。
錬の名誉の為に伏せているんだが、告白されようとした女子は実のところ錬に全く興味が無かった。どうやって錬の告白を断ろうかと必死に考えていたんだが、和人が現れたことによりそんな事はどうでもよくなって和人にアタックをした……と言う裏事情がある。
もし錬が知ったら絶対に傷付くだろうと思って敢えて今でも黙っているのだが……今教えた方が良いかな?
「もう頭に来た! テメェみてぇなモテ野郎はいますぐ俺がぶちのめしてやる! 覚悟しやがれ!!」
「何でいきなりそうなるのかな?」
「気にするな和人。コイツはただ単に女にモテてるお前が羨ましいだけだ」
「やかましいわ修哉! お前は俺の味方じゃないのか!?」
「味方をした覚えは無いんだが……」
錬の発言に呆れる俺は一つアドバイスを送る。
「それはそうと錬。和人をぶっ飛ばすなら、先ずはお前の後ろにいる連中をどうにかしないといけないぞ?」
「え?」
俺が指を差して錬がつられて振り向いた先には、
「鬼灯君、佐伯君をぶっ飛ばすなんていい度胸してるじゃない」
「私たち佐伯君ファンクラブとしては到底見過ごせないわ」
「彼に手を出すつもりなら、覚悟は出来てるかしら?」
女子の大半が錬に狙いを付けていた。
「あ、いや、俺は、その……しゅ、修哉。ちょっと女の子達に弁明を……」
「それで和人、俺に何の用だったんだ?」
「今日は久々に修哉と一緒に帰ろうと思ってね」
「っておい修哉! 俺を見捨てるのか!?」
助けを請う錬に俺はどうでもいいように鞄を持って和人と一緒に教室を出ようとする。
「これ以上お前に付き合う気は無いし、助ける気も無い」
「そんな! 友達を見捨てないでくれ!」
「後先考えない発言するからだろうが。それに俺はそんなに殺気立った女子を説得するのは無理だ。それじゃ」
「この薄情物ぉ~~~~~!!」
俺が教室の戸を閉めると、
『さあ鬼灯君、覚悟は出来てるわね? 皆! やっちゃいなさい!』
『佐伯君には手を出させないんだから!』
『覚悟ぉ~~~!』
『ちょ! ま、待ってくれ皆! 俺はギャアアアアア~~~~~~~!!!!!!』
その直後に錬の悲鳴とボコスカと殴られる音が聞こえた。和人のファンの女子がいる前であんな発言をしたら、そんな目に遭うって事を少しは考えて欲しいもんだ。
「さて、帰るぞ和人」
「良いのかい修哉? 彼を見捨てちゃって」
「構わん。アイツには時折そうしておかないと、すぐに助けを求めてくるからな。あのお調子者には少し痛い目に遭わせないと学習しないし」
「そ、そうかい……」
「それよりさっさと帰るとしよう」
冷や汗を流している和人に俺はすぐに帰ろうと促すのであった。
『修哉~~~~!! 俺が悪かったから助けてくれ~~~!!』
今更謝っても遅いっての。
取り敢えず書いてみましたが、如何でしょうか?
大して面白くなかったと思いますが、出来れば感想をお待ちしてます。